設定資料編4:カデンツァと断罪者たち (第4章「断罪者たちの影」補足資料
■1. カデンツァについて
【概要】
セフィラの記録秩序から離反した集団。
記録や共鳴の管理を拒絶し、「記憶そのものを断つ」ことで自由を得ようとする思想を持つ。
所属メンバーは過去に何らかの形で「記録によって損なわれた存在」であることが多く、記憶抹消者、前世記憶被害者、記録改ざん者などで構成される。
【本拠地】
レゾネリア(忘却の都)
空白領域に存在する隠された都市。セフィラの中枢ネットワークから完全に切り離されており、観測も干渉もできない。
■2. 登場人物補足
【レムナ=ゾル】
カデンツァの思想執行官。冷静かつ理性的な性格。
記憶は真実ではなく、幻想や呪いのようなものだと捉えており、記録のない世界こそが「本当の自由」だと考えている。
クラウに共鳴の力があることを理解しつつも、それを否定する立場を貫く。
【ヴァルド=クリフ】
共鳴者であり、記録否定主義者。
かつて家族の記録を改ざんされたことで人格が分裂し、記憶そのものを「呪い」として否定するようになる。
クラウとは過去の記録で接点があり、前世で彼と対になっていた存在とされる。
今章ではクラウと記憶を通して干渉し合い、両者の価値観の対立が浮き彫りになる。
【レイン=セオド】
かつて記録者の一人だったが、マトリアによる記録操作の真実に触れたことで離反。
記憶の深層に接触する能力を持つ。クラウとナイアの記録に特異な反応を示し、レゾネリアからの脱出を手助けする。
最終的に自身の記憶を差し出し、アグナムの観測網からクラウたちを守る。
■3. 共鳴干渉について
【概要】
共鳴者同士が接触した際、記録の層を通じて互いの「前世」や「記憶の断片」が交差する現象。
自我の混濁を招く危険性もあるが、過去の因果や真実を引き出す手がかりにもなる。
今章ではクラウとヴァルドの記録が交差し、クラウが“アリア”という名を思い出すきっかけとなった。
■4. 今後への伏線
・ナイアの記憶と“アリア”という存在の一致
・クラウとヴァルドの前世的関係
・記録を否定するカデンツァの次なる行動
・クラウが選ぶ「記録すること」と「忘れること」のあいだの在り方
■作者メモ
この章では「記憶は呪いか、それとも遺志か」というテーマを掘り下げました。
ナイアが断罪した過去、クラウが繰り返す選択、ヴァルドの否定。
それぞれの記憶が違った重さを持って現れ、物語に多層的な問いを投げかける展開となりました。
次章では、「記憶を物語として語り継ぐ者たち」との邂逅が描かれます。
新たな希望と、過去を許すための“語り”の力に注目です。
(設定資料編4・了)