設定資料編1:セフィラと記録されざる者たち
(『レゾナンス・アーク ―記録されざる者―』第1章終了時点 資料)
■1. 用語解説
【セフィラ】
神によって設計されたとされる人工天球。
無数の階層が螺旋状に重なり、それぞれ独立した環境と文化を持つ。
現存する人類および12種族はこのセフィラ内で生きており、「外」の存在は基本的に知られていない。
【記録】
セフィラの根幹原理。
すべての出来事・存在・思考は「記録」されることで“確定”し、現実として成立する。
記録を操作・観測できる者は限られており、「記録者」と呼ばれる。
【記録者】
記録に干渉できる能力を持つ者、またはその素質を持つ者。
中でも主人公クラウ=ヴェイルのように「記録を共鳴・吸収してしまう」異質な存在は、「逸脱因子」として恐れられる。
【思念核】
空から墜ちてきた赤黒い結晶体。
内部には「過去の記憶」や「前世の断片」が圧縮されており、特定の個体にのみ反応する。
クラウが接触したことで、彼の内に前世記憶が流れ込んだ。
■2. 人物補足
【クラウ=ヴェイル】
本作の主人公。灰色の書庫で育てられた記録者の末裔。
他人の記憶が自動的に流れ込んでくる体質により、社会から隔離されてきた。
思念核との接触をきっかけに、世界から“観測不能な存在”とされ、追われる立場に。
【グラフト=エルナ】
元アグナム所属の戦士で、現在はクラウの支援者。
右目に特殊な記憶義眼〈アストラルアイ〉を持つ。
秩序に従うだけの軍に疑問を持ち、かつての任務中に離反。
【カスティリオ=ヴァイン】
神の秩序軍団〈アグナム〉の上位指揮官。
クラウを「逸脱因子」として排除対象と判断し、現場に派遣される。
記録と秩序の維持を至上とする、冷徹な記録主義者。
■3. 派閥関係(初登場分)
【グレイ・アーカイブ】
クラウの所属する「記録と保護」の学派。
中立を保ちながら、セフィラの深層に存在する古記録の保存を目的としている。
外界からは“異端の閉鎖宗教”のように扱われている。
【アグナム】
神の代理を自称する秩序維持組織。
セフィラ中枢“マトリア”の意志に従い、記録の修正・削除・統制を行う。
逸脱した存在は、「世界の秩序を乱すウイルス」と見なして排除する。
■4. 記憶と共鳴について(初期理解)
【記憶】
この世界における“魂”の源。
個体の経験・感情・存在そのものが、情報粒子として宇宙に漂う。
高密度で蓄積された記憶は、「再生」や「共鳴」を引き起こす。
【共鳴】
特定の記憶が、別の存在と“感情や思念”のレベルで結びついた時に発生する現象。
クラウの体質は、この共鳴を受動的に引き起こしてしまう。
■5. 今後登場する要素の伏線
・「記憶と機体」が結びつく生体兵装〈ヨルムン〉の存在
・「共鳴者」と呼ばれる存在との出会い(第2章で登場予定)
・記録に干渉することで神の秩序そのものに対抗する術の可能性
■作者メモ
この設定資料は、読者の皆さまが物語を理解しやすくなるよう、章ごとに用意していく予定です。
本編を読みながら世界観を味わいつつ、資料を通じてさらに深くセフィラの謎に触れていただけたら嬉しいです。
次章『共鳴者の少女』では、物語の大きな転換点となる人物・ナイアが登場します。
どうぞ、お楽しみに。
(設定資料①・了)