第四話 神の後継者
「え?」
〝神の後継者だ。聞こえなかったのか?〟
「いや、聞こえてますよ?聞こえてますけど……流石に冗談ですよね?」
〝私が冗談を言うと思っているのか?〟
「いや、でもそれだと僕が神の後継者みたいに聞こえるんですけど……」
〝だからそうだと言っているであろう。これだから理解力の乏しい人間は嫌だというのだ〟
「こんな事聞いて驚かない人間がいるなら会ってみたいですよ」
〝そんなことはどうでもいい。とりあえず私の用件について説明しよう〟
「……わかりました」
〝まず、私は聖神ノイアスによって閉じ込められている。これは先程話したな?〟
「はい」
〝そこでだ。お前には私を助けに来てほしい。こんなことを人間に話すのは癪なのだがな……〟
「派閥があるなら、他の神様たちが助けに来てくれるのではないですか?」
〝いや、無理だ。私はおそらく聖神派閥の本拠地、天界に閉じ込められている。私はともかく、他の神がここに来られるとは到底思えん〟
「なら僕にも無理だと思うのですが……」
〝いや、お前なら出来る。そのギフトがあるからな〟
「作成ですか?」
〝そうだ。そのギフトは、創造神の後継者にだけ発現する物。お前ならば天界に来ることも可能であろう〟
「でも……天界に来た所でどうやってエレボス様を助ければ良いのですか?」
〝……解らぬ〟
「え?」
〝この牢屋の原理は私にも解らぬのだ……。聖神を捕まえて吐かせるしか無いであろう〟
「そんな事出来るはず無いじゃないですか!僕一般人ですよ!?」
〝……分かった。今からお前に2つの選択肢を提示しよう〟
「何でしょう?」
〝1つ目。そのギフトを使って神を殺せるほどまで成長し、私を助けに来る。2つ目。私を助けず、己の好きなように生きる。……お前はどちらを選ぶ?〟
「……少し考えさせて下さい」
〝分かった。私が殺されるのにまだ何年か余裕はあるだろう。そうだな……一月だ。一月後に答えを出せ。それまで私はお前にできる限りの事をしてやろう〟
「ありがとうございます」
〝少し待て。……お前、すぐにここを離れろ。体も回復したようだしな〟
「何故です?もう少し休みたかったんですけど……」
〝殺されてもいいなら休んでいろ。王女がここへ向かってこようとしているからな〟
「エレナ様がですか?」
〝そうだ。騎士を20人ほど連れてこようとしているな〟
「今から逃げる時間あります?」
〝戦わないのか?〟
「人数的にも不利ですし、船でも作って逃げたいところなんですけど……無いですよね……」
〝ダンジョンで採取した魔石を使えば良いのではないか?あの大きさなら一人用の船ぐらいにはなるぞ〟
「エグハーツ鉱石ですね?分かりました。やってみます」
掌ほどの魔石に魔力を流し込み、ボートの形を思い浮かべる。
その瞬間、魔石が眩く光り始めた
「うわっ!?」
〝やはりこうなるのか……〟
「今度は何なんですか?」
〝お前のギフトと魔石が干渉し合っただけだ。恐らく魔石の性能が上がっているな〟
「え?」
魔石がどんどん膨張していく。数秒後、そこにあったのは手漕ぎボートではなく、モーターのような物がついた電動ボートだった。
何故か電動ボートが出来上がりました。
すでにギフトの能力の片鱗が出てきていますね。
次はもしかしたらエレナ視点になるかもしれません。
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