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第二話 プロローグ其の二

目が覚めると、ベッドの上だった。

そばには誰も居ない。

『医務室か?』


まだ理解が追いつかない。

なんで黒瀬莉子が突然味方をしなくなったのか。

黒瀬莉子は気が強くて、海斗たちにどれだけ威圧されようと一歩も引かなかった。その彼女が、何故?

エレナ様は確かに王女だが、勇者が有無を言わず服従させられることなどあるのだろうか?



そんな事を考えながら外に出ると、丁度通りがかったらしいエレナ様がいた。

『1週間後から勇者全員で訓練に出かける。準備しておきなさい』

『はい…』

エレナ様はそのまま何処かへ行ってしまった。


翌日から僕は図書館へ行ったり、剣の訓練、そして、唯一適正がある毒魔法の練習をした。



〘毒球〙


毒の球を飛ばす魔法だ。適正があるので習得しやすい。

そういえば別に適性がなくとも魔法は覚えられるらしく、習得などが難しくなるだけらしい。

MPが切れたので、マナポーションを飲む。ポーションは特級、上級、中級、下級があり、これは中級だ。ほかのクラスメイトはみんな上級を使っているらしい。MPが切れると、代わりにHPを消費していくので、とても大事な物だ。

自分だけが中級を使うことに怒りを覚えないわけではない。ただ、慣れっこなだけである。


『やっぱ味はまあまあだなぁ。上級や特級はもっと美味しいのかな?』

上級も特級も全部味は同じということに楓真が気づく日はまだ先だ。



~1週間後~

『それでは出発します』

エレナ様が号令をかけ、馬車が動き出す。

目的地はフィーレン。この国最大のダンジョン都市だ。



今僕が覚えている魔法はこんな感じだ。

〘毒球〙

〘火球〙

〘水球〙

〘土球〙

〘風球〙

〘毒球〙

〘毒壁〙

〘土壁〙

〘毒鎖〙


野宿と馬車の旅を続けること三日間。

『皆さん、着きましたよ!フィーレンです!』


(ダンジョン都市か……緊張するな……)


『さて、訓練を始めます──と言いたい所ですが、今日はもう遅いので、訓練は明日からです。まずは宿に行きましょう』

『『『『『『はーい』』』』』』


宿はとてもきれいで、お貴族様が泊まるようなところだった。天井にかけられた大きなシャンデリア。シミ一つないカーペット。高級品の風格を漂わすカトラリーや食器達。

だけど、全てが余所余所しく感じられてしまう。多分、前の世界で高級品とはほぼ関わらない生活をしていたせいだろう。今夜は眠りにくそうだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


その夜、物陰で話す人影が2つあった。

『準備はできましたか?』

『はい、エレナ様。兵の配置などすべて完璧であります』

『それは重畳。頑張って殺して下さいね。アレを』

『はっ!』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『うーん……あまり良く寝れなかったな……』

僕は朝早く起きて、朝ごはんを食べるために下に降りていった。


『『『『『『『『……』』』』』』』』


やはり誰も話しかけてこない。

『まあ、それはそれでいいんだけどね』


着替えは済ませてあるので、朝食の席につく。

さて、今日の楓真の朝ごはんは……芋虫とカエルのアヒージョ~ゴキブリを添えて~である。

『ってこんなもん食えるか!』


海斗たちがニヤニヤとこちらを見て嗤っている。

『……』

捨てた。投げつけたかったが、さすがにその勇気は無かった。それに、この手の嫌がらせも飽きるほどに体験してきているのだ。少しは慣れてくるというものである。


『今日は朝飯抜きかぁ……』

『皆さん出発しますよ~』

『はぁ〜……』


宿を出て馬車に乗り込む。僕はエレナ様の護衛と一緒に乗った。

この馬車も高級品で、なんだか落ち着かない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


着いたのは、巨大な扉の前だった。横に建物があり、出店みたいなものも並んでいる。

人が多く、とても騒がしい。それに、匂いもきつい。汗や腐敗臭が空気中を漂っている。


『ここがダンジョン【ザロニフ大洞窟】です』

『『『『『『おぉー!』』』』』』


(大きいな……何階層ぐらいあるんだろう?)


そんな楓真の心を読んだようにエレナが言葉を続ける。

『このダンジョンは200階層から成る国内最大級のダンジョンなのです。普段なら冒険者が多くいて入るまで3時間ぐらいかかるのですが、今回は貸切にしました。未来ある勇者様たちのためですもの、これぐらい当然というものです』


(道理でさっきから怒声や罵声が聞こえるわけか───!?)


その時、突然人混みの中から冒険者らしき男3人が走ってきた。

『ダンジョンを開けろ!ダンジョンが開かないと俺たちは路頭に迷うんだ!』

『何が勇者だ!たった30人ぐらいの為に俺たちの生活を奪うな!』

『そうだ!俺たちは家族を死なせるわけにはいかない!』

装備や言葉遣いから見るに、GかFランクの冒険者だろう。周りが必死に止めるが、男たちは尚も言葉を続けようとする。



そして、それは一瞬だった。

『黙りなさい。〘超重力場〙』


グシャッ!


生々しい音が響く。

そこに残っていたのは、ただの大きい肉塊だった。


『この世界を救って下さる勇者様に歯向かうとは本当に愚かですね』

『『『『───っ!!』』』』

声にならない悲鳴が女子達の口から漏れ出る。

『な、なあエレナ。流石にそこまでやらなくても……』

『わたしに楯突くものは死んで当然ですわ。それにもともと冒険者は嫌いですもの』

『お、おう……』

『それにカイトには私の夢を手伝って貰う必要があるんだから、強くならなくては』

『わかったって……』

 

胃の奥がムカムカする。気を抜くと今にも吐きそうだ。

こんな感覚は久しぶりだ。脅されて犬を解体させられた時以来だろうか。


少し落ち着いたので考えてみるが、エレナ様の夢というものが全く予想がつかない。

魔王でも倒したいのだろうか。


そうだ、これを説明しよう。この世界には大きく分けて3つの種族と大陸があり、

人族が住む大陸【ネプーロ大陸】、獣人族が住む【ノビアス大陸】、魔人族が住む【ドリュート大陸】、あと空を無作為に飛んでいる天空の大陸【ケマイフ大陸】がある。ケマイフ大陸には何が住んでいるのかはわからないらしいが、噂によると、新種の魔物や種族がいるらしい。

そしてドリュート大陸には魔王という存在がおり、獣人族と人族は本来協力してその魔王や魔人族に立ち向かわなければいけないのだが……人族は獣人族を奴隷にし、獣人族は海賊になって街を襲ってくるなどして協力できそうにないので、僕達が勇者として召喚されたというわけだ。

やっぱり世界平和って実現できないと思う。

あと世界各地には魔物という存在がいて、ドリュート大陸に1番多く生息している。魔物は光魔法や神聖魔法に弱く、主に闇魔法を使ってくる。

それが1週間図書館で本を読み続けた結果だ。


あと、これは今わかったことだが、エレナ様と海斗は絶対にデキている。非モテの僕にもわかるほど甘い雰囲気がにじみ出ているのだ。道理でエレナ様とクラスの女子たちが会話をしていないわけだ。


『では早速ダンジョンに入りますよ〜』


大きな扉が轟音を立てながら開く。中から外の10倍は強烈な匂いが漂ってくる。

吐き気が復活しそうだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『これがダンジョンか……』

大きな扉を入り、階段を下った先にあったのは、とてつもなく大きな鍾乳洞だった。

『このダンジョンは200階層全部が洞窟系フィールドで構成されているのです。出て来る魔物はスライムやゴブリン、ナーガなどがいます』

(この世界に来てから初めての魔物だ……緊張するなぁ……)


楓真の心配を他所に、エレナとクラスメイトはどんどん進んでいく。出てくる魔物も、前の方にいるカイトたちが全部倒すので、楓真のところには1匹も回ってこない。

(少しぐらい回してくれたって良いのに……)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


第2階層に差し掛かった頃、エレナ様が突然声を張り上げた。

『皆さん、見て下さい!エグハーツ鉱石です!』

『エレナ?そのエグハーツ鉱石って何だ?』

海斗の質問にエレナ様が嬉しそうに回答する。

『エグハーツ鉱石というのは、魔力を流し込むことによって色々なものに姿形を変えれる便利な魔石なのですよ。もちろん制限はありますけどね』

『何だそれ!?滅茶苦茶便利じゃねえか!皆、取り尽くすぞ!』

『『『『うおーーー!』』』』




結果的に大きい鉱石は全部取られ、楓真には小さめの魔石しか残っていなかった。

『はぁ……小さくても取って帰ろう……って何だ?!』

楓真が魔石に触れた瞬間、魔石が淡い光を放った。一瞬のことだったため、誰にも見られていなかったらしい。

『今の何だったんだろう……』


全員が魔石を取って集合したとき、エレナ様は石を椅子に変えて休んでいた。やはり腐っても王女なのだろう。風格がある。


『それでは全員集まりましたね。今日はここまでとし、宿に帰りたいと思います』

(良かった。だけど一番最後に帰ることになるんだろうな……最悪の場合荷物持ちも有り得るし……)

楓真がそう思ったのも束の間、エレナから予想外の一言が飛び出す。

『役立たずから先に出なさい。出た先の危険を確かめて、何もなかったら戻ってきなさい』

『……わかりました』


海斗がこちらを見て嗤っている。まるであの時のように。

(嫌な予感がする。でも……行くしか無いか……)


『この魔法陣の上に乗りなさい。そうしたら外へ出れます』

『……』

(この魔法陣、何か変だ……悪意を感じる……)


『さっさと行きなさい。あなたが行かないと皆が帰れないではありませんか』

『……はい』

魔法陣に乗った次の瞬間、眼の前が白く光り、気付いたときには外にいた。

(あれ、ここって……崖?)


その時だった。

『出てきたぞ!殺せ!』

崖の上に男の声が響き渡った。

その男は、召喚された部屋にエレナと一緒にいた男だった。確か騎士団長だと紹介された気がする。

『騎士団長さん!?』

これでプロローグは終わりとなり、次からようやく物語が始まります。

感想お待ちしております。

あと、楓真の高校生活をSSにしようと思ってます。全部虐めの記録なんですけど。

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― 新着の感想 ―
ダンジョン要素が作り込まれてすごく良いと思います‼︎ もしお願いをするならエレナや海斗のプロフィール?みたいなやつみたいです いじめや自殺という難しいテーマを描きつつ、ファンタジー要素を織り交ぜた颯真…
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