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山と雨と紫陽花と
もしも赤い紫陽花に混ざって青い花が咲いていたら、その下には死体がある。そんな噂を聞いた事はないだろうか?
紫陽花は昔、鉄を多く含む土壌を探す為、山伏が山に植えたというマイナーな説がある。pHによって色を変える事を利用して砂鉄の多い土壌を探したと。
酸性なら青、アルカリ性なら赤の花を紫陽花は咲かせる。
だが花の色を決めるのは鉄ではなくアルミニウム。それがアントシアニンと反応して紫陽花を青くする。なので元々アントシアニンを持たない種類やアルミニウムを含まない土壌の場合、花の色が変わる事はない。さらにリン酸が存在するとまたややこしくなる。
「だからな?ここだけ花の色が違うからって、死体がある訳じゃねぇんだよ。あったとしたって大きめの動物だろ?」
その紫陽花は、何年も人々に噂されながら、降り注ぐ雨を無言で受け止めていた。
何年も何年も……。
紫陽花は沈黙を貫いた。
誰も真実は知らない。




