13/36
彼はただ黙々と素振りする
「だから、何で俺の所に連れてくる?」
篠山は面倒そうな顔をした。申し訳なく思いながらも他に頼る所がなく、俺はこうして篠山を尋ねる。パニックを起こし取り乱した一年を見、彼は諦めた様に言った。
「……わかった。いつも通り素振りの間だけな。」
「ありがとうございます!」
「でも本当、俺は坊さんじゃないし。話聞くだけで除霊できる訳じゃねえぞ?」
例の呪いの噂が広まったのは梅雨。
発端は心霊スポットに行った奴がおかしくなった事。そしてそいつの周りや会いに行った人間にその呪いは広まった。
なのに平然といつも通りの生活をしている男がいる。それがこの野球部の篠山。
俺にも呪いが回ってきた時、何でお前は平気なのかと彼に聞いた。その時、篠山は延々と素振りしていた。
ただ黙々と素振りしていた。
それの何が効いたのか知らないが、俺の霊障は収まった。
そして篠山の「素振り除霊」の噂が広まる事になった。




