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彼はただ黙々と素振りする

「だから、何で俺の所に連れてくる?」


篠山は面倒そうな顔をした。申し訳なく思いながらも他に頼る所がなく、俺はこうして篠山を尋ねる。パニックを起こし取り乱した一年を見、彼は諦めた様に言った。


「……わかった。いつも通り素振りの間だけな。」

「ありがとうございます!」

「でも本当、俺は坊さんじゃないし。話聞くだけで除霊できる訳じゃねえぞ?」


例の呪いの噂が広まったのは梅雨。

発端は心霊スポットに行った奴がおかしくなった事。そしてそいつの周りや会いに行った人間にその呪いは広まった。


なのに平然といつも通りの生活をしている男がいる。それがこの野球部の篠山。


俺にも呪いが回ってきた時、何でお前は平気なのかと彼に聞いた。その時、篠山は延々と素振りしていた。


ただ黙々と素振りしていた。


それの何が効いたのか知らないが、俺の霊障は収まった。

そして篠山の「素振り除霊」の噂が広まる事になった。

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