七百年の眠りR3
どうしてか分からないが、私は七百年も眠っている。
分かるのは、私が聖女であるということ。
そして起きたら、何かとんでもないことが起きるということだけ。
私は、どうしようかと思いながら、眠り続けていた。
自分が何者であるのか分からない。
私は誰?
私は何?
そんな中で、そのまま眠り続けるのは不安だった。
でも、起きて何かが起こったらどうしよう。
誰かが悲しい目にあったり、つらい目にあったりするのは嫌だった。
そしてまた七百年が過ぎた。
退屈になった私は夢の中で、ひたすらぼうっと過ごした。
ただ数を数えたり、ただ何かを思い出そうとしたり。
そうしているうちにまた七百年が過ぎていく。
私は、このままだと今分かっていることまで忘れてしまうような気がした。
心の中に怖いという気持ちがだんだん膨れ上がってきた。
だから、勇気を出して起きてみることにした。
そうしたら、私が眠る理由はとっくの昔になくなっていた。
私は人間を「こわい魔物」から守るために、眠っていたらしいが、
「こわい魔物」も人間もいなくなっていた。
だからもう、強い強い力をだして「何かを守る壁」を作らなくてよくなった。
私はこう思った。
しわしわになって手を見ながら。
あーあもっと早く起きていればよかったな。