始まりの日(1)
(賊っぽい人達はいなくなったが・・・我が家は狙われるような家なのだろうか?)
生まれてこの方、色々とチートスキルについて試しつつも学習と鍛えてばかりの日々で自身の家の事を知らないままで過ごしてきた。
ちなみに、ソード家は五大侯爵家の一つだった。
五大侯爵家には並外れて特出した者が多く、それぞれが得意なモノがある。
ソード家
剣術と魔術に優れた家であり五大侯爵家の筆頭。
ランスート家
槍術と馬術が得意。
アスクド家
弓術と隠密が得意。
クロウ家
魔術に関して右に出るもの無し。
ルージュ家
騎士達が纏う魔装や鎧等やアイテム作成が得意。
魔装
特殊な鎧で通常の鎧とは異なり防御力の向上は勿論、様々な力を得られる。
「魔装か・・・前に父上の魔装を見せてもらったが・・・カッコイイ鎧だったな」
いつか自分も魔装を纏いたいとわくわくしながらいると、メイアがちょうど戻ってきた。
「お待たせしました、そろそろお休みになられますか?ロード様」
「うん、そうするよ」
「わかりました、それではおやすみなさいませ」
一礼して、明かりを消してから部屋を退室。
「んじゃ、明日に備えて寝よう」
座っていた椅子から立ち上がり、ベッドへ向い横になって明日の訓練を楽しみに夢の世界へ。
―某所―
「・・・そうか、失敗したか」
ボロボロの廃屋の暗い部屋で誰かが呟いた、正面には報告に来たと思われる者がいた。
「はい、作戦は全て失敗に終わりました」
「ま、成功する確率は低い任務だったからな・・・」
つまらなそうに呟いた者はため息をついた。
「はい、それから例の件ですが・・」
「ああ、魔獣をあの国に向けて突撃させるヤツだろ?進捗率はどのくらいだ?」
「今の状態で行けばあと3年は必要かと」
「そうだよなー・・」
またしてもため息をついたが何かを思いついたようだった。
「しゃーないな、ちょっとソード家に遊びに行くか」
「は?」
急な発言に報告に来たものは驚く。
「暇潰しに、ソード家のガキを誘拐して玩具にしようと思うんだ」
「で、ですが、オルフェン様!他の方々との決め事はどうなされるおつもりですか!?」
「決め事か・・・さぁ~?何のことかな~?」
ニヤニヤしながら言っているのが解るくらいだった。
「・・・申し訳ありませんが報告をさせてもら事になりますよ・・?」
報告に来た者は物怖じせず伝えた。
「そっか、残念だ」
「ッ!?」
離脱しようと動こうとし次の瞬間、見えない一撃が報告に来た者の命を刈り取った。
「物怖じせず言えるのは良いことだが・・・相手が悪かったな」
もの言わぬ骸に言い終え、廃屋を出て外に出る。
「んじゃ、楽しい楽しいパーティーを派手に始めるか!!?」
夜空に向けて男は吠えた。
翌日の朝。
ロードとメイアは剣術の訓練を朝から開始。
「今日こそ一本取るッ!」
「それでは今日も頑張って行きましょう!」
互いに地を蹴って正面から木剣を交える。
(コレを試してみるか!)
「風刃!」
「なっ!?」
魔法の発動に驚いたメイアだが、瞬時に反応し回避されあっさりと反撃にあい負けた。
「やっぱ実戦での使用はまだまだだったかー」
(まさか、を使って来られるとは思いませんでしたね)
苦笑しつつ悔しがるロードとは逆に通常ではなかなか使えない魔法を使用したことに驚きつつもワクワクするメイアだった。
「ロード様、何時のまに風刃を習得されていたんですか?」
「あ、えっと―・・」
(ど、どうしよう、神様のおかげですなんて言えないし、信じられないかもだし・・)
どう説明しようか悩んでいた。
「・・・もしかして、隠れて特訓を?」
「う、うん、そうなんだ!」
(な、なんとかなるか!?)
「そうですか、隠れて特訓を・・・努力をされているのは良いことですが、もしものことが有ったらどうするおつもりですか?」
「あ、あ―、それは・・・」
「ロード様?」
「すみませんでした・・!」
笑顔ではあるものの圧に負けてしまうロードでした。