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16:真偽と証
その啓太の言葉に、クラス中の視線が一点に向いた。
ざわめく教室。このクラスのメンバーにとって、龍という名前は浮かばなくても、桜井という名前は思い浮かぶ。
そう・・・それは、ただ1人だけ。
「龍~?どこにおるん?」
龍の名前を呼ぶ啓太。
―――ガタッ!
教室の静寂を壊すように、龍が椅子から立ち上がった。
啓太に視線を向ける龍。啓太もその視線に気づき、ゆっくりと龍のほうに近づいた。
「お前・・・龍か?」
啓太は龍の姿を見て、疑問の声をあげた。
しかし龍だとわかると、突然笑い出した。




