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7:始まりの日
……寒い。
目が覚めて肌寒さを感じた瑠奈は、布団から出たくないという気持ちを我慢して起き上がった。
瑠奈がいる部屋は和室で、襖を開けるとその目の前には、見事な日本庭園が広がっていた。
暦は師走を示し、吐く息も白くなっていた。
あの恐ろしい日から三か月近く時がたつが、時々夢に見るあの光景が、今でも恐ろしくてたまらない。
男の後ろに光る円く大きな月。
その光に照らされて輝く刀と、男の妖艶な口元。
その刀が自分のもとに振り下ろされる。
そして、現れた学ラン姿の少年。
今でも目を閉じれば、その光景が目の前で起こっているように感じて怖くなった瑠奈は、自分の体を抱きしめた。