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10:真偽と証
「この季彩輪を与えられた者は、四季神として選ばれた誇りをもち、月姫を守るための、覚悟をするんだ…………だけど…」
そういって龍は、自分の左手をギュッと握った。
「あいつは……一樹は……一族も、四季神も、誇りも……月姫も裏切ったんだ。
…この季彩輪を捨てるってことは、……そういうことなんだ。
信じたくても・・信じられないんだよ・・・これを捨てるってことは・・・」
龍は俯いたまま、顔を上げることはなかった。
昨日の龍の話しを思い出していた瑠奈は、教室の席に座っている龍を見た。
真面目に授業を受けている龍。
今、龍の心の中は、様々な思いがうごめいているのだろう。
―――ガラッ!!
授業中で静かだった教室の扉が、突然開いた。
そこには……思いがけない人がいた。