66/284
9:真偽と証
「今から約1300年前…平安時代に最初の月姫が現れたことは、知ってるよね?」
瑠奈は、小さく首を縦に振った。
「その初めての月姫が、四季神のあかしとして、当時の四季神たちへ贈ったのが、この……『季彩輪』なんだ。」
「…きさいりん…?…」
瑠奈は自分の手の中にある、腕輪を見つめた。
「新しい芽がふきだし、春を告げる碧色の『春彩』。
爽やかな青空と太陽が、夏を示す蒼色の『夏彩』。
鮮やかな紅葉が秋を伝える、朱色の『秋彩』。
世界を無に染める冬、白銀色の『冬彩』。
これら4つが、四季神の証なんだ。
もちろん俺も持ってるんだよ。
俺は春の四季神だから、春彩なんだ。」
龍はそういって、自分の腕についている腕輪を、瑠奈に見せた。