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1:裏切り
視線を感じたのはさっきだけで、その後は何も起こらないまま、放課後まで過ぎて行った。
龍は家での様子とは全く違っていて、見事に地味な生徒を演じていた。
瑠奈は龍が気になって何度か視線を向けたが、目が合うことはなかった。
そんなことに寂しさを感じていた。
そうしてやってきた放課後。
憂鬱な気分に悩まされながらも、仕方ないと腹を括った瑠奈。
席を立とうとしたとき、隣に一樹が現れた。
「来栖さん。案内お願いしてもいいかな?」
「うん。いいよ。じゃあいこっか。」
一樹の言葉に返事をした瑠奈は、席を立ち教室の外に2人で出た。