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9:親友と転校生
「ねぇねぇ。萱野君の周り、見事に女子に囲まれてるよねぇ~」
HRが終わった後、亜由美が瑠奈の席にやってきた。
「しかし…正反対なことに、桜井君の周りは静かだねぇ~」
亜由美の言う通り、一樹の周りは女子に囲まれているし、廊下にも一樹を一目見ようとする女子で溢れていた。
きっと一樹がニコニコと女子に対応しているのも、人気の理由だろう。
それに対して、龍の周りには誰もいなかった。
昨日の龍は一樹に負けないぐらいかっこよかった。
でも今は……ボサボサの髪にダサいメガネ。
キッチリ着た制服。
どこからどう見ても、真面目な生徒だ。
亜由美と話していると、ふと横に気配を感じた。
瑠奈はその気配を感じた方向を向くと
「来栖瑠奈さんだよね。放課後学校の案内してもらえないかな…」
そう言って噂の転校生が瑠奈の横に立っていた。




