6:始まりと終わり
「瑠奈…中に入りなよ。風邪ひくよ。」
ふわりと肩に上着をかけられた。
「ありがとう、龍。」
瑠奈は龍にかけてもらった上着を、肩から落ちないように端を握りしめた。
「また夢を見たのか?」
龍は心配そうに瑠奈を見つめていた。
「大丈夫。
もう慣れたから。
それに龍もいるしね。」
瑠奈はそう言って龍に笑顔を向けた。
龍はそんな瑠奈の笑顔に苦しそうな顔をした。
「龍……そんな顔しないで。
あたしは大丈夫だから。
だって…龍が守ってくれるんでしょ。」
瑠奈は照れながらも、龍を見つめて言った。
そんな瑠奈の言葉に一瞬目を見開いた龍だか、すぐに
「…あぁ。」
と言って瑠奈の頭を優しく撫でた。
「瑠奈は俺が守る、」
―――――
「あ~あ、やっぱり一樹は使えなかったね。」
「あいつは、心が優しすぎる。
今さら捨てたことに後悔などない。」
暗闇に少女と男がいる。
嘲笑い、怪しい雰囲気。
「やはりお前しかいないな…なぁ、一磨。」
「…はい。」
その男の足元には、ひざまずく一磨がいた。
―――物語はまだ始まったばかり…
『月ノ姫~眠れる記憶を呼び戻せ~』完結しました。
しかし!!月ノ姫シリーズはまだまだ続きます。
月ノ姫の第2シリーズも始まります。
次の舞台は、白鳳学園。
新キャラも登場して、ますます面白くなっていきます。
第2シリーズもよろしくお願いします。