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4:始まりと終わり
龍は瑠奈の元まで歩いて来て、抱きしめた。
「大丈夫…大丈夫だから…」
龍は瑠奈の頭を優しく撫でた。
すると瑠奈はその暖かさに、泣き出してしまった。
龍の胸の中で泣き出す瑠奈。
龍は何も言わず、優しく抱きしめ、ただ頭を撫でるだけだった。
龍の胸元の服を握りしめ、瑠奈は話し出した。
「私っ、不安なの…白鳳学園で、お母さんのこと思い出せるのか……自分は本当に、みんなを守れるのか…」
瑠奈は心の内をさらけ出した。
「3ヶ月前まで、普通の女子高生だった私に、本当にできるのかな…私なんかが、みんなに守ってもらう資格なんて、あるのかな…」
「言っただろ。」
頭を撫でていた手を止めて、瑠奈を抱きしめる腕をといた。
そして、瑠奈の瞳を見つめた。
「俺が…俺が瑠奈を守る!」
初めて名前を呼ばれた。
そして守るという言葉。
すべてに胸が高鳴った。