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7:戻ってきた者
「1ヶ月前ぐらいかな、保健室で妖魔が襲ってきたでしょ。
あの時私が助かったのは、彼のおかげなの。
私が妖魔に首を絞められていたとき、彼が助けてくれたの。」
瑠奈はあのときを思い出していた。
諦めないと思っていたが、心とは反対に力が及ばない。
だが、そんなとき助けてくれたのが、彼だった。
「…あれぐらい四季神が守れよ。」
黙っていた皐月が、突然口を開いた。
「おめぇら四季神は、月姫を守るためにいるんだろ。
もし俺があの場所にいなかったら、おめぇらの大事なお姫様…死んでたぞ。」
鋭い瞳は四季神の3人に向いている。
その言葉に1番早く反応したのは啓太だった。
「なんやと!?おめぇ…」
「啓太!!やめろ!!!」
皐月に殴り掛かろうとした啓太を止めたのは、龍だった。
「こいつが言ってることは正しい…あの時こいつがいなかったら……」
龍は最後のほうは言葉を濁した。