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6:戻ってきた者
誰も喋らない中、先頭を歩く龍の足が、1つの部屋の前で止まった。
その部屋の中にみんなが座った。
真ん中にいる太陽は口を開いた。
「彼は、俺と同じ中学の、『倉敷皐月』です。
彼は…まぁちょっと一般人より霊力が高くてね…いろいろ手伝ってもらってるんだ。
今回のことは知ってたけど、まさか今日だったとは思わなくてね……
なんとか間に合ってよかったよ。」
笑顔の太陽。
瑠奈たちは、太陽の話を静かに聞いていた。
「姉さんは皐月に会ったことあるだろ?」
太陽の言葉に、瑠奈は首を縦に振った。
「姫さんこいつに会ったことあるん!?」
瑠奈が首を縦に振ったことに、啓太が驚きの声を上げた。
龍や祐輔も口にはださないが、真剣な表情で瑠奈を見ていた。
「えっ、えっと…」
3人の威圧感に負けないように、しどろもどろながら瑠奈は語りだした。