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5:戻ってきた者
「さて…一樹のほうは大丈夫みたいだし、太陽君。」
祐輔は一樹の寝顔を見てから、太陽に体を向けた。
「君の隣にいる彼は、誰かな?」
部屋の隅にいた太陽が、祐輔の言葉に顔を向けた。
誰もが気にしていたこと。
瑠奈自身も、彼の正体が気になっていた。
矢が入っている筒を右肩からかけ、左手には弓を持っている彼。
1ヶ月前、保健室で会ったあの少年だった。
あの日、瑠奈を助けてくれた少年。
敵じゃないけど、なぜか瑠奈は心の中で、彼を受け入れることはできなかった。
「彼は誰?」
もう1度尋ねる祐輔。
龍も啓太も黙ったままだ。
「はぁ…」
1度小さなため息をついた太陽は、すくっと立ち上がった。
「場所変えましょうか。
ここじゃ邪魔でしょうから…」
太陽は一樹を見ながら、廊下に歩きだした。
廊下を進のは、天磨以外のメンバー。
天磨は一樹が眠る部屋に残り、一樹の横にずっと座っていた。