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6:守りたい
その声に反応するように、閉じていた瞳が開いた。
「…うっ…」
「一樹君を離して!」
痛みに苦しむ一樹。
瑠奈は一樹を捕まえている男に叫んだ。
「言われなくとも、この男はもう必要ない。」
男はそう言うと、一樹を屋上から突き落とした。
「一樹!!!!」
叫ぶ声。
校舎は4階建て。
その上に屋上がある。
この高さから落ちれば命はない。
しかし誰もが落ちて行く一樹の下に駆け付けるには遠すぎる。
「一樹――――!!!」
みんな間に合わない。
そう思っていたとき、一筋の光が横を通った。