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1:守りたい
「来栖!!なんでここに!?
早くじい様のとこに行くんだ!!」
「いや!!私には力があるんだよ!
妖魔を倒せなくてもみんなを守ることはできる!
自分の身だって自分で守るもん!!
迷惑かけないから…だから……そばに居させて…」
最初は勢いのあった瑠奈。
だがだんだんと声が小さくなり、瞳も潤んできた。
声は微かに震えてる。
「私だけ…置いてかないで…」
瑠奈はギュッと龍の服の裾を握った。
龍はそんな瑠奈に愛しさを感じ、強く抱きしめた。
右手に剣を握っているため、左手で瑠奈の頭に触れ、自分の胸に抱き寄せた。
瑠奈は急に抱きしめられ、危うく右手の月華を落としそうになった。
痛くないけど強く龍の胸に抱き寄せられ、それがとても心地よかった。
「来栖…泣くな。
もう置いてかないから…そばにいるから……」
龍はゆっくりと、優しく瑠奈の頭を撫でた。