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8:天磨と四季神
3人の剣には、それぞれの色の石が、銀色の刃の下のほうに埋め込まれていた。
春彩を持つ龍は碧色、夏彩を持つ祐輔は蒼色、秋彩を持つ啓太は朱色という感じだ。
龍は妖魔を淡々とかわし、無駄なく素早く切っていく。
祐輔は計算尽くした鮮やかな動き。
啓太は大きく振りかぶり、妖魔を1発で倒す。
それぞれの闘いかたに、個性が出ていた。
4人の周りの妖魔たちは、少しずつ消えていった。
―――…あと少し…
龍がそう思っていたとき、視界に1人の少女が写った。
―――…なんでこんなところに!!
「おい!早く逃げろ!!」
龍は少女の元に駆け寄った。
少女に近づくと、その少女に見覚えがあることに気づいた。
「お前は……来栖の…」
その少女は瑠奈の友達の、笠原亜由美だった。
「逃げるぞ!!」
早く亜由美を避難させようとしたが、背後の気配に春彩を構えた。