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6:襲撃
「来栖……これが…この前の夢か…?」
「……うん…」
龍はそんな瑠奈の返事に悔しさが募り、左手をきつく握りしめた。
「龍、今は目の前のことだよ。
早くしなきゃ。」
祐輔の言葉に龍は心を落ち着けようとした。
今焦ってもダメだ。
心にそう言い聞かせても、誰もが龍と同じような考えだろう。
「なんでや…なんでなんや!!
………一樹!!!」
啓太が悲しく叫んだ名前。
それは一樹の名前だった。
「この前言ったでしょう…
『また会いましょう』
って……」
口端を怪しく上げながら言う一樹の後ろには、たくさんの妖魔たちがいた。
空は黒く闇のようだった。