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2:襲撃
歩くたびに吐き出す息が白く染まる。
季節は師走に移っていた。
太陽と和解してから、お互い連絡をとることが増えた。
太陽は定期的に瑠奈の元を訪れ、過去の話をした。
『―――…ってことがあったじゃん。覚えてる?』
太陽は瑠奈が早く記憶を取り戻すように、細かなことまでいろいろ話した。
だが、瑠奈の反応は…
『ごめん…覚えてない…』
何度もこれの繰り返しだった。
瑠奈は太陽が話すことに全く覚えがなく、他人の思い出を聞いているようだった。
「はぁ……」
最近よくつくため息も、寒さから白くなっていた。
毎日同じことの繰り返し。
太陽の話を聞いても、全く頭に入ってこない。
瑠奈はそのもどかしさをどうすればよいのか分からず、ため息をつくばかりだった。