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11:忍び寄る影
2人の間に流れる沈黙。
それを破るように、保健室のドアが開いた。
急にドアが開いたので、目線をそこに向けた。
「姫さ~ん!!
1人で寂しかったやろ~
啓太様がやって来たで~」
「誰もお前を待ってねぇよ。」
啓太の言葉にツッコむ祐輔。
「来栖、悪い、遅くなって…って!
怪我してる!!」
龍は瑠奈の異変に気づいて、駆け寄った。
床に座り込む瑠奈。
瑠奈の反対側の壁はへこんでいる。
「もしかして、妖魔が現れたの?」
鋭い瞳の祐輔。
「うん…でも、大丈夫だから。
あの人が助けてくれたから…あれ…?」
瑠奈が視線を向けた先には、ただカーテンが風に揺れているだけだった。
さっきまで彼がいた場所には、何もなかった…