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7:忍び寄る影
「ギャア!!」
その矢は、妖魔の右腕に刺さっていた。
どうやらその矢は、開いていた窓の隙間から入ってきたようだった。
緊張感が切れ、その場に座り込んだ瑠奈。
妖魔はさっきの矢のおかげか、目の前から消えていた。
「おい!いつまで座り込んでる気だ。
さっさと立て。」
ぼーっとしていた瑠奈の耳に、声が聞こえた。
その声は、さっき矢が飛んできた方向の窓から聞こえる。
その方向を見ると、窓に少年がもたれかかっていた。
「お前が・・・本当に月姫か?」
その少年は瑠奈に怪訝な眼差しを向けた。
窓枠に浅く腰かけ、土足で保健室に入っていた。
右肩には矢をかけていて、右手で弓を持っていた。
「誰…ですか…?」
危険性はないが、気配を消すのが上手な彼を見て、瑠奈は警戒心を剥き出しにした。