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6:忍び寄る影
「おのれ…月姫…殺してやる…」
妖魔は吹き飛ばされたことを怒ったのか、先程よりも鋭い目をしていて、殺意に満ちていた。
もう一度強く月華を握りしめた瑠奈は、勢いよく床に月華を突き刺した。
瑠奈がいる場所を中心に、はられる結界。
だが体力も限界である瑠奈の力は、簡単に倒せる妖魔にも敵わないほど、弱っていた…
近づいてきた妖魔は、右手で結界に触れた。
その瞬間、結界と妖魔の手の間に火花がちり、今にも結界は破れそうだった。
―――もう…ダメ……
力の限界を感じる瑠奈。
少しずつ結界の中に入り込んでくる、妖魔の手。
バチバチと弾ける火花。
―――パリンッ!
結界が敗れた……
――刹那――
―――シュッ!
結界が破れる瞬間、瑠奈の視界に1本の矢が見えた。