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3:忍び寄る影
瑠奈は1人きりになり、改めて部屋を見渡した。
ベッドが3つあり、棚には薬品。
白で統一された部屋。
―――ここ、保健室だ…
今になってそのことに気づいた瑠奈。
少し開いた窓。
風に揺れるカーテン。
少し肌寒く感じる風。
瑠奈は龍が帰ってくるまで、その様子を見ていた。
――ガチャ…
瑠奈は鍵が閉まるような音が聞こえた。
いつのまにかカーテンの揺れは収まり、部屋の中は静寂に包まれた。
―――来た…
直感で感じ取った瑠奈は、右手で左手に触れ、月華を出した。
目の前には黒い影…妖魔が現れたのだ。
さっき倒れたばかりで、体力もまだ戻っていない。
正直今にも倒れそうだったが、必死に自分をつなぎ止めた。