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12:今どこに・・・
――・・暗闇・・・
『俺の名は萱野一樹。
月姫、また今度会いましょう。
…今度は…2人だけで…。』
そうして一樹は、暗闇の中に消えた。
「来栖!大丈夫かっ!?」
階段から駆け上がった龍は、座り込んでいる瑠奈に駆け寄った。
「平気…」
あきらかに顔色が悪いのに、心配をかけまいと、無理をしている瑠奈。
「うそつけ!保健室行くぞ!」
そんな瑠奈を見かねて、龍は瑠奈の返事も聞かないまま、抱き上げた。
――…あぁ、もう何度桜井君に抱き上げられたんだろう…
大丈夫だよ、って言いたいのに、気持ちとは反対に瞼が落ちていく。
遠くで桜井君が呼んでる・・・・大丈夫だよ、大丈夫だから・・
すぐ起きるから・・・・
瑠奈の意識はそこで途切れた。
最後に一樹が包まれていたあの黒い闇は、萱野家で見た、一樹の心の闇のようだった・・・
”助けて!!”
そう叫んでいる、あの幼い一樹の心の奥深くに眠っていた、小さな体に似合わない、黒くて深い、大きな闇・・・