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1:使者と謎
龍の正体がばれた次の日の夜、瑠奈は学校帰りに桜井家に立ち寄った。
「姫さ~ん!!いらっしゃ~い!!!!」
桜井家の入口についたとたん、瑠奈の目にこっちに駆け寄ってくる、啓太の姿が映った。
「あっ!瑠奈ちゃん、学校お疲れ様。」
祐輔はすかさず啓太を端っこに投げ飛ばし、何事もなかったように、手をパンパンとはたいてから、瑠奈に笑顔を向けた。
「あらあら、祐輔様。
啓太様をあまりいじめてはいけませんよ。」
珠李は上品に微笑んでから、まるで何事もなかったようにふるまった。
「おう!!姫様・・・って、また啓太の奴なんかやらかしたのか?」
珠李の後ろから、ひょこっと顔を覗かせた香蘭は、面白そうに笑いながら、啓太を指差し爆笑していた。
「龍様、お帰りなさいませ。
瑠奈様も、ようこそいらしてくれました。
さあ、秀一様がお待ちですよ。」
廊下の奥から歩いてきた光林が、すっと廊下の奥を示した。
瑠奈は一度深呼吸をして、足を進めた。