流れ星とクリスマス
年も押し迫った都会の夜、その雑踏の中、仕事を終えてようやく家路につく一人のビジネスマン。
我にかえり、何気に夜空を見あげると流れ星。
流れ星、夜空を飛んで去って消えて行く。
ビジネスマン、誰かが、願い事を呟いたのが聞こえた。
そう言えば、流れ星が消え去るまでに、流れ星に願いをかけると、その願いが叶うらしい。
ビジネスマン、そんな話を思い出す。
そういえば、間もなくクリスマス。
あの流れ星も、ああいうやり方で、クリスマスのプレゼントの注文をとっているかもしれない。
「そうだ確かに、そうだ」
ビジネスマンが確信する。
子供の頃、故郷の森の中、動物たちが、ひそひそ声で交わしていたそんな噂話を、聞いたことをビジネスマンは思い出す。
森の動物たちが言うには、サンタは、流れ星を使って、人々の心に秘めた願いを聞き出して、その願いをもとにクリスマスのプレゼントをたくさん用意しているのだと。
森の動物たちが言うには、秘めた願いを持つ大人たちからもプレゼントの注文を取れる流れ星こそは、トナカイにも劣らぬクリスマスの功労者であると、そう、サンタは、考えているそうだ。
冬の童話2022
お題「流れ星」