キス一回の「課金」で俺になんでも雑用を押しつけてくるとなりの四姉妹
「おはよジン君、ゴミ出しお願いね」
「はーい」
「あと、おゆはんはパスタがいいな」
「はいはい」
「ボロネーゼで」
「わかりましたって」
「あ、あと今日お弁当だったわ」
「えっ」
「ごめんごめーん、言うの忘れてたの! 課外なくなったから!」
早朝朝の六時半、俺――森崎神秀はその言葉を聞いて固まった。
パジャマ姿で、ごめんごめんと手を合わせる姉妹の長姉――御厨風夏さんを見て、ため息をついた。
「あのですね、フーさん。いつも言ってるでしょ? お弁当なんて一朝一夕ですぐできるもんじゃないんです。悪いですけど今日はコンビニ弁当で我慢してください」
「えー、それはイヤ。だってジン君のお弁当美味しいんだもん。コンビニ弁当はアレでしょ? テンカブツとか入ってて身体に悪いし」
「どの口で添加物なんて言うんですか。添加物どころか多少の傷みものだって構わないで食っちまえる鋼の胃袋のくせに」
「アッ酷い! 私だって少しぐらい健康には気を使ってるんだよ! ジン君、私をコンポストかなんかだと思ってない!?」
「健康に気を使ってるなら体型維持にもう少し気を使ってください」
俺は視線をスッと下に下げ、風夏さんのパジャマの下腹辺りに視線を落とした。
その視線に気がついた風夏さんはキョトンとした表情を浮かべた。
「……プラス1.5センチ」
「へっ?」
「ウエストのサイズです。フーさん、また肥えましたね?」
ヒイイイイ! と風夏さんは朝に似つかわしくない悲鳴を上げた。
人一倍食いしん坊で、それ故なかなか落ちない脂肪を他の姉妹から「だらし姉ぇ」とからかわれている風夏さんは、目を白黒させながら俺に詰め寄ってきた。
「なっ、なんでわかるの!?」
「わかりますよ。誰があなた方四姉妹の体重管理してると思ってるんです? それに体重の方は、えーと、ウエストが1.5センチだから、イトイをシゲサと計算して……」
「だっ、ダメダメ! 計算するな! 誰かに聞かれたらどうするの!?」
「そこまで必死になるなら昼は抜くべきです。ほらほら、俺だって登校準備があるんだから散った散った」
俺がハエでも追い払うかの如くひらひらと手を振ると、うーっ、と風夏さんは野良犬のような唸り声を上げた。
なんだろうこの反応――まさか「食っちまうぞ!」とか言わないだろうな。
俺がちょっと怖気を感じた途端、風夏さんが頬を膨らませながら言った。
「……課金」
「は?」
「すればいいんでしょ! 課金! ね! それでお弁当作ってくれる!?」
課金……と聞いて、俺は露骨に顔をしかめた。
「……あのですね」
「何よ! 私のじゃイヤなの!? いつもリンちゃんカーちゃんのはスケベな顔して受け取る癖に!」
「いや、そんなことはないと思うんですけど……」
俺は風夏さんの顔――もっと詳しく言えば、唇を見た。
四姉妹の中では一番ぽってりとしていて肉付きのよいふくよかな唇だった。
その唇が肉の脂でテラテラとするのが見たくて、ついつい揚げ物や肉料理を食わせすぎたか。
となれば、風夏さんが肥えた原因は俺にも一因があろう。
俺はため息をついた。
「わかりました、わかりましたよ。そんな顔しないでください――仕方ないなぁ」
「ほんと!?」
「その代わり、あんまり大層なものは出来ませんよ?」
うん! と風夏さんは大きく頷いて、その肉付きのよい身体をばるんっと揺らして頷いた。
「じゃあ早速、課金するね――」
ずいずいっと風夏さんが近づいてきて、俺は急に気恥ずかしくなって顔をそらした。
「ほぉら、こっち見る」
ぐい、と手で前を向かされて、その長姉らしからぬ子犬のような目と目があった。
それと同時に、両肩にかけられた手にぐっと力が入った。
風夏さんの顔がどんどん近づいてきて――そのふくよかな唇が俺の唇に着地した。
ん……という甘い鼻息がかかり、やたらと肉付きのいい身体が密着してきて、少しだけ口づけが深くなる。
風夏さんの身体に両腕を回さないのに大変な自制心が必要だった。
五秒くらいで、「課金」は終わった。
背伸びしていた風夏さんは踵を床につけて、天使のように俺に微笑んだ。
「ね? これでいいでしょ?」
「うっ、うん……」
思わず視線をそらすと、風夏さんがめざとくそれを見つけた。
「あ、ジン君顔真っ赤! ウブ! ウブ男子!」
「そういう風夏さんだって多少赤いじゃないですか! トントンですトントン!」
「えへへ……それじゃお弁当作りお願いね。カロリーは1000Kcalまで、色はいくら茶色でも許す!」
「もう……わかりましたよ。作ればいいんでしょ作れば! 課金分は働きますよ!」
「お願いしまーす!」
そう言うと、風香さんはルンルンと部屋の奥に引っ込んでいった。
くそ、姉妹の中で一番子供、だらし姉ぇのくせに、こういう時だけマセた課金しやがって。
今日の弁当はこれでもかと緑色にしてやるからな……。
俺はまだおさまらない心臓の鼓動を鬱陶しく思いながら、そう決意した。
◆
俺――森崎神秀は、今わけあってこの四姉妹が住まいを為す魔窟に半分居候している高校一年生だ。
父は出稼ぎ杜氏、母は世界的なフォトグラファーという、よくわからん取り合わせの両親は、俺が幼い頃からまず家に寄り付かない人々だった。
そのせいで、俺は隣家である御厨家にほぼ一年中預けられ、そのご両親のご厚意と庇護の下で、なんとかこの歳まで生きてこられた。
しかし、俺が高校に上がるか上がらないかの頃だ。
御厨のお母さんのご両親、つまりこの四姉妹の母方の祖父母が高齢となり、ご両親はこの家を去り、田舎で同居することになったのだ。
私たちももう高校生、立派に自活できると主張して両親を見送った四姉妹だったけれど――俺はそれが完全なるウソ・でまかせであることは察していた。
とにかく――この四姉妹が曲者なのだ。
揃いも揃ってものぐさで、面倒くさがりで不器用で、顔と身体はいいのに、家事なんか出来てもやろうとしない。
そんな色とりどりの肉団子が四つもくっつけば、ぷよぷよじゃなくてもこの家は遠からず草木に埋もれて消滅するだろう。
そういうわけで、俺はもっぱら最近は自分の家ではなく、勝手知ったる御厨家に出入りし、その家事一切を取り仕切っているというわけである。
いままで育ててくれた御厨の両親への恩返しと考えれば、それはむしろ俺が進んでやらなければならないことだった。
だが――俺がこの家の家事を取り仕切るようになってすぐ、俺たちの間で奇妙な制度が始まった。
それが「課金」制度――。
つまりキス一回で、四姉妹が様々な面倒事を俺に押し付けてくる習慣である。
最初は馬鹿正直に一回一回身体を固くしてそれを受けていた俺だったけど、最近は慣れたもので、むしろそれは労働の対価として当然の権利だと開き直るぐらいにはなれた。
いくら小さい頃からの幼馴染、否、半分家族のようなものとして育ってきたからと言って、俺だって年頃の男の子だ。
何しろ、顔と身体だけは抜群にいい四姉妹からの「課金」シて貰えば、いくらなんでも俺だって嫌な気持ちにはならなかった。
だが、俺の予想を裏切って。
この四姉妹はどこまでも曲者だった――。
◆
「ただいま……」
俺が御厨家の玄関に入ると、「あら、おかえり」という鈴を転がす声が聞こえてきた。
その二つぶらさがった三編みの後頭部は――この家の次女、御厨林音さんのものだった。
林音さんはブレザー姿のまま、居間に膝をついたままテレビを見ていたようだった。
「ああリンさん、今日は部活ナシですか?」
「ええ、色々大変な時期だから。生徒会もなくなっちゃし」
「そうですか……大変ですね」
「それはそうと、ジン君は買い物の帰り?」
「ええ、フーさんに今日はパスタがいいって言われたから」
「あら、悪いわね。フー姉さんにはあんまり好き嫌いするなって後で言っとくから」
「いえ……」
そう言うぐらいならアンタたちが積極的に家事をしてくれればいいんだけどな……。
俺は喉元まで出かかった憎まれ口を飲み込んだ。
この人は御厨林音。俺たちが通う御厨高校の二年生だ。
品行方正、成績優秀、生徒会副会長も務めていて人望もあり、その誰彼にも優しい物腰の柔らかさを知られる才媛である。
だが――曲者度なら、この人もなかなかの曲者だ。
この物腰と身体の柔らかさに騙されてはいけない。
俺はなるべく林音さんの方を見ないで家に上がり込んだ。
「さて、そろそろ台所貸してもらいます」
「はーい」
「今夜はパスタで」
「はい」
俺がビニール袋を持って御厨家に上がり込むと――林音さんがテレビを消した。
「ねぇジン君。疲れてない?」
「は――?」
「なんだか元気なさそう……ちょっとここ来て休みなさい」
おいで? と林音さんは自分の膝をポンポンと叩いた。
来た――俺は背筋に走る怖気を感じた。
「あ、いや……いいです、大丈夫なんで」
「何を言ってるの。私が疲れてるというんだからジン君は疲れてるの。ね? 少しでいいから」
「ホント……ホントいいんで、あの、俺、睡眠もよく摂れてるし、ちゃんと食ってるし……!」
「そんなことは自分じゃわからないものなの」
眠そうな声ではあったけど、その林音さんの言葉には有無を言わせない響きがあった。
「さぁ、休んでいきなさい。お姉さんの言うことは聞くものよ?」
林音さんは妖艶な微笑みとともに両手を広げた。
それはまるで迷える子羊たちを癒やし、庇い護ろうとする女神のような表情で――。
林音さんの悪い病気がこれだ。
とにかく――無闇矢鱈に人を甘やかそうとするのである。
それはもう、妹や姉だけにとどまらず、俺相手でも。
そして特に、長姉である風夏さんを。
とにかく包容してはデロデロに甘やかして溶かし、肥え太らせ、罪なき人々を迷える子羊に変えてしまう厄介な人なのだ。
そのせいで姉妹間と俺の間でついた名前が「歪み姉ぇ」――。
まるでサキュバスのように人々を誘惑し堕落させる歪んだ性癖を持ったこの姉は、その手練手管を他の姉妹に恐れられているのだ。
俺は断固として首を振り、さっさと台所に向き直った。
「あの――リンさん、ホントいいんです! 後でたっぷり甘えさせてもらいますから! あの、俺、パスタ作るんで――!」
「課金」
――その一言は、まるで雷のように響き渡った。
俺がぎくしゃくと振り返ると、林音さんの勝ち誇ったような笑みがあった。
「ジン君に課金するわ。だから休みなさい。少しでいいから――ね?」
林音さんは、人差し指を唇に当てながら言った。
赤いリップグロスの塗られた、赤く腫れたようにな、蠱惑的な唇に。
ぞぞっ――と、俺の背筋にさらなる悪寒が走った。
課金つきで――しかも膝枕してくれるというのか。
否、この人は違う。この人は膝枕した上で俺の唇を貪ろうというのだ――。
「あの、ホント勘弁してください! もうすぐカーさんとかも帰ってくるだろうし……」
「課金要らないの? あーあガッカリ。ジン君は結構意気地なしなんだね」
「うぐ……!」
「そーれっそれ、課金♪ 課金♪ 課金♪」
林音さんは手を叩いて歌い始めた。
これは――もう覚悟を決めるしかあるまい。
俺はビニール袋を投げ出し……少し迷った後、おっかなびっくり林音さんに歩み寄った。
「あの……」
「さーさ、ここに頭をどうぞ?」
「失礼します……」
俺は畳敷きの上にごろりと横になり、林音さんの膝に頭を載せた。
最初――林音さんの方を向いていたけど、これはいけない。
俺が慌てて壁の方に寝返りを打つと――林音さんが頭を撫でてきた。
「ほら、やっぱり疲れてる――髪にハリがないもの」
「……もとからですよ。これで結構剛毛なんです」
「そうかなぁ、小さい頃、一緒にお風呂入ってた時は結構猫っ毛だと思ったんだけどなぁ」
「そんな昔のこと思い出さないでくださいよ――」
俺はたぶん、耳まで真っ赤になりながらその拷問に耐えた。
林音さんはそれから十分近く、何がそんなに楽しいのか、子守唄のような鼻歌を歌いながら俺の頭を撫でた。
「あの――もういいですよね?」
俺はそう宣言し、上半身を起こして壁際を向いた。
背中に、うふふ、という蠱惑的な笑い声が聞こえた。
「遠慮しなくていいのに」
「遠慮なんかしてませんよ。課金シてもらってリンさんのお願いを聞いただけですから」
「あらあら、そんなに課金シてほしいの? イケない子ね」
「それは――リンさんがそうしたいって言ったから――!」
俺が振り向きざまにそう言ったときだった。
のけぞりそうになるほど既に近くにあった林音さんの顔が――俺と重なった。
「ジン君――」
ほう、という甘いため息とともに、俺は林音さんに唇を奪われた。
まるでそれは女神が祝福を授けるような、優しく、甘いもので――。
ふと――林音さんは俺から唇を離した。
あまりに突然な追加報酬に、俺は思わずさっきにも増して赤面した。
そんな俺を、うふふ、と林音さんはからかうように笑った。
「相変わらずウブねぇ、ジン君は。課金する度に真っ赤になって」
「すっ――するならするって言ってくださいよ! ああ、びっくりした――!」
「する、って言ってからしたら、ジン君のその顔が見れないもの。不意打ち成功だ♪」
悪魔は、ぺろり、と舌先で唇を舐めながらそう言った。
その所作に、頭に音を立てて登る血潮の音が聞こえた気がした。
「さーさ、ご飯の前に宿題しよっと」
林音さんは満足そうに微笑み、トントンと階段を昇っていってしまった。
くそっ! と俺は心の中で毒づいた。
この人はどっちなんだ。女神なのか――それとも悪魔なのか。
子供の頃から相変わらず蠱惑的で得体が知れない、魔性の課金女。
それが御厨林音という人なのだった。
◆
俺が四人分のパスタを煮た鍋にひとつまみの塩を入れたときだった。
バァン! と音がして、玄関のドアが開いた。
この玄関の音を聞くに――また面白くないことが起こったに違いない。
俺はコポコポと沸き立つ鍋を菜箸でひとつかき回してから、玄関を振り返った。
「カーさん、今日は何があったんで?」
俺が言うと、ギリッ! と音がしそうな勢いで、鋭い目が俺を見た。
長い長いポニーテールが、その美しい黒髪を誇示するかのようにシャラリと揺れる。
「ジン……! 聞いてくれるのか?」
「あんまり興味ないですね」
「んな……! ならなんで訊いてきた!?」
「カーさんが訊いてほしそうだったからです」
「聞いてくれるんだな!?」
「聞きませんよ」
「どっちなんだ!」
「訊くけど聞きませんの方です」
俺ののらりくらりとした言葉に、カーさんこと御厨火凛さんはますます苛立ったようだった。
「うぉのれぇ剣道部の連中め……! 人のことを勝手に部員にしておきながら私のことを散々馬鹿にし腐って! 私は剣道になんか興味がないと前から言ってるのに! 私は手芸部だけに入りたかったんだ! あんな臭い道着を着てやるチャンバラの一体何が楽しいと言うんだ!」
火凛さんは地団駄を踏みながら、憤懣やるかたないと言うように喚き散らした。
そりゃまぁ、その風体で手芸部は勿体ないわな……。
俺は火凛さんに同情するかたわら、この人を是非剣道部にと推挙したクラスメイトの方にも同情した。
真っ黒で艷やかな髪、切れ長の目、名前の通り火のような性格と、凛とした立ち姿、そしてこの中性的な口調――。
まるでそれは、時代劇に出てくる女剣士のよう。
火凛さんはこういう人であるから、どこからどう見ても手芸部に入るようなタマには見えないし、その如何にも武人というような風体を買われ、一年生のときには剣道部と薙刀部と空手部が彼女の奪い合いをしたという逸話がある人だ。
しかし反面――こう見えて火凛さんは運動のたぐいが全くできない。
かけっこすれば駄肉の塊であるフーさんの方がまだ早いし、逆上がりはいまだ練習中、キャッチボールすら怪しいというぐらい、全くできない。
手先はこの姉妹の中では例外的に器用で、唯一俺ができない裁縫なんかは火凛さんがやってくれるのだけど――それにしたってこの凛々しい外見には似合わない。
毎日イヤイヤ顔を出している剣道部で、日に十回ぐらい竹刀でぶっ叩かれて床に転がることになるのだから、火凛さんはよく考えれば損な人でもある。
俺は確実に同情して言った。
「もうやめたらいいじゃないですか、剣道部。手芸部と掛け持ちしてるんでしょう? 手芸部が忙しくなったからって言えばいいじゃないですか」
「お前までそんな事を言うのか!」
火凛さんはくわっと俺に向き直った。
「私の友達が私を信じて推薦してくれたんだぞ! その顔に泥を塗るようなことができるか!」
全く――火凛さんはこれだから面倒くさい。
この人はこの見た目通りというかなんなのか、基本的にいい人なのだ。
ウソや誤魔化しが嫌いで、人に頼み込まれればイヤとは言えない、見た目通りの真っ直ぐな人。
それ故我々は彼女を「仕方姉ぇ」と、ある種の惜しみない尊敬を持って呼んでいるのだ。
「でも、いつまでもそんな風に竹刀でぶっ叩かれてたらいつか大怪我しますよ? カーさん、そう見えて逆上がりもムリだし」
「う」
「大体、手芸部の方だって忙しいんでしょう? 無理ですよあの強豪の剣道部と掛け持ちなんて」
「それは……そうだ。だがな――どうも一人では、いつも煙に巻かれるというか、その……」
火凛さんはそこで似合わないモジモジを見せた。
俺はため息をついた。
「一緒に職員室についていきますか?」
「ん?」
「俺が一緒に行ってあげます。もう剣道部辞めたいって顧問の先生に言いに行きましょ?」
「おお、確かに流石に二人連れならいつものように煙に巻かれまい! お前頭いいな!」
火凛さんはそう言って顔を輝かせた。
そう、火凛さんは運動ができない上に、この通り単純な人でもある。
名案だ妙案だと繰り返す火凛さんに、俺はなんだか笑ってしまった。
「さ、そうと決まればしっかり食ってたくさん寝て、断る勇気を充電しましょう? 制服着替えてきて――」
そのとき――きゅっ、と、ワイシャツの肘を摘まれ、俺はカーさんを振り返った。
姉妹の中では一番色素の薄い、桜色の唇をきゅっと噛み締めた火凛さんは――なんだか火照ったような顔でぼそぼそと言った。
「あの……ジンよ。その、な」
「はい?」
「い、一応、お前にこんな事を頼むからには……その、お前に課金せねばならないよな」
課金?! カーさんが!? 俺は驚いた。
火凛さんが「課金」することはあまり多くはない。ただ義務的にほっぺに口を寄せてくるのが関の山だった。
それどころか他の姉妹が俺に課金すると言うと、何をふしだらなことをと怒り出すぐらいだ。
そんな火凛さんが自分から課金などと言い出したことなどー―今まで一度もないのではないだろうか。
「あの、カーさん……?」
「その、安心しろ。私はフー姉ぇやリン姉ぇのように上手でもないし、美人でもないが……全力を出せばお前を悦ばせるぐらいはできるかもしれない。その……」
「あ、いや! いいですよ別に! そんな大したことお願いされたわけじゃないし! 課金いらないです!」
「何を言い出すんだ。それでは私の気が済まんではないか」
「いやいや、いいですって! カーさんまでそんな……!」
「ああもう、やかましいッ!」
その瞬間、火凛さんの左手が素早く動き、俺の右手首をぐっと掴んだ。
そのまま凄い力で俺を壁際まで押しやると、火凛さんは俺の右手首と左肩とを壁に縫い付け、俺の股の間に右膝を蹴り込んだ。
カーさんは全姉妹の中で一番上背があるから――畢竟、俺とカーさんはかなり至近距離で見つめ合うことになった。
「かっ、カーさん、何を……!」
「男らしく課金されろジン、行くぞ――!」
その言葉を最後に――火凛さんは俺の唇に真っ直ぐ喰らいついてきた。
ぐっ、と右手首を掴む手が熱くなり、既にゼロ距離のカーさんの顔が、ぐいっと更に圧力を掛けてきて、俺はウッと呻いた。
うわ、誰よりも超ディープ……!
興奮と言うよりも大混乱している俺を余所に――火凛さんは一生懸命に俺の唇に吸い付いてくる。
不格好な中にも必死さだけは伝わる動きで舌が動いた後――やっと火凛さんの顔が俺から離れた。
途端に、たらっ、と、俺たちの間に銀色に輝く糸が伸びて――。
虚空に吸い込まれるようにして――消えた。
「……どうだ、課金になったか?」
美女というよりは絶世の美男子である火凛さんの本気の目と声に、俺の心の中の、今まで一度も震えたことのない部分が震えた。
「は、はひぃ、凄かったでしゅ……!」
想像以上の「重課金」に、まだバクバク言っている心臓を両手で押さえながら答えると、よかった、と火凛さんが安心したように微笑んだ。
掴まれた手首から力が抜けると、同時に俺の腰からも力が抜け、俺はすとんと尻もちをついてしまった。
「あ、あの、俺、パスタ作りましゅね――!」
そういえば鍋を火をかけたままだった。
俺が這々の体でその場を逃げ出そうとすると――また火凛さんに肘のあたりを掴まれた。
「あの……ジン」
「まだなにか!?」
「その、折角の申し出申し訳ないんだが……やっぱり剣道部は続けるよ」
「んな……!? そ、それじゃ今の課金が無駄になっちゃいますよ!?」
「いい、一発貸しといたままにしてやる」
それから火凛さんは、その涼やかな顔をポッと桃色に染め、蚊の鳴くような声で言った。
「それに、思った以上に悪くなかったぞ、課金。今剣道部をやめたら、その……今後、お前に課金する口実が消えてしまうからな……」
普段はそんな事を言わない火凛さんの言葉に、正直――グッと来た。
あ、あわわ……とパニクっている俺と視線を合わさずに、火凛さんは回れ右をした。
「話が長くなったな……私は部屋に戻る」
ポニーテールをムチのようにしならせて、火凛さんは、ぷい、と回れ右をし、階段を昇っていってしまった。
後には、鍋の中ですっかり水気を吸って白く膨れたパスタと、おそらく真っ赤になったままの俺だけが残された。
「は」
俺はまな板の上で握り拳を握り、呻いた。
「激しすぎるだろ……!」
普段デレない火凛さんだけに、そのデレの破壊力たるや尋常じゃなかった。
しかも――なんか今後も俺に継続的に課金シ続けるつもりらしい。
あんな感じで「課金」され続けたら、俺、おかしくなるかも――。
俺の今後に重大な懸念が生まれた瞬間だった。
◆
「なんだか――やけにコシのない麺だな。煮方間違えたんじゃないか、ジン」
「あらあら、こうなったのは誰のせいかしらね? ねぇジン君?」
「そうかなぁ、私は美味しいけどなぁ。ジン君の料理はいつ食べても美味しいし」
姉妹はミートソースのボロネーゼを口に運びながら、姉妹は口々に料理の味を品評する。
風夏さん、林音さん、火凛さん、三人分の唾液を一日で受け止めた俺は、誰の言葉にも答えず、むっつりとパスタを口に運んだ。
と――そのときだ。
ガチャ、という音が聞こえて、玄関のドアが開いた。
「ただいまー……」
沈んだ声とともに帰ってきた、四姉妹最後の一人――中学三年生である末っ子、御厨山女ちゃんのご帰宅だった。
「あら、ヤマちゃんおかえり!」
「うん……ただいまフー姉さん」
「ん? どうしたヤマ。随分元気ないな」
「んーん、別に……」
山女ちゃんはそう煙に巻いて、すたすたと家の中に入ってきた。
どう考えても尋常ではない様子に、林音さんが声をかけた。
「あら、心配……ねぇヤマちゃん、どうしたの? 悩みがあるお姉さんたちに相談して?」
林音さんの声に――山女ちゃんは身体が萎むようなため息をついた。
「んー、ちょっとね……部活のことで悩みがあって……」
「部活? 部活って、文芸部のこと?」
「どうしたイジメか? けしからん、私が出ていって丸く事態を……」
「やめなさいカーちゃん。あなたが出ていけば事態がこじれるわ」
「なっ――! 何を言うんだリン姉ぇ! どういう意味だ!?」
「山女ちゃん」
俺はそこで初めて口を開いた。
山女ちゃんだけでなく、他の三姉妹の視線も俺に集中した。
「誰かに相談したいけど、お姉さんたちは頼りないから相談したくないんだよね?」
俺がズバリ言うと、山女ちゃんはすぐ首を縦に振った。
当然だ。山女ちゃんはこのダメ姉妹の末っ子、貴重な常識人だから、この姉たちが如何にダメな人間たちなのか知り抜いているのだ。
山女ちゃんはこの姉妹の中では最も温厚で、最も俺の家事を手伝ってくれる俺の「大天使」――そして、姉妹で一番の引っ込み思案でもある。
だらし姉ぇ、歪み姉ぇ、仕方姉ぇの黒い三連星に頭を押し付けられるようにして生きてきた彼女は、それ故なのか何なのか、小さい頃から外で快活に遊ぶよりも、部屋にこもって本を読んでいるような文学少女だった。
その本好きが高じて、中学では名門と名高い文学部に入ったのだけれど、特に悩みもなく今までは楽しそうにしていたはずで、山女ちゃんがここまで部活のことで落ち込んだところは見たことがなかった。
でも、高校一年生であって一番歳も近く、なおかつ血縁関係者でない俺なら、話す気にもなるかもしれない。
「だったら俺が聞くよ。話してごらん?」
俺が促すと、しばし迷ったような表情とともに視線を下に落とした山女ちゃんは――それから観念したように話し始めた。
「今度、文化祭に出す短編があるんだけどね……」
「うん」
「ちょっとそこの書き方で詰まってて……何回も何回も書き直したんだけど、うまくいかなくて……」
「はぁ……どんなシーン?」
「どんなシーン、って……」
俺が頷くと、山女ちゃんは何事なのか、顔を俯けてしまった。
え? と俺がその顔を覗き込むようにすると、山女ちゃんは体ごと俺から逃げた。
「山女ちゃん……?」
「ス、シーン……」
「へ?」
「キス、シーン、キスシーンなの……書けないシーン」
シーン……と、まるでダジャレのように場が静まり返った。
俺と三姉妹が空中で視線を錯綜させると――口を開いたのは風夏さんだった。
「あの、ヤマちゃん? あのね、それは別に悩むようなことじゃ……」
「悩むよ! だって仕方ないじゃない! まだ……私シたことないし!」
何かが爆発したかのように、山女ちゃんは張り詰めた大声を出した。
泣きそうな顔で山女ちゃんは姉たちを見た。
「でも絶対必要なの! キスシーンも出てこない恋愛小説なんてお肉が乗ってない牛丼みたいだもん! でも書けないの! 色々そういうこと想像したり、お気に入りの本を読んだりしたのに、私、どうしても書けなくて……!」
それを最後に、山女ちゃんは肩を小さく震わせてシクシクと泣き出してしまった。
どうしようか……俺たちが再び視線を錯綜させたその時、林音さんの目が光った。
ぱちり、とフォークをテーブルの上に置いて、林音さんは諭す声を出した。
「ヤマちゃん、そんなことで悩む必要はないのよ?」
山女ちゃんが真っ赤な目で林音さんを見た。
「書けないなら――研究すればいいだけなの」
けんきゅう? と、山女ちゃんの唇が動いた。
姉妹の中では一番薄い、年相応の未発達の唇――って、何を考えてるんだ、俺は。
まさか、林音さんの言う「研究」って――。
「いるじゃない、ここに。いつもいつも私たち三人から課金シてもらってる経験豊富な男の子が」
はっ――!? と俺は息を呑んだ。
それがまずかった。四姉妹の視線が一気に俺に集中した。
「私が、ジンくんと――?」
山女ちゃんの顔がぽっと赤くなり、潤んだ目で俺を見た。
「りっ、林音さん――!?」
「ジン君、今まで私たちはさんざんあなたに課金シてきたけど、ヤマちゃんだけからはもらっちゃダメって言ってきたわね? あの子からの課金を受け取ったら刺し殺すからってずっと言ってきたわよね?」
「そ、そうです! その通りです!」
「でも、この子ももう中学三年生。色々と経験を積む必要もあると思うの。それにヤマちゃんはこのままだといい小説が書けないわ。私たちも課金するから協力して」
「絶対嫌ですッ!」
俺は断固として首を振った。
「俺は山女ちゃんだけとはそういうことをしません! 山女ちゃんは俺の妹みたいなもんなんですよ!? 断固拒否しますッ!」
「えー、そんなこというなら私たちもあなたのお姉ちゃんみたいなもんじゃない。お姉ちゃんに課金シてもらうのはよくて妹ちゃんからの課金はダメなの?」
意外な角度からの援護射撃を喰らい、俺はハッと風夏さんを振り返った。
それを見た林音さんが、かかったな、というようにウフフと妖艶に笑った。
「そうそう。夕方なんかあんなに積極的に私に課金を求めてきて――嫌がる割には上の口は随分積極的だったじゃない?」
「何ィ!? ジン貴様……! お前、さっき私が課金シたばかりではないか! 早速浮気したのか! しかもリン姉ぇと……! この尻軽男め!」
「えー? 私なんか学校行く前にジン君に課金シたよ? おべんと美味しかったぁ。ジン君も美味しかったけどね」
ええい、黙れ黙れ黙れ! と俺は悪代官のような声を上げるところだった。
山女ちゃんという聖域を護るためにはこの姉妹は黙らせねばなるまい。
そういきり立つ俺とは裏腹に――この姉妹はどこまでも残酷だった。
「ヤマちゃん、あなたはどう思う? ジン君に課金シたい?」
びくっ、と、山女ちゃんが怯えた。
俺はその答えを聞く前に逃げ出そうと椅子を蹴飛ばして駆け出した。
自分の家に入って内鍵を締めて籠城――と、その考えがまとまる前に、驚くほど素早く動いた風夏さんの手が俺の首根っこを掴んだ。
そのまま、まるでアメーバのように林音さん、火凛さんが脚でも腕でもまとわりついてきて、俺をガッチリとそこに拘束した。
「や、やめろォ! 俺に、山女ちゃんに何をさせる気だ! 離せこのダメ姉ども! やめろォォォォォ!!」
「さぁ、ヤマちゃん! 今よ! 思いっきり美味しくいただきなさい!」
「私たちが動きを止めた! 長くは持たないぞ! ヤマ、早くしろ!」
「何も怖がることはないわ! そーれっそれ! 課金♪ 課金♪ 課金♪」
ごくっ――と、山女ちゃんのか細い喉が動いた。
山女ちゃんの顔は真っかっかで、黒目がぐるぐると回っている。
このまま卒倒するんじゃないかと俺が心配になった、その瞬間。
どうするか迷ったような所作の後……山女ちゃんが覚悟を決めたような目になった。
「いただきます」
低い声で宣言するなり、山女ちゃんが俺の両肩をガッチリとホールドした。
山女ちゃんは姉妹の中では一番背が低いから、背伸びをしても俺の唇には届かない。
俺は首の力を総動員し、山女ちゃんを護ろうと死物狂いで抗ったけど――火凛さんの腕が俺の頭を押し下げ、遂に俺と山女ちゃんは見つめ合う格好になった。
「山女ちゃん! やめるんだ! 君も――君も向こう側に行きたいのか! 俺は、俺は! 君だけは穢したくな――!」
俺の哀願は、そこで途切れた。
目を閉じた山女ちゃんの顔が近づいてきたと思った途端――俺の唇に、ほんの少し、ほんの少しだけ温かさが伝わって――離れた。
ぽーっ、と、熱に浮かされたような山女ちゃんの、潤んだ目が俺を見た。
その後、山女ちゃんは急に我に返ったような表情になり、あ、う……ともじもじと身を捩った後、ちょっと嬉しそうに言った。
「えへへ……シちゃったね、ジン君」
それは、あまりにも、壮絶に――可愛い一言だった。
アアッなにこれ、ダメ姉三人の陵辱的な課金とは、全然違う。
そう、それはなにか途轍もなく甘酸っぱくて、そして青臭い感じ――。
俺の頭の中に何かがガラガラと崩れ落ちる轟音が聞こえたのと同時に、俺の中で何かが硬い殻を突き破り、卵の外に這い出て産声を上げるのを聞いたがした。
そして、それと同時に、きゃあああ! というダメ姉三人の嬌声が耳を劈いた。
「キャーッ! ヤマちゃん可愛い! 初めてジン君に課金シた時思い出しちゃった! そうそうこんな感じだった!」
「最初は私たちもこんな風な感じだったのねぇ……なんだか私まで恥ずかしくなっちゃったわぁ」
「お、おい、なんだこれは? 今のが課金シたことになるのか? 私の時はもっと深いというか激しかったんだが……」
「もっ、もう! カー姉ぇは恥ずかしいこと言わない! これでいいの! カー姉ぇみたいなはしたない人と一緒にしないで!」
ヤマちゃんがあまりにデリカシーのないカーさんの発言を咎めると、「ああ、それはそうよねぇ」と林音さんが俺の耳元で囁いた。
「自分で課金シただけじゃわからいことも多いかもね。キスシーンを書くならなるべくいろんな人の課金を見たほうがいいわね」
はっ!? と俺は林音さんを目だけで見た。
すかさず、風夏さんが「そうそう! 色々食べ比べた方がいいよね!」と賛同したところに、「私たちもジンに詫び課金せねばならないしな」と火凛さんの助太刀が入って――「私ももっと課金シたい!」という山女ちゃんの一言がトドメとなって突き刺さった。
ここぞとばかりに筋肉が膨張し、俺はまとわりつく三人をなんとか跳ね飛ばした。
逃げ出そうとしたところで足がもつれ――俺は御厨家のフローリングに無様に転がった。
ひ……! と俺は、脚で床を掻いて後ずさった。
後ずされば後ずさるだけ――悪魔の四姉妹がじりじりと近づいてきた。
俺は尻をにじりながら、遂に壁際まで追い詰められた。
「や、やめて……勘弁して……! 四人がかりで課金されたら、お、俺……!」
命乞いする俺をあざ笑うかのように、というより、実際にあざ笑いながら――。
四姉妹の中の一番デカくて厄介な悪魔――林音さんが、俺に死刑宣告を下した。
「課金四人分、入りまーす♪」
◆
その後の御厨家にて起こったことは――いくら俺でも語るまい。
それからかなりの長い間。
とっかえひっかえ、俺の身体はまるでシャチの群れに弄ばれるアシカのように、屠られ、放り投げられ、齧られ、吸われ、舐められ――俺の唇は四姉妹からの「課金」を受け止め続けた。
全てが終わった後――俺は半死半生の姿で御厨家のフローリングに転がされていた。
悪魔四人分の課金を受け止め続けた俺の顎は、後半には噛み合わせがおかしくなってきちんと閉まらなくなっており、そこからは四姉妹の欲望そのものである唾液がだくだくと溢れ、ワイシャツに広大な染みを作っていた。
そんな俺を見て、風夏さんがくすくすと笑った。
「ねぇ、流石にちょっと美味しくいただき過ぎたかな?」
大して悪いとも思っていなさそうな顔で言った風夏さんに、林音さんが悪魔そのものの声で笑った。
「そんなことないわ。見なさいよあのジン君の顔。すっごく幸せそうよ?」
林音さんが俺の顔を指差すと、なんだか黒髪のツヤが増したように思える火凛さんが満足気に微笑んだ。
「そりゃあ今どき、課金シてもらって喜ばない人間などいないからな。嬉しくて嬉しくてたまらないだろう?」
さっきまでは天使だったはずの山女ちゃんは名実ともに一皮剥け、既に片鱗を見せ始めている小悪魔の顔で微笑んだ。
「ありがとうねジン君! 私、課金シたおかげですっごいキスシーンが書けるよ! 今からでもわかるんだ!」
溌剌とした山女ちゃんの声を聞きながら――俺は頭の片隅で思った。
アレ? これおかしくね?
俺――こいつらに雑用を押し付けられる代わりに課金シてもらってたんじゃないっけ?
けど、なんか徐々に、俺に課金を一方的に押し付ける感じになってね?
俺、俺――なんでこんなことしてんだっけ?
まぁでも、そんなこと、どーでもいいや。
どうせ考えたって仕方がないことだし――。
それに全然、全然イヤじゃなかったし。
ああ、なんだか、なにもかもがどうでもいい。
俺はたぶん、この先ずっと、この悪魔どもの慰み者にされる運命なんだろう。
課金を搾り取ってくる、否、課金を一方的に押し付けてくるこの姉妹に。
今日も、明日も、そしてこれからも――。
そんな諦めの気持ちを頭の片隅に感じながら、俺は御厨家の広いフローリングにぐったりと転がり続けた。
その時見上げた御厨家のシャンデリア型の室内灯の光は――。
なんだかとても極彩色に、薔薇色に輝いて見えた。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
このネタを思いついた時はさすがに震えました。
こんな下劣なネタを文章で書いてよいものかと。
一歩間違えば大変なことになるのではないかと。
でも、書き出してみるともうそれはそれは筆が乗りました。
こんな深夜のテンションみたいな感じで書ききれた作品はないでしょう。
ということで、
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何卒よろしくお願い申し上げます。