(8)
話がうまくまとまりません…あーーあ・・・
えっと…あの…(なんて呼べばいいか…)キサメ様?
まだ頭が混乱しているのに、そんなこと言われても困る。
「自分から殻を破る少女に憧れて、私を主人公にした話を書いたということは、私に会いたかったということを示している。」
確かにそうだけど…何故あなたがそれを知っているの??
「あなたは、いつかこんな少女が、あなた自身の殻も破り、願いを叶えてくれることを夢見ていた。そうでしょう?」
「そのためにこんなことが…」
夢にしか居なかった、自分を変えてくれる少女。
今その少女が、目の前にいる。
それが信じられない。
「そう。でも、あなたの願いを叶えるためには、代償がいる。」
「それは…??」
「あなたを大切にしている身近な同性の命を、あと一時間にすること。」
「え?」
「その人は…遠崎宙奈。」
「…………は、い?」
どういうこと!?
なんで私のために宙奈が死ななきゃいけないの!?
「ただし、一時間以内にあなたの願いが叶ったなら、その人の命は普通の長さになる。あなたの願いは…?」
「継原駆と、キスすること。」
いつからか“好き”だと意識し始めた。
でも怖かった。断られることが。
「でも……私に出来るわけない。」
キサメは呆れたように言った。
「…そんなこと言われても困るんだけど。」
…それは私のセリフだ。
キサメは、ため息をついて続けた。
「私は、あなたがしたことがスムーズに成功するようにする力を持っている。だから、行動を起こすのはあなた。じっとしてちゃ、何も始まらないのよ。早く行きなさい。」
「…はぁい。」
「時間がない。今から始める。よぅい…スタート。」
私はすぐに駆を探しはじめた。
あいつのことだから、学校の図書館でエロい描写を探したり、こっそりバカな本読んでたりするんだろう。
私は学校の図書館に急いだ。
(宙奈は生け贄ということだろうか)
走りながら考えた。
(でも、私のせいで宙奈が死ぬなんてことがあったらいけない。急がなきゃ。)
疲れてるのかもね。