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「えっ、言わせるだけ言わせてやらせないのは困るぞ!」


何だ、この会話。

半ば呆れる。

てか………やらせる(・・・・)とかさ。何か勘違いしてない?

「あたしはキスだけしたらすぐに去るからね?」

大体突然キスする必要性が出てきたのも、宙奈(そな)のため、という理由がほとんどだし。

「うぅ……何だよそれぇ。」

駆はやはりキス以上を求めているようだが、

「あたし急いでんのよ。確認だけ済ましたら帰ろうと思ってたのにぃ…」

と拗ねることで誤魔化す。

「ふ、古滝が言うならしょうがないけど…」

「じゃあ早くしてよ」

「……はいはい…」

好きな相手に“しょうがなく”キスする、ってのも変な話だが、まあ駆と私という何ともデコボコなコンビなら仕方ないだろう(仕方ないってことにして良いのか?)。


駆が一歩近づいた。自分の体が緊張できゅっと引き締まるのが分かる。

もう一歩。顔と顔の距離が30センチくらいになった。

駆は息を吸って、また一歩近づく。暖かい息が顔にかかる。

私は心臓が変にドキドキしてくるのにつられて、何だか焦る。

(近すぎてよく分からないが、)いつになく真面目な顔の駆。瞳の微妙な色合いを見つめている間に、駆は最後の一歩を踏み出した。

頭の中の色んなものがこんがらがって、思考回路が回らなくなって…



一分間、沈黙。



しかし、再び二人が離れた時には、私は次にすべき事を考えていた。

「今から図書室に戻るから。」


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