(1)
めくるめく日々。去年も一昨年もおんなじ繰り返し。ということで、春の委員会決めが始まった。
「えー、いないので、後でまた聞きます。」
次。五六人の手が挙がったのは、保健委員。
「じゃあじゃんけんして下さい。」
ぞろぞろと立ち上がる皆さん。そして勿論次は………「次ー。図書委員」
「ほぁい!」やっぱり。
振り向くと、3B名物の本好き萌え眼鏡っこ…ではなく、3Bのある意味名物、宙奈が、立ち上がりピンと天井をついていた。
凛とした瞳。
短い髪をちっちゃくふたつに結んだヘアは、遠崎宙奈そのものだった。
小顔なのが、ちょっと羨ましい気もする。
「あたしが、やります。」
やけにきっぱりと言い切っていた。
鋭く瞳が光っている。
「じゃあ…もう一人は…古滝さんね。」
宙奈に気圧されつつも、実はやりたかった図書委員に挙手した私は、何か申し訳ないような気持ちになった。
古滝怜香。
クラスで草食系だけどなんとか生きていける奴。
それが私だ。
「やっちゃったな…」
と感じ力が抜けた状態のまま、いつのまにか委員は全て決まり、休み時間になっていた。
「そなっち!!宿題見せて!!」
「もー、駄目だよ詩織ちゃん。先生まだいるじゃん!!移させてあげるけど。」
「ありがと、助かったあ。」
そんなやりとりをする宙奈を横目に見ながら、私は気まずい休み時間を過ごしていた。
机に突っ伏しながら、
宙奈と同じ委員にしてしまった破滅行為&何故に宙奈が人気なのか について考えていた。
でもそんな疑問に、私は。
結局は、
自分がしたいことを貫き通したから&明るくて言ったことは絶対守る忠実な性格で、しかも可愛く勉強もできるから
というやや悲しい結論を出してしまい、解いてしまうことを私は知っている。
世の中、知らない方がいい、気付かないままの方がいいものがあるんだってことも、流石に中3になれば分かる。