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第九話 『女体化』

別名:俺の趣味


あ、今回もちょいと長めだぜー

 そうこうしているうちに風鷹はぐったりしていた体に力を入れ、もがき出した。

 その様子に気付いて火狼も、口を開けて風鷹を解放した。そうすると風鷹はまた元気に飛び始めた。

 しかも、よく見れば体が赤いエフェクトを纏っている。その様子はまるでバフ効果でも受けたような様子だ。


「『火魔法』か…?だけど、1層じゃそんなことしてなかっ…って、危な!」


 思わず叫び、飛び退く。

 誰にも聞かれないのを良いことに考察を呟く俺に風鷹が火狼と連携して特攻を仕掛けて来たのだ。

 最初に風鷹が躊躇いを捨てたような先ほどよりも速い速度で突っ込み、俺が避けたところを狙って火狼が火球を放って注意を惹きつつ、ちょこまかした動きで俺の足に噛み付こうとする。

 そうやって俺の意識が火狼に向いたところを狙って、何の躊躇いもなく、もう一度風鷹が突っ込んで来る。


 今度は『魔力察知』で補足していたので危なげなく躱すが、火狼の噛み付きを許して掛ける。咄嗟に放った光槍のおかげでノーダメージだったが危うかった。


 もう一度光槍を構築…いや、光矢を三本生成して『精霊の杖』に維持を委託、質量を持った光の壁を構築していつでも発動出来る様にする。

 そして、『魔力察知』で風鷹を常に捕捉しながら光の『魔法剣』が掛かった『精霊樹の剣』で火狼の攻撃をいなし躱して捌き、隙を生み出して反撃する。

 そうやってどんどん火狼を追い込んでいくが、光矢を警戒しているようで風鷹は中々近付いてこない。


「なら、やるか」


 …ので、光矢を全て『魔法剣』に吸わせ、火力を上げると同時に大きく隙を晒す。

 すると風鷹は大きく旋回してスピードを上げ、俺に突っ込んで来た。当然、特に隙を作るどころ軽く捌く程度で体勢も整っている火狼の妨害にも熱が入る。

 だから、大きくされど剣の間合いからは外さずバックステップを踏み、一番魔力を使う光壁も吸わせ『適応変身(シェイプシフト)』、『魔力察知』と『念動力』を『攻撃強化』と『視力強化』に変え、二体が重なるタイミングを見極め、


「はっ!」


 最上段から全力で振り下ろし、二体もろともに切り伏せた。




 すると二体は石像に戻り、地面に吸い込まれていく。

 そうして今度は水の狐と土の蛇の石像が迫り出して来た。俺は無言で『土魔法セット:ソロ』にセットを切り替えて水狐と土蛇の石像の殆どを迫り上げた地面で拘束する。さらにその行動不可能の二体の石像の上に、出来る限りの魔力を込めた大岩を生成した。


 そして、二体が動けるようになったと同時に…、


 そのまま大岩を振り下ろした。


「なるほどな、最初からこうすれば良かったのか」


 ズドンッと大岩が落ちて地面を砕き、同時に二体の敵を押し潰す。

『魔力操作』の力で大岩を魔力に還元してやれば、その下から石像に戻って地面に吸い込まれていく二体の姿があった。


 そして、今度は宝箱が迫り出してくる。

 疲れのせいで若干億劫だったが放置するわけにも行かず、とぼとぼと歩いて宝箱を開ける。


 《ユニークスキル『女体化』を入手しました》

 《アイテム『黒猫パーカー』を入手しました》


「…いや、これをどうしろと?」


 開けた宝箱の中には名前の通りの黒い猫耳パーカーが入っていた。しかも、もう一つ入っていたのがユニークスキルだったので強制取得だ。

 ユニークスキルとアイテムなので十分割りには合っているんだろうが、さすがに扱いに困る。


 …でも、『黒猫パーカー』か。


「…『女体化』したら良い感じの美少女なったりしないかな?」


 そしたら着ても似合うのに…。


 なんやかんやで好奇心が抑えられない俺だった。






 それからしばらく経ち、アラームがなったことで俺の探索は一時終わりを迎えた。

 成果としては土蛇から『奇襲』のスキルカードを手に入れ、レベルは26に上がったくらいで、現在は2層の『力の泉』に浸かって疲れを癒し、俺は地上の避難所になっている自衛隊テントまで戻っている。


 そんな俺の手には、あの『黒猫パーカー』が握られていた。

 今から何をするかというと…まあ、言うまでもないだろうが、ユニークスキル『女体化』を使って、行けそうなら『黒猫パーカー』を着るのだ。


 なんといってもこの『黒猫パーカー』、明らかにサイズが女性モノで、なおかつ基本はクール系のデザインなのだが、ワンポイント的に猫のシルエットなどキュートさを演出する装飾がされていて、男のままで着るのはサイズ云々以前に少しキツかったのだ。


「…『女体化』」


 というわけでわざわざ借りてきた鏡の前で『女体化』を発動、体に訪れた作り変えられるような感覚に身を任せ、目を閉じる

 すると、ものの数分でその違和感は消え去った。どうやら、『女体化』が完了したようだ。

 それを察して、俺は目を開けた。


 そして俺は思う、これはいけるっ。と。


 鏡に映っていたのは、僅かに俺の印象を残す猫っぽいイメージを感じさせる美少女だった。

 腰まで伸びる艶やかな黒髪につり目で眠たげな空色の瞳、体形のラインはスマートな小柄だが、その実はしなやかな筋肉に覆われたアスリート体形だ。


 さっそく『黒猫パーカー』を着てみると最初は少し大きいような気がしたが、すぐに体に丁度良いサイズになった。

 どうやら、迷宮内のアイテムであるこの『黒猫パーカー』にはサイズを自動調整する機能があるみたいだ。


 と、そこで気付いた。


「…あ、尻尾生えてる」


『黒猫パーカー』を着ると同時に尾骶骨の位置から黒い猫の尻尾が生えた。

 スキルの効果か、もともと着ていた服もサイズが小さくなっているので、ズボンを透過して生えているからちょっと違和感がある。

 しかも、ちょっと試してみるとズボンは普通に脱げそうなので、尻尾がしっかりと感覚と実体を保っていることもあって不思議な感じだ。


 まあ、それはいいや。

 これもアイテムの効果の一つなんだろう。とはいえ、アイテムの効果がこれ一つだとは思えない。

 今のところ俺が入手した装備アイテムは、大体二つの効果を持っている。一つがこの猫尻尾だとしても、あと一つはある筈だ。


 それも多分、猫っぽい感じの能力があるような感じがする。


「猫といえば、身軽で耳が良くて体が柔らかくて速くて可愛い?」


 いやいやいや、確かに最近のゲームだとこういう可愛い装備が強い場合は多々あるけど、さすがにそんなに効果はないだろう。あるとしたら、耳が良いと速いくらいだろうか?

 まあ、細かい効果は今度迷宮で使って確かめてみよう。体感で感じた方がなんやかんや分かりやすいしな。


 さて、『黒猫パーカー』を脱いで『女体化』を解除してっと。


「よしっ、ちょっと人助けに行ってきますか」


 結局、俺は自衛隊の作戦に参加することを決めた。

 一応だけど、作戦に一般の市民が参加するのは、割りかし良くあることらしいしな。

 …なお、それはあくまでも民間にいる協力者のみで、さらに戦闘を含む作戦に参加するのは例外中の例外と俺が知るのは、しばらく経ってからだ。

『黒猫パーカー』…やっぱり、ネコっ娘は正義だな!

あ、ちなみに猫尻尾だけじゃなくて猫耳も生えてます。


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