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第八話 司書との対決3

『念動力』の球の内側で光と闇の魔力は互いに強く反発しあって荒れ狂い、今まで一番強烈なスパークを辺り一体に振り撒く。

その威力は凄まじく、それなりに離れた位置にいる俺の位置にさえ、それは届くほどだ。


当然、その発生源近くにいる静寂の司書にとってはひとたまりもないだろう。


だが、そんな中でチラッと妙なものが見えた。『念動力』の中で互いに反発し合っていた筈の光と闇が奇妙に混ざり合い、なんとも言えぬ光となって収縮していく。

そこからは感知系のスキルを使わずとも分かるほどに強い力が発生していて…、



…ゾクッ、とした嫌な予感が背筋を駆け抜けた。



咄嗟に『念動力』を解除をする。

それによって、反発し合っていた光と闇の魔力は空気の中に散っていくが、あの不気味で強烈な力の生成は収まった。

だが、すでに生成された分の力はその場に残っていた。


「なんだろうな、今日はやることなすこと全部が裏目に出てる気がする」


目の前で奇妙な光を発する球を見て特にそう思う。

と、そうこうしているうちに静寂の司書は体勢を整え、その場から離脱してしまった。

その体は何度も受けたスパークのせいでボロボロだったが、それでも両の足を地につけて力強く立っていた。


今すぐにでも攻撃に移ることは出来るだろうけれど、それでも離脱した先から下手に動こうとはせず、奇妙な球に警戒の視線を向けている。

…恐らく、俺よりもそちらの方が危険性が高いと判断を下したのだろう。しかし、その判断には俺も同意だ。


結果、状況は膠着した。






だがそれは、思わぬ形で破られることとなる。






それは膠着状態が続き、数分が経過したときに起こった。


「ん?なんか、焦げ臭い?」


なにやら、どこからか何かが焼けたような匂いが漂って来たのだ。

なにが起こっているのかは分からないが、明らかに何かが起こっている今の状況、あんまりあの球ばかりに注目を向けているわけにはいかないだろう。


そして、そう考えた俺だけではなかったらしい。


「やっぱり来たかっ!」


一気に距離を詰めて大鎌を振り被った静寂の司書の姿を見て叫ぶ。

こうなったら狙うのは短期決戦、俺も『収納』から『精霊騎士の剣』と『精霊樹の剣』を引き出し、迎え撃つ。


二本の武器を構えて『適応変身(シェイプシフト)』、スキルを『剣術』『体術』『二刀流』『身体強化』『敏捷強化』『攻撃予測』『光魔法』『魔法剣』に変更して『魔法剣』で『精霊樹の剣』に『光魔法』を付与、『精霊騎士の剣』で大鎌を受けて『精霊樹の剣』を振るった。

静寂の司書は大きく身を捻ってそれを回避、捻った勢いで手持ちに引き戻した大鎌を今度は真っ直ぐに振り下ろしてくる。


俺はそれに対して、少し角度を付け『精霊騎士の剣』で突きを放った。

そうすれば、大鎌の刃が『精霊騎士の剣』に乗って、ギャリギャリと不快な金属音を発しながら逸れていく。


そして…、


「ここ…だっ!」


『攻撃予測』が映す攻撃が俺から外れ切ったのを見て、大鎌を弾いて『敏捷強化』の力をフルに活用して一気に距離を詰めた。

そこから、流れるように『精霊樹の剣』で切り上げる。


大鎌の間合いを超え、剣の間合いで放たれたそれは、そのまま綺麗な剣線を描きながら進み、静寂の司書の身体を捉える。さらに、そこで『魔法剣』の出力を一気に上げてやれば、それに応じて光を強くした『魔法剣』から強烈な衝撃が起こり、少女の身体を大きく吹っ飛ばした。


そこに追撃を掛けようと地面を蹴る。

だが、ここで問題が起こった。


「…っ!なんだっ」


『精霊樹の剣』に纏わせた『魔法剣』の『光魔法』の魔力が急にごっそりと消え失せる。

そのせいで『魔法剣』はすぐに明滅し始め、数秒と持たずにあっさりと消えてしまった。あまりに急な出来事に頭に混乱が浮かぶ。


だけどそれは…、


「って、うっわぁ…」


さらにそれに続いて起こった異変によって、完全に流されてしまった。




揺れる揺れる、目に映る全ての物が…いや、この辺りの空間そのものが揺れている。


ああ、うん、これはちょっとマズい。


「…酔った」


あまりの揺れに強烈な吐き気を催して、思わず膝を着く。

風景だけならまだ良かった。だが、足場まで揺れるのはダメだ。俺のあんまり高くない酔い耐性など余裕で貫かれてしまう。


だが、そんな時だった。


「んなっ…!」


―床を抜いて真っ赤な炎の柱が立ち上がり、図書室の中でとぐろを巻いた。


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