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第一話 織咲日華

今回から新章開幕!

「…で、あの人が詩咲さんが言っていた姪っ子だな」


そこで俺は、一際目立つ赤味がかった茶髪の勝気そうな少女を見つけて呟く。

俺が詩咲中将に聞いた通りの外見なら多分、彼女が織咲(おりさき) 日華(ひばな)…ユニークスキルを手に入れた詩咲中将の姉の娘さんだ。


と、日華さんのことを考えていたからだろうか。

きょろきょろと辺りを見回していた日華さんの視線が、ぴたりっと俺に向いて止まった。

…いや、より正確に言えば、俺の頭の少し上の辺りで止まった。


「見つけたっ!その猫耳、貴方が御魂 刹那ねっ!」


それからすぐに良く通る少女の声が耳を打つ。

その視線は依然として、『女体化』状態の俺が着ている『黒猫パーカー』の猫耳に固定されているが、俺は気にせず答えた。


「そうですよ、そういう貴女は織咲 日華さんですね」


「ええ、そうよ。今日から攻略までしばらくよろしくね」


そう言う日華さんに、こちらこそと言葉を返し握手する。


これから始まるのは迷宮と化した中学校の攻略であり、迷宮に囚われた人の救出…俺が詩咲中将に頼まれたことだ。

そして、同時にこれは、一般的に迷宮と呼ばれている迷宮化した建物に俺が初めて挑む機会でもある。




「それじゃあ、早速入りましょう」


日華さんはそう言うと校門を跨ぎ、中学校の中に入って行った。

俺も警戒を高める意味を込めて『武者の黒刀』の柄に手を掛け、それに続く。

そして、校門を跨ぐと同時に空気の変化を感じた。


「…っ」


さっきまで普通だった空気が、急に重く冷たいものに変化した。

緊張を強めつつも周囲を見渡せば、そこでは中学校が様子を一変させていた。


空には赤い月が輝き、今の時刻が夜であることを俺たちに示していて、校舎も外から見たものよりも老朽化が進んでいるように見え、どこかおどろおどろしい雰囲気を放っている。

端的に言えば、そう、まるで閉校した学校と言った様子で幽霊でも出て来そうな感じだった。

 

「…結構なホラーテイストね。場所が場所だし、こうなるとは思ってたけど想像以上だわ」


そんなことを思っていると前の方から日華さんの声が聞こえて来た。

そこに視線を向ければ、先に進んだ日華さんがさっきまでの活発な雰囲気を潜めさせ、周囲に鋭く視線を配っている。


だが、俺はその変化よりも言葉の一節が気になった。


「…こうなると思っていた?」


「ああ、そういえば貴方は今まで塔しか潜ったことがないんだったね」


その言葉に俺は頷き、肯定を返した。

それを見て、日華さんは端的に教えてくれる。


「塔の方は知らないけど、こう言う普通の迷宮はその場所に対して多くの人が抱いたイメージが迷宮に影響するみたいなのよ。特にこの学校なんてその典型みたいなものよ」


「へぇ、そうなんですね。でも、確かにこれを見れば分かりますね。大体の人が夜の学校って幽霊が出そうくらい思っているでしょうから」


そう答えると同時に思った。

そういえば空港も迷宮化しているらしいけど、そこはどうなっているんだろうか、と。


気になってさらに深く聞いてみれば、沢山の人がその建物に何らかの印象を持つ…少しオカルト的になるが、その場に思念とでも言うべきものが残っていそうなほど迷宮は強力なものになっているそうだし、何となくだけど凄いことになっていそうだ。


「…さてと、それじゃあそろそろ探索を始めましょうか。基本的に公共施設の迷宮は手強いから気を付けるんだよ」


そして、ついに迷宮探索が始まった。






校舎の探索を開始してしばらく経ち、廊下には何もないことが分かり始めた辺りで日華さんが声をかけて来た。


「…ねぇ、貴方のことを聞いてから気になって仕方ないことがあるの、それ、ちょっとデリケートな話なんだけど聞いて良い?」


「デリケートな話ですか?うーん、そうですね」


デリケートな話…、デリケートな話か。

困った、俺に聞くようなデリケートな話の内容なんて全然思い付かない。

状況を客観視して考えたら俺が『女体化』を使っていることくらいことだろうか?だけどそれの理由は、ただただ分かりやすいように『黒猫パーカー』を着る為だってことは伝わってるはずだしな。


うーん、まあでも、特に疚しいことはないから、なにを聞かれてもいいか。


「よっぽど変な話じゃなければ良いですよ。ただ、嫌な時は拒否権を行使しますよ」


「もちろん、それで構わないよ。じゃあ聞くけど、その女の子の状態だと、貴方の精神はどうなってるの?やっぱり、そっちも女の子になってるの?」


「あー、精神についての質問ですか。それは確かに聞きづらいですね。でもまあ、問題ないですよ」


このくらいなら問題ない。若干、どう答えれば良いのか分からないが、俺自身が感じている限りだと恐らく『女体化』時の俺は、限りなく男性に近い精神を持った女性という認識が近いだろう。


だから、答えるとしたら…、


「それなら多分、女性に変わってますよ。これは一度だけですが、『力の泉』をお風呂が替りにした時に『女体化』を使っていることを忘れて、普通に浸かってましたから」


あの時の一例とともに出してやればいいだろう。

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