第十九話 詩咲中将の頼み
第一章ラスト!
それからさらに数十分後、やっと『力の泉』が見つかった。
先に部屋の三つの宝箱を開き…
《スキル『指揮』が入手しました》
《アイテム『精霊の呼び笛』を入手しました》
《アイテム『スキルチケット』を入手しました》
手に入れたスキルはいつも通り『スキルホルダー』に入れて、それ以外の犬笛のような見た目の『精霊の呼び笛』といつもの『スキルチケット』を手に、精霊騎士戦と長い探索で疲れた体を癒す為に『力の泉』に浸かる。
《『力の泉』に浸かった》
《HPMPSPが全回復しました》
《レベルが上がりました。Lv34→Lv35 基礎能力が向上しました》
《汎用スキル『収納』を入手しました》
「よしっ!」
そうして、手に入った汎用スキルに思わずガッツポーズをする。異世界チート三種の神器の一角、アイテムボックスにあたる『収納』スキルじゃないか。
スペースこそ有限だろうが、最近装備なんかで荷物も嵩んできていたし、そのうち出るであろうスキル以外をドロップする敵のことを思うと、これはかなり嬉しい汎用スキルだ。
早速試してみたくて『武者の黒刀』を『収納』、そして今度は取り出す。どちらも問題なく行うことが出来た。それと同時に『収納』の仕様もなんとなく理解することが出来た。
脳裏に浮かぶ『収納』の容量を示すメーターからすると、この汎用スキルは収納出来る個数が決まっている代わりにどんなものでも収納出来るタイプのものなんだろう。
その仕様は素材アイテムの持ち帰りというよりも、一つだけで手持ちが嵩張る装備の持ち運びに適しているんじゃないかと思う。
これはまさに俺が求めていたやつに近い。
「っと、そういえば『スキルチケット』使ってなかったな」
今更ながら使ってなかった『スキルチケット』に気が付いて、今手に入れた分も合わせて使う。
結果、『弓術』『再生』『槍術』『浮遊』『罠設置』『危険察知』が手に入った。
それにしても、カード方式なら1枚くらいは被るんじゃないかと思ってたが、なかなか被らないな。
これって、デフォルトなのか?それとも俺だけがおかしいのか?
ふと思うと、どんどんそれが気になり始め、スマホを使って調べることにした。
すると検索バーに、"す"と一文字入れただけで検索予測にスキル取引所という言葉から始まり、スキルに関連する複数の検索ワードを出て来た。
とりあえず、スキルとだけ入れて検索してツールバーを送っていく。その中で俺は気が付いた。
「ん?なんか俺のスキルカードと見た目が違うな」
俺のスキルカードが青と水色と儚い色合いで構成されているのに対して、画像に写っているのは赤と橙とはっきりとした実像を持って構築されているのだ。
さらに深く調べると、俺が持っているスキルカードは大体赤と橙のカードの十分の一くらいの確率で手に入り、それは自分が持っていないスキルが出る代わりに入手したその人しか使えないのだそうだ。
ということは、なぜか入手が青と水色のスキルカードに限られている俺のこの状況は沢山の種類のスキルカードを必要とする『適応変身』の効果なのかも知れない。
そうなると俺は、お金を稼ぐ為に潜るというよりも攻略する為に迷宮に潜ることに適しているのだろう。
さっきチラ見したスキル取引所のスキル一つ辺りの値段がかなりえげつなかったから並々そう思う。
それから少し休み、俺は迷宮から出た。
当然、装備は嵩張らない『魔力の指輪』と『精霊の指輪』と『精霊の呼び笛』を除いて『収納』にしまった上に『女体化』も解除して、だ。
そのまま探索を続けていてもよかったのだが、一度帰るつもりだったし、何よりも自衛隊の設置したテントに置いてある装備を回収しておきたかった。
「よしっ、これで回収完了っと」
迷宮を出て直行したテントで置いていたものを『収納』に回収して、すぐ外に出る。
『収納』の容量が全て埋まってしまったが、とりあえずはまあ、いいだろう。早めに装備が置ける場所を確保する必要がありそうだけどな。
「あっ、詩咲さん」
「ん?御魂くんか」
と、そんなことを思いながら外に出ると詩咲中将と出会った。
「最近、雪芽と迷宮に潜ったそうだが、どうだったか?」
「え、えぇ、はい。かなり戦いやすかったです」
柔らかな笑みを浮かべながらそう聞いてくる詩咲中将の様子に、俺は思わず混乱してしまう。
軍服を着こなした格好なのはそのままなのに、なんか雰囲気が全然違う。最初にあった時はカッコいい女性とかデキる女といった感じだったのに、今の詩咲中将は親しみやすいお隣のお姉さんといった感じだ。
もうあれだ、あれ。えっ、あれ?といった感じだ。
「そうか、まあ雪芽は凄いからな。美人で心身ともに強く、誰よりも才能に溢れていていながら努力を怠らない様は私も見習いたいところだ」
「確かにそうですね、雪芽さんは凄いです。でも、それは詩咲さんもじゃないですか。隠し部屋のボスを抑え込んでいたあれは本当に凄まじかったですよ」
あの戦闘は本当に凄かった。レベル差をモノともせずに攻撃を捌き続け、自由な行動を許さない。
俺のミスで隊列が乱されてしまうまでは、完全にその役をこなしていてなお、余裕があるように見えた。
「まあ、あれは力こそあれど技術がそれほどでなかったからな。あのくらいできなければ陸軍中将などやってられん。というか、凄まじいというなら君も大概だろう。御魂くん、君からはなんでも一人でこなせる者特有の気配を感じる」
「うーん、確かに一通りのことは大体出来ますけど、さすがにそれは言い過ぎじゃないですか?」
「そんなことはないと思うがな。事実、御魂くんはあの作戦の時、複数種類のスキルを使いこなしていただろう?あれはかなり難しいことのようだぞ」
そう言われても俺は首を傾げることしか出来ない。
『適応変身』によって、いくつかのスキルを起点にそれ以外のスキルも適応させることで普通よりは上手く扱えているとは思うが、あくまでもそれだけだ。
だから、実際に俺自身が上手くスキルを扱っているという認識はないし、まさか普通の人が複数種類のスキルをそもそも使えないなんて事もないだろう。
そう考えると俺は、どう考えても初期に手に入れたユニークスキルにずっと助けられているだけだ。
「多分、俺が最初の頃に手に入れたユニークスキルのおかげですね。これに随分と助けられていますから」
「ユニークスキルか…、そう言えば最近獲得例が増えて来ているな。この迷宮にも何人かユニークスキルを手に入れた者が居たが、君が一番最初だったんだな」
「あー、はい。確かにこの迷宮なら俺が最初なんじゃないでしょうか」
なんといっても俺が『適応変身』を手に入れたのは、迷宮が出来たまさにその日だからな。迷宮が出来た直後から侵入制限が掛けられていたみたいだし、こんな早くにユニークスキルを手に入れているやつはそうそう居ないだろう。
「ふむ、そうか。ところでこの後は迷宮の探索に向かうのか?ここのところ、ずっと潜っているのだろう?」
「まあ、はい。確かにそうですね、ここ最近はずっと潜ってますし、今から探索に戻るつもりでした」
「なら、一つ頼まれてくれないか?」
それから数十分後、俺は詩咲中将に頼まれて出身校でもある中学校に来ていた。
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