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第十四話 目覚めた二人との再会

ちょいと長め

 それから少しして道の先に土蛇を発見した。


「じゃあ、俺が前衛で戦いますね」


「うむ、よろしく頼むぞ」


 一言交わして、前衛ならばと『近接セット』を使い、『精霊騎士の剣』を構える。

 そうすれば、その時に後ろから冷気が漂って来た。

 少し気になるが、土蛇は地面に潜って奇襲を仕掛けてくる厄介な相手だ。容易に視線を外せない。


『土魔法』を使って地面に潜らないうちに『縮地』で距離を詰め、『気力操作』で気力を込めた足で土蛇を宙に蹴り上げる。


「ナイスじゃ!」


 それと同時に雪芽特戦大佐から声が上がり、土蛇に氷の槍が殺到した。それにより、土蛇は体の所々を凍てつかせて地面に落ちた。


 思わず驚いて攻撃のタイミングがワンテンポ遅れた上に、剣筋も少し乱れてしまったが、体が霜付き動きが鈍くなっている土蛇にはそれすらもの躱すことが出来ず、攻撃が命中した。

 それによって土蛇は怯み、俺はその一瞬で体勢を立て直す。そして、『精霊騎士の剣』を振るって土蛇を討伐した。


 そこから顔を上げると道の先にあった曲がり角の奥が視界に映り、そこにある3層へと続く階段を捉えた。


「あっ、階段、こんなところにあったのか」


 しかもスマホで確認すれば、その場所で2層が完結している。一応、スマホの画面を確認すると完全に地図の壁が閉じているのがしっかりと確認出来た。

 つまり、どうやらこれで2層の攻略は終了したようだ。


「さっきからなにをしているのじゃ?」


「あ、雪芽さん。今、2層の探索が終わったんです。マップデータは後ほど渡しますので、隠し部屋の発見はお願いします」


 そんなことをしていると、雪芽特戦大佐が俺のところまで歩いて来た。

 …ので、何があったのかを伝え、丁度良いとばかりに約束を一つ取り付けた。


「わかったのじゃ。…それにしても、まだ四半刻すらたってないのにもう終わったのかえ?お昼にするにもまだ早い時刻なのじゃ」


「なら、ここからはレベリングですね。2層のボス戦に挑む前にあと1レベルは上げたいです」


 そうすれば俺のレベルは30、スキルが一枠解放されて俺の戦闘力に影響を及ぼすし、そのレベル上げの最中に雪芽特戦大佐のレベルもいくつか上がる筈だ。

 まだ万全の準備の基準が分からないから手探りではあるが、それだけでもしておけば雪芽特戦大佐という優れたアタッカーが居る以上、そうそう倒されるなんてことはないだろう。


「うむ、了解したのじゃ。では、早速始めるとするかの」


「はい、そうですね」


 そうして、心の中で誰も2層に来ないうちに3層に上がりたいなと思いながら、俺たちはレベリングを開始した。




 そして、しばらく2層を回り続けてお昼、俺たちは自衛隊テントまで戻っていた。当然のことだが、『女体化』は解除して『黒猫パーカー』を脱いでいる。


「あ、あの二人、起きたんだ」


 戻ってきた自衛隊テントには、俺以外にも人が増えていた。

 というか、昨日助けた二人が目を覚ましたようで、自衛隊の隊員たちに混ざって昼食を食べていた。


 設営されているテーブルに視線を向ければ、そこには丼物の天丼が…って、天丼!

 俺はチラ見だけのつもりだったが、思わずそちらを凝視してしまう。しかもよく見てみれば、その丼はこの辺りでも美味しいと有名な天丼屋の丼の茶碗だ。

 俺も何度か行ったことがあるが、あそこの天ぷらは何から何まで美味しくて堪らないんだよな。


「あ、刹那お兄さんだ!」


「む?おおっ!君は御魂さんのところの刹那君じゃないか!」


 と、凝視し過ぎたのが悪かったのか、二人のうちの一人…小さい女の子が、声を上げて俺を指差す。

 それに釣られてもう一人、その少女の父親も俺に気が付いた。


「雪芽さん、少し失礼します」


「知り合いなのじゃろ?私は先に昼食を食べておるから、ゆっくり話して来るのじゃ」


「ありがとうございます」


 隣に居る雪芽特戦大佐に断りを入れ、テーブルについている二人のもとに向かう。あの二人は結構付き合いのあるお隣さんだ。

 特に娘の結菜(ゆいな)ちゃんは度々うちに泊まりに来たりして俺たち家族とも仲が良い。

 …まあ、俺の父さんは結菜ちゃんの父親の赤荒(あかあら)さん…赤荒 結人(ゆいと)さんと飲み友達で同級生みたいだから、そこはそこで仲が良いんだけどな。


「どうも、結菜ちゃんと赤荒さん。こんにちは、目が覚めたんですね」


「うん、今日の朝に覚めたんだよ。刹那お兄さんが助けてくれたお陰だね!ありがとう!」


「うんうん、刹那君が居なきゃ俺たちを助けることはできなかったと自衛隊の人に聞いたぞ。俺たちを助けてくれて、本当にありがとう」


 俺は二人から放たれたお礼に思わず、頬を掻く。

 正直、二人の救出という意味では秋野中佐たちの貢献が一番大きいだろうが、それでもこうやって素直にお礼を言われれば嬉しいし恥ずかしい。


 それに俺が自衛隊の人たちに悪く見られているわけじゃないことを知れて良かった。チラリと視線を秋野中佐たち…あの作戦の救出部隊に向ければ、それぞれがサムズアップを送って来た。

 恐らく、この話は秋野中佐たちがしたのであろう。全員が全員、めちゃくちゃ良い笑顔だった。若干遠い位置ではあるものの、お礼として感謝の意を込めて軽く頭を下げた。それから二人に向き直って言葉を返す。


「どういたしまして、俺も二人が無事で良かったです」


 うちの家族は、よく海外に行く割にはご近所さんとの付き合いが結構深い。

 なので、俺の幼馴染の少女(俺を鍛えた肉体派)の次くらいには付き合いがあった二人のことは特に心配していたのだ。

 …まあ、普通の災害なら見るからに華奢なこの二人の方を心配していただろうけど、今回は確実に巻き込まれてるからな、あいつ。


「むふふ、ところで刹那お兄さん」


「ん?さっきの人なら特務戦闘部隊の大佐の人だけどどうしたの?」


「刹那お兄さん、こういうのは素直にからかわれるものなんだよ!先読みして答えないで!」


 じゃあ、そのニヤケ顔を先になんとかしような、と思いつつ苦笑いを浮かべる。

 本当、最近の子どもは随分とませている、おかげであしらうのが少し大変だ。まあ、そういうところも含めて、この年頃の子は可愛らしいんだろうけどな。


 幼馴染のあいつと遊んでいるときに、よくからかおうとして失敗していた結菜ちゃんの様子を思い出して、思わず顔が綻ぶ。

 ほんの少しのことだけど日常が戻って来た。まだこうなってから数日しか経っていないはずなのに、それはとても素晴らしいことに思えた。


 それから少し会話を交わし、俺たちはまた会う約束してその場から離れた。また明日も会えるのだ、そんなに長々と会話を交わす必要はないのだ。

 というわけで俺も天丼を食べて、雪芽特戦大佐と合流して迷宮に向かった。

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