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第十一話 刹那、怒られる

はい、というわけで隔日投稿明けの連日投稿です。

今後は水曜日を目安に毎週投稿していこうと思いますので、よろしくお願いします。


あ、今回は長めです!

 俺は二人が安定して闇騎士を相手取り始めたのを見て、標的を闇騎士から気力の障壁に変えた。

『気力操作』で気力を刀に注いで強化し、それを障壁に押し当てる。今度はさっきと同じミスをしないように少しずつ斬っていく。

 その周りでは火花が散るが、そんなものは気にしない。さっきと同じなら一度貫通してしまえば障壁は砕ける筈だ。


 そうこうしているうちに障壁の向こう側に要救助者を担いだ秋野中佐たちが戻って来る。

 ちらりと確認すれば、担がれている二人には見覚えがあった。気は失っているものの確かに知り合いでこの辺りに住んでいる人だ。


 それを見てしまえば、俺の腕にも力が入る。

 だが、世界とはそうそう何事も上手く行くものじゃない。

 秋野中佐の口が何事かを叫ぶ。この障壁が声を阻んでいるようで聞こえないが何やら焦っている。


「え?…さ・け・ろ?」


 咄嗟に後ろを振り向く。


 すると、そこでは闇騎士が大きく剣を振り被っていた。だけどまあ、これくらいなら問題ないな。

 俺は『縮地』の準備をして、構わず刀を押し込み続ける。


 そして…、


「はぁぁぁあ!」


 最後に『縮地』を放ち、その勢いを使って障壁を突き破った。秋野中佐たちは既に退避しているので問題ない。俺はなんの躊躇もなく部屋に踏み込み、攻撃を躱した。


 同時に自衛隊員が体を使って闇騎士を抑え始めたのを『気配察知』で感じ取る。そして、秋野中佐たちはその隙をついて脱出していった。

 俺もターンしてもう一度『縮地』を踏み、部屋から脱出する。そのタイミングで闇騎士から気力の線が伸び、また障壁で部屋が閉じられる。だが、気力の障壁の構築が終わると同時に闇騎士は全身から力を抜いて倒れた。


 《レベルが上がりました。Lv26→Lv28 基礎能力が向上しました》

 《スキル『魔法纏』がドロップしました》

 《アイテム『スキルチケット』を入手しました》

 《アイテム『精霊騎士の剣』を入手しました》


「マジか、あの障壁、強制的に徴収して作ってたのかよ」


 思わず呟きを漏らす。

 かなりエグい方法で障壁を構築していたようで、思わず唖然とした。


 だが、ずっとそうしているわけにはいられない。手の内に現れた『魔法纏』のスキルカードを『スキルホルダー』にしまって『スキルチケット』を切る。

『スキルチケット』からは『体術』『威圧』『二刀流』のスキルカードが手に入り、それもしまった。


 だけど、ちょっと一つ困ったことが出来てしまった。

 俺は目の前で宙に浮かぶ『精霊騎士の剣』を見て、少し頭を抱えた。目の前の『精霊騎士の剣』、その外見は明らかに金属製だ。

 剣、そしてそれが金属製、明らかにこれの所持は銃刀法違反だ。この戦闘に参加した自衛隊員等の前にはそれぞれドロップが出ているので、これは俺のドロップなのは確かなんだが…。


「うーん、マジで困った」


「お主、そこでなにをしておるのじゃ?詩咲中将が呼んでおるぞ?」


「え?」


 後ろからなんでもないような感じの雪芽特戦大佐の声が聞こえてきて思わず振り向くと、そこには凄まじく良い笑顔を浮かべている雪芽特戦大佐がいて、俺は思わず固まった。

 思わず後退る。だが、よく分からない動きで後ろに回られ、肩を抑えられた。


 たったそれだけで俺は硬直し、動けなくなった。

 身長差があり、なおかつ肩を抑える手にはそんなに力が入っていないはずなのに指先一つ動かせない。

 唯一動かせるのはせいぜいが首から上で、なんとか雪芽特戦大佐に視線を向ければ、見惚れるような笑顔を浮かべ…、


「無駄じゃぞ、お主の動きは私が制しておる。こうなればどれだけの身体能力を持とうが、私以上の体術の技術がなければ抜け出せるものでない。今のお主は私の思うがままじゃ」


 凄まじく恐ろしいことを言った。


 そういえばこんな話を聞いたことがある。『機先を制する者は全てを制する』、と。

 つまりはまあ、今の俺は肩を抑えられているだけでありとあらゆる行動の機先を封じられ、結果として完全に動けなくなっているのだ。


 雪芽特戦大佐、思ったよりもヤバい存在かも知れない。いやもう本当に、この人は絶対に敵に回しちゃいけない人だ。


「さあ、詩咲中将の方に行くのじゃぞ。その方向に行くのだけは許可してやるのでな」


「…あー、はい、分かりました。そのドロップ品は適当に回収して保管しておいてくれますか?」


「安心せい、もとよりそのつもりじゃ」


 そう言われ、俺はそのまま詩咲中将の下まで歩かされた。




「さてと、御魂 刹那君、今回の行動について言い訳はあるか?」


「…いえ、ありません。ちょっと自由にやり過ぎました」


「はぁ、結果的に良かったから悪く言うつもりはないが、あそこまでのことをするなら事前に伝えてくれ。さすがの私も肝が冷えたぞ」


 呆れた顔を見せる詩咲中将から俺は思わず目を逸らす。やらかしたことを理解しているからこそだ。

 もともとやるつもりは無かったとは言え、既にやらかした上に、その時に魔法の制御能力がギリギリでどこかに放たないとマズかったなんて、言えた物じゃない。


 …いやまあ、言わなかったら言わなかったで、それがバレた時怖いから言うだけどさ。


 それにしてもさっきの俺はかなり危ないことをしていた。圧縮した光槍をあのまま放っていたら要救助者に当たっていた可能性だってあったし、制御下から抜け出されていたら周囲を巻き込んだ自爆にもなりかねなかった。

 めちゃくちゃ怖いが、ここは一度絞って貰った方が良いかも知れない。


「だがまあ、今回のことで分かったことがある」


「うむ、そうじゃのぅ」


 と、俺がマイナスな思考ばかり働かせていると二人のそんな声が聞こえてきた。

 視線を二人の方に向ければ、なにやら二人の意見は一致しているようだった。


「お主、少し調子に乗っておるな」

「君、少し慢心しているように見えるぞ」


 そして当然の如く、同時に放たれた言葉は同じ意味を持った。俺もだろうなと納得した。

 さっきの戦闘を思い返してみれば、目に余るような行動がいくつもあった。


「今回の戦闘では確かに君の存在は必要だったが、少し突飛して行動し過ぎだ。特に最後の場面だって無茶することなく安全策を取って離脱するという選択肢もあったはずだ。君さえなんともなければ、一度徹底して体勢を立て直し、無線で救出部隊とタイミングを図ってもう一度壁を破り、援護して撤退するという選択肢だってあった筈だ」


「今回のは事前にあんなことを言ってしもうた私にも責任はあるじゃろうが、ああ言う周りから無茶に思われるような行動は慢心から来ていることが多いのじゃ。あまり偉そうなことを言える身ではないが、気をつけておくれ」


 本当に顔から火が出そうな思いだった。

 確かにあの時の行動は、自分の力量を過信している節があった。つい最近、自分の慢心を戒めていながら、結局無茶な行動をしてしまうとは恥ずかしい限りだ。


 しかも、それを自覚できてしまうのが余計に恥ずかしさを煽る。なぜなら、こうして自覚できると言うことはその時にも調子に乗った行動をとらずに動ける理性が俺の中にあると言うことだ。

 それなのにそんな行動をとってしまったことが、まるで俺の理性の弱さを証明しているようで恥ずかしい。


 自身の行動に負い目を感じている様子がありありと分かる二人の様子には、もう罪悪感しか湧かなかった。


「自覚できているのなら、そのように苦い表情をする必要はない。本来責任を感じるべきなのは君の参加を決めた私なのだからな」


 詩咲中将はそう言ってくれるものの、俺の心は晴れない。

 多分、この心のもやが晴れるまでしばらく集団戦に参加することは出来ないだろうし、しない方が良いだろう。

 俺は心の底からそう思った。


「だが、君にこれだけは言っておかないといけない。ありがとう、君が居なければ作戦の成功も全員無事で居ることも無かっただろう、心の底から感謝する」


「そうじゃな、私も感謝するのじゃ。私も、少しレベルの力を軽く見ていたところがあったからのぅ。お主が居なければどうなっていたことか分からぬのじゃ」


 その言葉に少しは心が救われた。

 今回は犠牲がなかったから良かったものの、あんな戦い方ではいつ犠牲が出るか分かったものじゃない。

 もっと慎重に、感情よりも理性で動かなければいけない。


「さてと、撤収するぞ!」


 そして、それから程なくして詩咲中将から号令が上がり、迷宮の外に撤収することになった。

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