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僕はうちが嫌いだけど  作者: 宮藍
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自分らしくあるために

「なにあいつ、女なのに男の格好してキモーい」

「なんであの子自分のこと僕っていうんだろうねー、中二病だったりして、、あははっ!」

(あぁ、もう僕でいるのをやめよう)

僕は、この世の現実さ、過酷さを体当たりで突き付けられた。

そして盛大に僕は僕を嫌い僕を閉ざした。




今日は水曜日何気ない日常が始まる朝。

「おはよう!ねぇねぇ、昨日○○君がテレビ出てたの見た?」

「みたみた、ちょーかっこよかったよねぇー」

「ねぇねぇ、このモデル可愛くない?」

「えぇー、ちょー可愛いぃ。あたしも可愛くなりたいなぁ」

(やっぱ、女子校はうせーなー。まぁ共学もかわんねぇか)

朝からまわりできゃっきゃお喋りしている声をちょくちょく聞きながら窓際で一人本を読む。いや、読むふりをしている。

蝉の鳴く声と同時に空いている窓から涼しい風が入り込んで熱くなった自分の身体を少しだけ冷やしてくれる。この夏の風は最高だ。

「おはよー、なぁに読んでんの?」

そう言ってうちが読んでいた本を横から覗いてきたこいつは親友の千桜ちはるだ。千桜とうちは趣味友である。中1の時うちが一人でアニメの絵を描いていたら話しかけてくれて友達になった。ゆういつの友達だ。

「夏目漱石」

「嘘だ。あいがそんなの読むはずない。てかどうせ読むふりしてただけでしょ。」

「正解。」

(この何気ない日常がいつまでも続くといいな。)

先生が来て朝のホームルームが始まった。いつもどうり先生が生徒の名前を呼んでいく。いつもどうりつまんなそうにみんなが返事をする。そしていつもどうり授業を1限2限と受けていく。

「やっと5限終わったねぇー。そうだ帰りアニメイト行こうよ、買いたいものがあるんだぁ」

「いいよぉー。ちょうどうちも新しい漫画買いたいし」

「席ついて。道徳の授業始めますよ」

そう、今日は何気ない普通の日のはずだった。普通の水曜日のはずだった。

うちが間違った選択をしなければ、、、、、


次の日

「ねぇ、あの子でしょ。男になりたいとか言ってたやつ。」

「うわ、キモー。むりぃ。なんで女子校来たのぉ?」

「ねぇ、千桜。あの子と友達止めなよ。あんなキモイ事を隠してたんだからさぁ。」

「そうだよねぇー。やめるわぁー」

(千桜もかぁー。最悪だ。これじゃあまた逆戻りじゃん。)


この木曜日から、偽りの自分を演じていたことへの天罰として僕の日常は奈落の底へといっきに自由落下した。








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