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ロゼと冒険者達

ロゼのパーティが出てきます。RPGで言う所の剣士・神官・盗賊(ではない)

この世界ファレンガイヤ には様々な国や島がある。

人間が支配しているガルドエルム国ウィンドレム国パラドレア国スノーウィン国

ドワーフが暮らしているドワーフ国

エルフが暮らしているソルフィアナ国

コルボが暮らしているノルトロムの森

全ての種族が共通して知っているのはこれらの国である。

王が統治していると認められている場所。それが国である。種族の数は圧倒的に人間族が多い。しかしそれには訳がある。人間は他種族との子孫が圧倒的に出来やすいのだ。

これも未だに解明されていないが他の種族より寿命が短く魔力が弱い為それを補い子孫を繋ぐように身体が出来ているのではと言われている。

つまり人間族とは言っても半分以上がハーフかもしくは古い先祖で多種族の血が混じっている可能性が高かった。

そして多種族と子供を設けた場合大抵が人間の血が強く出てしまう為ほとんどの場合人間の国以外ではその子供は受け入れられないのだ。

そんな理由もあり人間が暮らす国は少しずつ領土を広めてきた。

そんな中全ての種族が集まり商いを行い情報や物のやり取りができる場所がある。

それがイントレンスの南西部にある巨大都市ラーズレイである。

この街を治めているのは冒険者ギルドという組織。

そう。この街は冒険職を生業とする者を輩出する街。


「相変わらず騒がしいわね」


町の中は人混みで溢れている。ありとあらゆる情報や商品が集まる町である。ここには様々な人々が集まってくる。

勿論冒険者でなくても町には入れるが丸腰状態でこの町を訪れる者はいない。余程の世間知らずか自殺願望者ならいざ知らず。


「いつものくれる?」


ロゼは慣れた様子で飲み屋のカウンターに腰掛けるとそこの女亭主にお金を渡す


「あらぁアンタ久しぶりさね!そういやあのナンタラ学園とか言うのはどうなったんだい?」


慣れた手つきでボトルから飲み物を注ぎ。空いた手で切ってあったらしい食べ物をロゼに差し出した。


「まぁぼちぼちね。それにしてもここは変わらないわね」


店の中は騒がしい。冒険者が集う町なのだから基本的に皆ガラが悪い。ならず者荒くれ者は多い。


「おい!ねぇちゃん可愛いな?」


カウンターで飲んでいるとガタイのいい大柄の男が馴れ馴れしく声をかけてきた。恐らく新参者だろう。


「それはどうも。何か用かしら?」


「一人で寂しいかと思ってよ?俺が相手してやろうか?」


一応仕事の取り引き相手になる可能性も考え返事を返したがハズレた様だ。


「悪いけどアンタの相手してる暇はないわ。私遊びに来てる訳じゃないのよ」


頬杖をつき片手でヒラヒラとあっちへ行けと追い払う。

男は途端に顔を赤くして拳を震わせた。


「っんだあ!!その態度は!馬鹿にしやがって!痛い目みせてやろうか?」


お約束である。


「やってみなさいよど素人。まぁ痛い目見るのはアンタの方だけどね。」


カウンター越しの女店主はあきれた顔で男を見ている。他の数人の客も同様である。


「おーいあんた。やめといた方がいいと思うぞ」


皆が静観を決め込んでいる中それを止める男が現れる。

白い神官服を纏い美しい銀髪を横に束ねた男は神官らしからぬ笑みを浮かべながら歩いてくる。


「ああ?何だてめぇは!」


「あんた冒険者初心者だろ?すぐわかるぞ」


男は馬鹿にされたと思ったのか更に顔を赤くした


「それが何だってんだ!」


「いや、だってさ。そいつ冒険者ランクS7だぜ?」


「・・・・・・・・・・・・へ?」


「そんななりしてるけど多分この店の中で一番強えぞ?まぁ試したいなら止めないが多分あんた一瞬で肉片になるな。」


それを聞いて男は初めて店内を見渡した。皆が皆残念なものを見る目で男を見ている。


「失礼ね。流石にこんな所でそんなエグいことしないわよ?まぁ腕の一本や二本はねじ切ってしまうかもしれないけれど?」


爽やかな笑顔で言い切られ男の顔がみるみる青くなる。


「まぁ確かに最近身体が鈍ってたからいい準備運動にはなるんじゃないかしら?私はいつでもいいわよ?」


途端に男はしどろもどろ何か言い訳をつぶやきながら慌てて店から出て行ってしまった。

ロゼはそれを見送ってからジト目で現れた男に苦情を言う


「ルシフェル。私を珍獣扱いするのやめてくれない?」


「実際ああ言った方が伝わりやすいだろ?誰も何も傷つかないしな。なぁ主人?」


女亭主はうんうんと頷いている。ロゼはムゥとむくれている。


「まぁロゼは可愛いからねぇ。ああいう輩は絶えないが・・・まさかここであんな風にロゼに絡む馬鹿がいるとは貴重だねぇ?ルシフェルが来てくれて助かったよ。あのままだと店の中の物も被害にあったかもしれないしねぇ」


女亭主の言葉にロゼはぐっと押し黙った。


「騒がしちまったなぁ場所変えるか?」


「そうね、悪かったわねご主人」


「いいや、気にせずまたおいで」


二人は店を出てそのまま裏の路地へ入っていく

しばらく進むと古本屋らしき店がひっそりと建っていた。

ロゼは慣れた様子で中に入っていく。


「あ!ロゼ久しぶりぃ」


中には小柄だが健康的な肌色でクリクリの瞳を嬉しそうに輝かせ、しかし耳元は人間の物とは明らかに違うふわふわの垂れ耳を生やしたコルボ族の少女が座っていた。


「久しぶりミイル。相変わらず元気そうね」


「ロゼは匂いが少し変わったね?」


ミイルと呼ばれた少女は首を傾げる。そう言われロゼも一緒になって首を傾げた。


「匂い?特に何も付けてないけど」


ミイルは「んー?」と考えてから「そういうんじゃなくてぇ」と、訳が分からない返事を返してくる。ミイルがよく分からないのはいつもの事なのでとりあえず聞きたい事を聞くことにした。


「ファイの行方は掴めたかしら?」


ロゼはここ一年行方をくらましているファイという従姉妹を探している。


「痕跡は見つかるんだけど辿れないんだよねぇ。あ!でも新しい情報があるよ」


「お、珍しいな何だ何だ?」


ルシフェルが興味深げにミイルに尋ねる。ミイルはチラッとロゼをみると少し気まずそうに口を開いた。


「どうも魔術士の男とペアで冒険してるみたい・・・。」


ロゼとルシフェルは同時に目を見開いた。


「あのファイが特定の人間と?」


ロゼは少し考えてからミイルに尋ねる。


「その男、名は?」


「そこまでは・・・・ただ髪の色は薄紫だからロゼが思い浮かべた人物じゃないと思うよ」


ミイルは困った顔になる。それを見てロゼも表情を崩す。


「いや、それは分かってるんだけど・・・実は先日ずっと失っていた記憶を一部思い出したの」


「・・・本当か?それは」


「ええ。ほんの一部だけれど。それでファイに確かめたい事があったのだけど・・・まぁ会った所で聞き出せるか分からないからね。あの子一切あの時のこと話さないから。」


「そうだな。それで、どこまで思い出したんだ?」


「あの村は恐らく封印されている何かを護っていた。でも村が襲われた日その封印が解かれたのだと思う。それに私やファイが利用された可能性がある」


ロゼやファイは幼い頃から人並み外れた魔力を持っていた

それを封印を解く鍵にされた可能性が高い。


「しかしそれに失敗し、封印されたはずのモノは今度はロゼの中に封印されたと?」


ルシフェルは理解できないと首捻った。

それにロゼは首を振る。


「そこまでは・・・ただ間違いなくあの時あれ(・・)は私の中に封印された。そうなった理由も方法も全く思い出せないけど」


()()を人一人に封印するなんて普通出来るもんじゃない。いくらお前の魔力が常人を遥かに超えるモノだとしても。きっと他にも誓約があるはずなんだが」


この世界で使える魔力にはパターンがある。

一つは魔術。これは自分が元々持っている魔力を術式を組み使う。人間は持っている魔力が少ない者が多いので使えてもあまり強くない。だから人間はこれらを武器などを媒介に魔力を増殖させて扱う。その為腕の良い装飾技師は重宝される。ロゼがエルグレドから渋い顔をされたのはそれが分かれば強欲な輩がロゼを手に入れようとロゼに危険が及ぶと考えたからである。

しかしエルグレドはロゼの強さを知らない。完全に猫を被っているロゼである。

二つ目は魔法。これは精霊や妖精の力を借りる。エルフ族や神官が得意とする分野である。

これも人間には中々難しい。そもそも彼等と心を通わせることが出来ない者が多いのだ。人間で魔法が使えるという事は精霊達に無条件で愛されているという事である。実際そういう人間はいる。そして彼等も精霊を敬い尊重している。だからかこそ魔法を使えることを隠したがる。これも理由は同じ、精霊や妖精を封じ込め攫いその力を利用する者から守る為だ。

そして最後は契約である。

これは精霊や魔物などと行われる。同等の対価もしくは条件でそれらを使役できる。しかしこれが中々危険なのである。特に魔物などは力の無い人間と契約を結ぶことが多い。その条件が身体の一部や精神を蝕まれる物だとしても力に目が眩んだ者には関係ないのである。その末路は悲惨そのものだ。


「ファイは"問題ない"の一言で済ましてしまうし。確かに下手に呼び出したりしなきゃ身体に支障はなさそうだけど。出来ればこの物騒な契約を解いてしまいたいのよねぇ」


そう。ロゼが冒険者を続ける理由がここにある。知らぬうちになされた契約を解き再び封印し直す。その為に各地を回り色々な文献や資料を探している。

ファイに何度もその事を話したが自分は知らないの一点張りで話にならなかった。


「自由がきけばもっと進展すると思うのにまだ学園の方はかかりそうなのぉ?」


何も知らないミイルが何気なく発した言葉にルシフェルはニヤリと笑いロゼは嫌そうな顔をする。


「それがコイツさぁ・・・」


「ちょ!ルシフェル!!」


「ロゼは貴族と番になるらしいよ」


ルシフェルを止めようとロゼが詰め寄っていると後ろからいつの間にやらやってきていた仲間の青年が立っている。


「え。えええええええええ!?」


「ラウル!?番って誤解を招く言い方やめてくれる!?」


ラウルと呼ばれた青年は人の良さそうな悪びれるそぶりを見せず「誤解なの?」と首を傾げている。


「か・り・の!婚約者よ!あくまで期間限定!問題が解決するまでの!」


「えええー!でもロゼが引き受けるくらいだからカッコイイんだよね?じゃなきゃ絶対受けなさそう」


「まぁコイツ等は昔から俺様の顔を日々眺めて暮らしてきたからなぁ男の理想は間違いなく高いぞ」


自信満々に言い放ったルシフェルは確かに間違いなくすれ違う女性が思わず振り返る程の美丈夫である。


「まぁ間違いなくアンタみたいなタイプは好みじゃないことは確かね」


そのセリフに「可愛くねぇ」とルシフェルが舌打ちする。コイツ本当に神官か?とロゼは疑いたくなる。


「ロゼはどっちかというと見た目より相性で相手を選びそうだよね」


ラウルが持ってきたらしい封筒をロゼに差し出す。ロゼはそれを受け取りながら溜息を吐く。


「皆んなには手間をかけさせて悪いと思ってるわ・・・」


本来ならロゼ本人が現地に行き調べた方が手間もかからず調査もスムーズに進む。実際ロゼにしか解けない文献なども多々あり持ち出せない物や情報を手が空いた時間に確認しに行くという作業の繰り返しである。そのついでにギルドの依頼をこなし報酬を皆に渡している。


「報酬はしっかり貰ってるから別にこちらは問題ないよ」


ラウルとミイルは仲間でもあるが仕事を任せる代行者でもある。ロゼが動けない時はロゼが彼等を雇い仕事を任せているのだ。


「オレ達仲間なんだから気にしないで。もし力になれることがあれば出来る限り協力するよ」


ラウルは気にするなと優しく笑う。それをからかうようにルシフェルはラウルの肩に腕を伸ばし強引に引き寄せる。


「お前そんなお人好しだとまた身ぐるみ剥がされて売り飛ばされるぞ」


「剥がされてないし売り飛ばされても無い!!」


鬱陶しそうに片手でルシフェルを引き剥がしながら顔は赤くなっている。

ロゼは笑いながら自分はいい仲間と出会えたものだと微笑ましく眺めていた。


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