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三話:シープは孤独を感じる

--シルフのダンジョン-最上階-心臓石の間--

「早速、手下を創造するのですわ。ダンジョンのモンスターにはザコとボスがいますの。とりあえず、ザコから作るのですわー!」

ナビ・ナビは元気にそう言いました。腕を組んだままなので、ただでさえ大きな胸がバイーンと窮屈そう。

「えっと、これに触るんだったよね。」

心臓石に触れると、半透明のモニターが登場した。近未来的だなあと感心します。

「モンスターにも属性があるのですわ。ダンジョンと同じ属性だと力を発揮しやすいので、木属性のモンスターを創造するのですわ!」

「ん、了解…あれ?」

属性:木を選択すると。

ーーーーーーー

所持:1000DP


ノーマル

1回 100DP

10回連続(ランクD一体確定) 1000DP

100回連続(ランクC一体確定) 1万DP


レア(C以上確定)

1回 1000DP

10回連続(ランクB一体確定) 1万DP

100回連続(ランクA一体確定) 10万DP

ーーーーーーー

「何、このガチャ画面…」

しかも値段がすごい。始まった瞬間にインフラだ…

「ねえナビ、これってどういう仕組みなの?」

「モンスターには、属性の他にランクがありますの。ランクはF〜SSですわ。」

「つらいね!?確定Aまでしかないのに!」

「モンスター創造では、一定のDPを消費することで効率よくモンスターを生み出すのですわ。ただ、どんなモンスターが生まれるかどうかはランダムですの。

あと、一度創造したモンスターの情報はこの心臓石に記録されますわ。だから、特定のモンスターが欲しい時は少々お高いですけれど、購入もできるんですのよ。」

「でもなあ…」

「あと、購入以外に自動生産装置を創ることもできますの。購入時の千倍の値段ですが、一日一度、一万分の一のDPを勝手に消費してモンスターを創造する装置ですの。

将来的にはいい装置なのですわ。お高いですけれど。」

「値段ってどのくらいなの?モンスター購入の。」

「最低ランクのFが100DPですわね。」

ってことは、最低ランクの装置ですら今は買えないってことか…世知辛いなぁ。

「収入は?」

「今のままだと、一日5DPといったところですわね。」

「ええっ!?」

「ダンジョンは、中にいる動物やモンスター、人間なんかの魔素を吸収してDPに変換するんですのよ。

人間も動物もモンスターも魔素を色んな形で持っているのですわ。人間が魔力と呼んでいるものですの。」

あー、あれか。

魔法撃つために必要なヤツだ。

「自然にそれらは回復しますが、体に貯められる量には限度があるのですわ。余ったそれらをいただくというわけですの。

あとは、ダンジョン内で魔法を使ったりした場合ですわね。少ないけど、回収しますわ。

一番がっぽり稼げるのは、敵を倒した場合ですの。敵の身体はダンジョン内で魔素に変換され、吸収されるのですわ。」

「…味方の自滅でも同じことが起きるよね?」

「買う方が高いから無駄ですわ。」

「あ、そうなんだ。」

「自分で生産するなら、魔法が得意な生き物を連れてきて取っ捕まえて、永遠に魔法を使わせ続ければいいのですわ!」

うん、想像するとものすごく残酷だからやらせたくないけど…

だって、一生壁に向かって魔法放ち続けるんだよ?やだよ。怖いよ。そんな酷いこと強要したくないよ…

「魔法が得意な召喚獣ならここにいますわよ。」

「なっ、おぬし!何故妾をつつくのじゃ!」

「やらないよ!?」

奴隷的労働は禁止です。ホワイトなダンジョン経営を目指しましょう。

「話を戻して…どれを選ぶべきなの?」

「ノーマルの10回連続がいいのですわ。初めは高ランク精鋭を目指すよりも低いランクの生産装置をたくさん買うのがいいですの。」

ふむ。攻略の時は高ランクありきだけど、一体じゃあ機動力に難があるからかな…

「えっと…」

えい、とパネルに触れるとグルグルグルーっと魔法陣が画面上に表示されました。

これマジモンのゲームじゃんと引いていると、心臓石が光り出します。

「ほう。」

とミーハ・エルビス。

ズババババ、と音がして、心臓石の向こう側にくすんだ色の光の柱が立ちました。

キンッ、と音が鳴って半分くらいがちょっと輝く。

またキンッ、と鳴ってそのうち一つが茶色にピカピカします。

左から順に光が消えていって、その場所にはモンスターらしき何かが立っていました。

ーーーーーーー

ランクF:スライム(草)

ランクF:スライム(草)

ランクF:スライム(草)

ランクF:スライム(草)

ランクF:スライム(草)

ランクE:スライム(草)

ランクF:スライム(草)

ランクE:シープ(草)

ランクE:スライム(草)

ランクD:スライム(草)

ーーーーーーー

おおおお!?

「稀に見るダブりの嵐ですわ…開発部も真っ青ですわね…」

「あるじさまよ…」

二人が哀れむような目で見てきました。

「普通は、確定以外でDくらい出るものですわ。」

「恐ろしいスライムの量じゃの…」

「え!?シープってレアキャラじゃないの!?」

「ただの種族だけど…」

ランクが変わっても名前が変わらないタイプらしいです。見た目はちょっと違うけれど。いや、うん。ホントだよ?

全部が全部緑のスライムで、何匹いるかも定かではないレベル。ドローッとしながら少しずつ迫ってきています。

「なんで原形をとどめてないの!?」

「ランクDのスライムが大きいのじゃ!生まれたばかりでガラス体が上手く機能しとらんところにランクDが自重で潰れて、巻き込まれているのじゃ!」

「どうすればいいの!?」

「入れ物に入れるのじゃ!」

液状化よろしく床が覆い尽くされ、中心あたりで緑色の目をした薄緑色のふわふわした何かが溺れかかっています。多分あれがシープです。

スライムって、知能ないの?せっかく創造したシープが死んじゃいそうだけど?

「ば、バケツ!バケツがないと!買えないかな?ナビ、アイテムはどこで買えるの!?」

「【ショップ】で買えますわ!それにしてもベトベトですわ…でもDPが…」

「ミーハ、倒さないように気をつけながら魔法を使って!」

「ふむ、こうなれば致し方あるまいよ!『超回復』!」

慌てて【創造】画面から【ショップ】に移動し、【通常アイテム】ボタンを選択。

ーーーーーーー

購入アイテムを入力して下さい

名称 バケツ|

ーーーーーーー

エンターキー、えいっ!

ーーーーーーー

所持:100DP

検索結果 ランク▼

???のバケツ

神のバケツ

神のバケツ(赤)

神のバケツ(青)

神のバケツ(緑)

神のバケツ(黄)

神のバケツ(紫)

大魔王のバケツ

大魔王のバケツ(赤)

大魔王のバケツ(青)

大魔王のバケツ(緑)

→次ページ(121)

ーーーーーーー

「なんでバケツだけでこんなにあるの!?」

単純計算で1210種類もあるし…っていうか、???のバケツってなんだろう。

そんな場合じゃないんだけどね!?

「えーい、ランクは下から!」

ーーーーーーー

所持:100DP

検索結果 ランク▲

側面のないバケツ

側面のないバケツ(赤)

側面のないバケツ(青)

側面のないバケツ(緑)

側面のないバケツ(黄)

側面のないバケツ(紫)

穴の空いたバケツ

穴の空いたバケツ(赤)

穴の空いたバケツ(青)

穴の空いたバケツ(緑)

→次ページ(63)

ーーーーーーー

側面のないバケツってただの鉄の板じゃん!?

「極端だなあ、もう!!」

頑張って探した結果、Fランク用に小さなバケツ、Eランク用に普通のバケツ、Dランクに大きなバケツを買ってあげました。ちなみに、全員色は緑です。草属性だしね。


--ダンジョン-一階-草原--

カコン、カコン、カコン、とバケツの集団がついてきます。もう既に固まっているのでバケツに入る必要はないのだけど、気に入ったようです。

F軍団はちょうど大人の拳より一回り大きいくらいの大きさで、E軍団はお風呂にある柄つきの桶くらいのサイズ。大きいのはいわゆるバケツサイズ。

「…どうしたの?」

ふわふわのシープが羨ましそうにしていました。大きさは直径30cm、綺麗な球。

全体的に可愛いんだけど…

「弱そうじゃの。」

「ですわね。」

ああ、女子二人が容赦ない…よしよし、泣くんじゃないぞスライム。

「えーっと…みんなには、ここを守ってもらいます。」

「…」

「…」

あっ、鳴けない方向の。はい。

「えーと…バラけないで、固まって動きましょう。一人にならないように…あ…」

「…」

「…うん。」

シープが切なそうな顔をしていた。やむなく顔を逸らします。ごめんね。

せめてもの償いということで、穴の空いたバケツを買ってあげました。

心臓石には持ち運び用の小さいのがあるのです。ポケットサイズ。

買ったバケツは直径40cmくらいの、お揃いの緑色。

頭から被ると、ちょうど穴の部分に顔が来て、外が見えます。見た目としては、バケツが上を向いてるか伏せられてるかの違いだからそう大して気にしないでほしいです。

「DPが溜まったら創造してあげるから、頑張って…」

「…」

「…」

「…」

バケツがカコンと動きました。大きく頷いたようです。

スライムもバケツの口から半球型に顔を出して、しきりに垂れそうになっては戻しています。頷いているつもりのようです。優しいなあ。

一番大きいDランクがシープのバケツをよしよし撫でています。本当に優しいなあ。

「じゃあ、頑張って!」

「…」

「…」

カコンカコンとバケツが鳴りました。

さあ、あとは敵の襲来を待つばかりだよ!


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