~これが俺らの世界~
朝になり、昼になり、夜になり、そしてまた朝になる。
世界は飽きずにそれを繰り返す。
似たような日々が過ぎるなかで我々はいきる意味を探すのだ。
それでも彼はこの世界を退屈だと思った。
「それで彼はどうするの?」
机に肘をつき、その上に顎をのせた鈴原智也は聞いた。
「いや、これで話は終わりだ。」
気だるげに言った遠藤慶に智也は不服そうな顔をする。
「うーん……30点かなぁ。」
「何点中だ?」
「100点中。」
慶は眉をひそめた。
「お前、厳しすぎ。どこが悪いんだよ?」
「そうだな……。まず、主人公の意図が読めない。彼は結局何が言いたかったのかな?それに、言葉に気をとられて物語が足踏みしている。典型的な駄目作家だな。」
智也は鼻で笑って評価した。
さてと、と席を立った智也は笑顔で振り替えった。
「次は確か理科だったね。君のかっこいいピペットさばき、楽しみにしてるよ。」
「よく言うよ。いつも居眠りしているくせに。」
あきれ顔の慶に智也は肩をすくめて見せた。
「理数は肌に合わないんだ。」
遠藤慶と鈴原智也は今を生きる青春真っ只中の男子高校生であると共に、憧れから始まり少しずつ作品を出している作家でもあった。
倫理的な考え方をする慶。
言葉を巧みに操る智也。
明らかに理系と文系のこの二人が肝胆相照らす仲になったのか。
理由は今から数ヵ月前にあった。