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俺は寄生体(エリクシール)である  作者: おひるねずみ
第一章 国名宣言編
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第四話 英知の液体エリクシール 前編

かなり、ご都合主義に出来ています。平にご容赦を!

 寄生体である俺『エリクシール』は、生みの親である錬金術師ルルスの地下研究室へ向かった。

 途中、一人の犬耳メイドとすれ違ったが、異変に気が付くことなく? いつも通りに接している様に会釈えしゃくしてくれた。

 それにしても、この城のメイドは皆、犬耳なのか? 俺は疑問に思っていたところ


(ああ、それは余の趣味だ)


 ぶっ! 突然パラチが脳内でカミングアウトした為、俺は豪快に吹き出してしまった。

 周りにメイドさんがいない事が、唯一の救いだ。


(お前の趣味なのか!)

(エリクよ、言葉遣い変わってるぞ)

(いいんだよ。あの時は、お前を脅すために言葉遣い変えただけなんだから)

(そうなのか? まあ余は気にしないがな。話は戻るが、犬はいいぞ。孤独を癒してくれる。昔、色々あってな………)


 俺の宿主であらせられるパラチさんが、遠い目をしてる気がする。

 どうやらパラチは大の犬好きで、ルルスが作成した魔法道具マジックアイテム『ワンコの耳』を、パラチに仕える女性全員に付けているらしい。

 念じるだけで耳が生えたり消えたりするんだそうだ。

 商品化したら一部のフェチにバカ売れかも? いや、犬好きの人に大好評間違いなしだろう。興味本位で買う人もいるだろうし、現に俺もホシィー。俺の場合『狐の耳』だか。


(けどさ、なぜ尻尾が付いてないの?)

(それはだな、ルルスが無理と申していてな………)


 何か意図いとを感じるのは気のせいか? 予想だが『ワンコの耳』を着けたメイドが、ルルスに犬の尻尾を作らないでほしいと、必死に頼み込み、パラチの野望を阻止したんだろう。耳だけでも恥ずかしいのに尻尾までも着けられたら堪ったもんではない。と妄想コスモスした。

 涙目で必死に訴えるメイドさんが浮かんだ。イイ! 凄くイイ!



 

 そんな妄想をしながら、お犬様談義をしている内に地下研究所に到着した。

 俺は研究所の中に入りドアを閉め、部屋を見渡した。

 十m四方の部屋は、俺が生まれた時と同じように、何も変わっていない。

 床にはルルスの死体がまだ放置されており、所々で怪しい液体が「ボコボコ」音を立て続けている。

 ルルスの机の上に『英知の液体エリクシール』と書いてある手書きのノートを見つけ、手に取って読んでみる。


 ルルスが残した手書きには、こう書かれていた。


 『英知の液体エリクシール』

 再生、創造、不死の命、この三つが主の力である。

 失った肉体に一滴いってき与えれば、問題なく再生が始まるだろう。

 死んですぐならば、数滴与えれば息を吹き返すだろう。

 首より上がなくなっていても、首の付け根に同じく数滴与えれば、首から上が再生されるだろう。

 そして、『エリクシール』を生成した量、全てを飲んだ者に不老不死の力が与えられるだろう。

 効果は、生きとし生きる者、植物にも影響を及ぼす。

 死者も例外にあらず! まさしく、この世の英知を詰め込んだ液体それが『エリクシール』


 とてつもない事が書かれている気がする……………このルルスって人物は、この世界で相当腕が立つ錬金術師だった事が判る。

 まあ俺を生み出した時点で、凄い奴とは思ってたけど……………「ハッ!」もしここに書かれてある事が本当だったとすれば、数滴与えれば首から上が再生されて元通りになるってこと!?


 よし、物は試しだ。

 やってみる事にしよう。

 まずは液体を………どう出すんだ? 念じれば出るのか? 俺は人差し指に、一滴の水分が出るようなイメージをして集中してみた。

 すると、人差し指に「ぽつん」と一滴の透き通った雫が体内から出た感覚がした。


「よし、成功だ。後は量を増やすだけだから行けそうだな」


 俺はルルスの死体に近づき、首の付け根に『エリクシール』を一滴ずつ「ポトポト」と垂らしていった。

 すると、薄緑色の光がうっすらと部屋全体を照らし始め、十数滴与えると、目を開けていられない程の強烈な緑色の閃光が部屋全体を包みこんだ。


 閃光が収まると、そこには首から上が無事再生されたルススがいた。

 どうやらルルスが書いた事は、本当だったようだ。


 数秒後、ルルスが意識を取り戻し、周りを見渡す。

 そこには、血が飛び散った形跡が今も残されている。

 その部屋の様子をの当たりにし、ルルスは俺にしがみ付き、自分に起こった出来事を俺に問いただす。


「パラチさまぁ―――――――― 一体、何をしたんですかぁー!? 私、死んでましたよね! さっきまで一緒に、師匠とお酒飲んで会話してたんですよ―――――――― そしたらパラチ様が迎えに来て、それから」


 ルルスが一度に、色々の事を話して来たので、取りあえず落ち着かせ、一つずつ整理して話す事にした。


「ルルス落ち着け、まず初めに言って置かなければいけない事がある。驚くだろうが真実だ。心して聞いてほしい」


 ルルスは深呼吸をし、落ち着きを取り戻す。


「ふぅー、落ち着いて参りました。パラチ様」

「じゃあ言うぞ? 実はな、俺はパラチじゃないんだ!」


 ルルスは、言ってる意味が解らなく、「はっ?」と言う声を出して目を丸くしている。


「えー、私の耳が遠くなったんでしょうか? 年は取りたくないものですな。パラチ様がパラチ様でないと? そう言う事ですかな?」

「そう言う事だな」


 ルルスは、神妙しんみょうな面持ちをしながら考え込んでいる。

 ぶつぶつ呟き始めた後、ウロウロ周辺を歩きながら、あーでもない、こうでもないと、自分の世界に入り込んでしまっている。数十秒間考えた後、「まさかなー」と言っているのが聞こえた。


「すいません。まさかとは思いますが、貴方様は私が生成した『エリクシール』ですか?」


 これには俺も驚いた。

 俺を作った製作者のルルスは、俺の事を言い当てたのだ。

 普通、そんな事思いつく物なのだろうか? 俺の姿は、パラチその者なのに。

 だけど、パラチでは無いなら、誰なんだろうと考えれば、消去法で昨日作った『エリクシール』が一番可能性があると、ルルスは踏んだんだろう。

 これは、是が非でも俺の部下にしたいと思った。

 こんな凄い物を発明できるなら、色々役に立つに違いない。


 本当の所、自分の事を詳しく知るなら、作り出した製作者の研究室に行くのが手っ取り早いと思っていただけで、俺にこんな素晴らしい力があるなんて、分からなかったんだけどね。

 思わぬ副産物を手に入れたものだ。

 

「良く分かったな? ルルス」

「ハッ、その可能性が一番高そうでしたので、それで、何と呼べばいいのでしょう?」

「『エリクシール』だからエリクでいいぞ」

「では、エリク様と呼ばせてもらいます。エリク様、疑問に思ったのですが、パラチ様はどうなりましたか?」


 ルルスは、真っ先にあるじであるパラチの事を聞いてきた。

 あんな極悪非道の奴のどこにかれたのか分からないが、ルルスはパラチに敬意をしめしてるようだ。


「パラチは今、俺の意識の中にいるぞ。体の、全権利は俺が持ってる。どうやら俺はパラチに寄生してるらしい」

「き、寄生ですか!? ではパラチ様はエリク様の支配下に………なるほど……………」


 ルルスは右手をあごに当て、うなずいて納得してしまっている。

 錬金術師は順応が速いんだろうか? いや、ルルスが特別なんだろう。

 こんな魔王が住む地下室で研究をやってるんだから、普通じゃないよな………………


「所でルルス、お前はなぜ、パラチに仕えているんだ? 『エリクシール』の生成を成功させたのに、殺された場面を俺は見てたぞ」

「あ~、やっぱりパラチ様は魔力制御が下手ですな~。恐らく、私を殺したのは手違いでございましょう。

 魔力を制御するために、私が制作した指輪の破片が床に散乱しています。

 喜びの余りに指輪が壊れ、魔力制御が出来なくなったのでしょう。

 うっかり私を殺害してしまい、自棄やけになって『エリクシール』をお酒見たいに飲み、悲しみの余りに、ふて寝したと推測します」


 エ――――!? ルルスの肩叩いて頭爆発させた出来事は、ワザとじゃないって事? つまり、パラチは魔力操作が下手で、強大な魔力を制御出来てないって事ですか!? まるで、指先一つで破裂させる人見たいに。

 何その危ない人、近寄らないでほしい。アッ、既に同化してました。

 ヤバイな、想像以上に! この体の持ち主は俺が思ってる以上に危険だ! 制御できない力程、怖い物はない。


 俺は先程、パラチの情報を読み取った時の映像の中に、国を魔法一発で物の見事に消滅させているビックリ、ドッキリ映像を思い出し、妄想する。

 手加減しようと魔法を使用するが、魔力制御出来なくて想像以上の火力魔法が出来てしまい、手がすべちゃったゴメンネ! 「ゴゴゴゴゴ」と、都市に迫る核クラスの攻撃……………………慌てふためく人々、神に祈り慈悲を請う人達。

 だが無慈悲にも魔法が都市に炸裂! ………ないな……もしそんな事になったらゴメンじゃ済まされない。


 そんな事にならない様に第一目標は、当分の間、魔力制御が出来るようになることだな。

 パラチに聞いても駄目っぽいから、やはりここはルルスを部下にして、対策を練った方が速い。

 

 

「それでは単刀直入に言う、ルルス、エリクに仕える気はあるか?」


 ルルスは腕を組み考え始めた。

 まさかパラチ様一筋ひとすじなのか!? パラチ様以外に仕える気は無いと言いそうな雰囲気だ。

 何かイイ条件を与えた方がいいのか? 俺が頭の中で「むうぅー」とうなっていると、ルススが腕を解き、ひざまづく。


「エリク様、条件がございます。エリク様の力で私を若返らせては貰えないでしょうか?」

「ん、俺に出来るのか?」

「おそらく可能かと。私を蘇生させることが出来たのです。それに、パラチ様に寄生していると言う事は、人体の生命の源である、核を制御できていると推測されます。つまり、私にエリク様が寄生し、核を強制的に活性化させれば若返りも可能と思われ、三滴も有れば足りるでしょう」


 俺ってそんな事も出来るのか! なるほど、やってみる価値はありそうだな。

 早速、ルルスの若返り大実験に取り掛かった。

この後、コメディ色が強くなっていきます。戦闘は20~30話程、先かもしれません。

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