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俺は寄生体(エリクシール)である  作者: おひるねずみ
第一章 国名宣言編
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第二話 専属執事さん

二話、三話と人物の説明が主になります。

※『アヌセヤ公国』の位置を間違えていたので修正しました。(指摘される前に気付いて良かった)

 ナーヤは以前、西に位置する隣国『アヌセヤ公国』の城下町の騎士団に、十六歳の時から所属していた。

 その騎士団内の中でも、特に剣の扱いに優れており、徐々に頭角を現し、その噂が王城にも伝わっていき騎士団に所属して、僅か三年で王直属の近衛兵に大抜擢される。

 ナーヤが近衛兵勤めから約一年経ったある日、城下町で不審な集団に誘拐されそうになっている幼い少女を助けた。

 その少女の名はレニー。

 アヌセヤ公国の第二公女であり見聞を広めようと、お忍びで町を探索していた所をナーヤに助け出され保護される。

 この事がきっかけでナーヤはレニー公女と仲良くなり、アヌセヤ公国のトップ『ギムレット公』に命じられ、ナーヤはレニー公女の専属執事になる。


 それから月日が流れ七年後、ナーヤはギムレット公に呼び出され、直々に密命を受ける事になる。


 密命の内容は、魔王パラチが住む城におもむき、執事としてパラチに仕え、内情や動向を探る様にと言う内容だった。

 付き添いとして、メイド十八名が各国から選出された。


 ナーヤは三年前からメイド十八人を引き連れ、この地で働いており、ナーヤをトップとし、下にメイド長二名、その下にメイド十六名の美女美少女が、パラチとルルスのお世話をしている。




 この世界では、ある程度の強さを持つ者は魔力制御を出来るのが当然で、一般常識になっている。

 ところが例外がある。魔力が強すぎて制御できない人も中には存在する。魔王パラチが、その例なのだそうだ。

 魔力制御出来ていないパラチに、撫でられたりするだけで死んでしまう為、別名『死神グリム・リーパー』と呼ばれていたこともある。

 その事を痛く気にしていたパラチは、魔力制御出来る様にルルスから魔法道具マジックアイテム抗魔こうまの指輪』を制作してもらい、常時指輪を填め、魔力制御をしていた。

 パラチ用に特別仕様を施した『抵魔の指輪』が完成したのがナーヤ務める一カ月前なのだそうだ。


 ここに就任した時、魔王パラチは魔力を体から滲み出しておらず、触られても平気な事をルルスと名乗る者から聞いていたので、今まで何事も無く生活していたのだが、つい先程から魔王パラチから魔力が漏れ出している気配を肌で感じ取り、何か只ならぬ事が起きていると察し、メイド十八名をエミリア姫が控えている三階にある応接室に集め、緊急会議をしていた。


 部屋の中での話を一通りまとめ、まず、この事態を解決できるであろう錬金術師ルルスをここに連れて来る算段になった。

 ナーヤはメイド長の一人、子供っぽい仕草や言動をするチェルシーにルルスを迎えに行くよう指示し、もう一人のメイド長イザベラに、エミリア姫を含む残りのメイド達を任せ待機してる様に命じた。

 その間、ナーヤ自身はパラチの様子を探りに、現在居るであろう五階のパラチの寝室に向かう事にする。

 パラチ城五階が最上階であり、三階にある右側の階段を上って五階に行き、十字路の通路の真ん中を真っ直ぐ進み、一番奥の右側の部屋にパラチの寝室がある。

 

 ナーヤはパラチの寝室に近づけば近づく程、パラチの異常なまでの魔力を感じ取っていた。

 一歩一歩進むたびに、不安が段々と大きくなっていく。

 四階から五階に向かう階段を移動して、十字路の通路に差し掛かった時に突然、ナーヤが今までに聞いたことがないパラチの叫び声を聞き、急ぎパラチが居る寝室へ急行した。


 そこで仕えるあるじの様子を見て、恐怖で心が支配される。

 体から紫色の魔力が勢い良く体から駄々漏れしていて、部屋中を包み込んでいたのが瞳に映ったからだ。

 左手を良く観察して見ると『抗魔の指輪』を装備していないのが見え、魔力漏れの原因が判明するのだが、凄い勢いで魔力のオーラを放出している現場を目撃し、ナーヤは軽いパニック状態に陥っていた。

 この場をしのごうと必死になって許しをうのだが、どうも様子がおかしい。

 知ってるはずの名前を聞いてきたり、パラチ様自身の事を教えてくれと言って来たのだ。

 ナーヤは理解に苦しんだが、質問された事を答えていく内にパニックが少しやわらいで冷静になっていく。

 だが、冷静になればなるほど、ナーヤ自身、もう何が何だか解らなくなっていった。

 いつものパラチの喋り方ではなく、まとっている雰囲気もまるで違う。

 あたかも別人と話している様な気がして、パラチで無ければ目の前の人は誰なの? そんな考えが脳裏のうりよぎるが、触れられでもしたら死んでしまう。その恐怖心の方が強く脳内に渦巻いていて、自然と瞳に涙が貯まって行くのが判り、体の震えが止まらない。

 

 しばらくしてパラチの質問タイムが終わり、退出するよう命じられた為、ナーヤはパラチの寝室から退出し、皆が待つ三階の応接室に駆け足で急いだ。



 

 応接室に戻り、急いで皆と情報共有をしようと部屋の中央に移動するが、まだルルスを呼びに行ったメイド長が戻って来てない。

 もう戻って来ていてもおかしくないのだが、ナーヤは気にせず、パラチの様子を皆に話した。

 

 何らかの出来事があって『抗魔の指輪』を指に填めて無かった為、魔力が体から噴き出している事や、パラチの様子がおかしく、まるで別人の様な気がする事を話していく内に、皆の顔が引きっていき不安が更に伝播でんぱしていく。

 その時、ルルスを迎えに行っていたチェルシーが、一人で応接室に飛び込んで来た。

 チェルシーは凄い慌てようで、ちょっとした恐慌きょうこう状態になっており、皆を見て少し安心したのか、泣きながらルルスの身に何が起きたのかを語った。


「地下研究所の部屋の中に入りルルス様を発見したの……………そこにはルルス様が床に倒れていて、首から上が無く、既に亡くなっ……ていました…………」


 その言葉を聞いた瞬間、メイド達がパニック状態に陥った。

 この事態を収める事が出来るであろうルルスが、もうこの世にいない事実に皆、冷静さを無くしている。

 そんな中、若干二名ほど、パニックになっていない人物がいた。エミリア姫とナーヤである。

 ナーヤは今、パラチの魔力がどこにあるのかを探り、エミリア姫は、メイド達を落ち着かせようと働利かせる。


「貴方達! 落ち着きなさい! 慌てふためいても問題は解決しませんよ?」


 エミリア姫に指摘され、次第に落ち着きを取り戻すメイド達。

 ナーヤは、来客のエミリア姫に非礼を働いた事に対して、メイド一同に深々とお辞儀をさせた。


「エミリア様、申し訳ございません。このような無様な振る舞いを晒してしまい………」

「いえ、人が亡くなっているのです。当然でしょう」


 この一連のやり取りをしてる最中にナーヤは、パラチの居場所を感じ取る。

 場所は、地下研究所。ルルスが倒れている場所だ。

 ここでようやく、ある疑問点が浮かんだ。


 ルルスは誰に殺されたのか? この城に住まう者を暗殺しようとたくらむ者は、パラチの逆鱗に触れる為、外部の者の線はまず無い。

 恐らくは、『抗魔の指輪』が何かの弾みに壊れ、その時にパラチが誤ってルルスを殺したと考察こうさつするのだが、なぜパラチは今! 研究所にいるのか? それが分からない。

 あの『抗魔の指輪』は特別製で、スペアは無いとルルスから聞いているしパラチもその事に関しては知っているはず………何かがあると、ナーヤは直感ちょっかんした。

 それと同時に、研究所から発せられるパラチの魔力が徐々に弱まり、収まっていくのが感じ取れた。


「パラチ様の魔力が収まりました。やはり何かあります」

「ナーヤさん、何かとは?」


 エミリア姫が聞いて来るので、今までに感じた疑問をナーヤは、皆に伝え相談する。

 そして、この場で出た結論は、パラチをこの場に連れて来て、今起きていること全てをパラチ本人から聞き出す事と判断した。

 魔力漏れも収まっているので、大丈夫だろうと皆で決定をくだし、ナーヤが研究所に向かおうとしたが、この場にずっと前から待機していた、もう一人のメイド長のイザベラに引き留められ、ナーヤの代わりにイザベラが向かう手筈になった。

 自分だけこの場に待機させられていて責任を感じての発言だろう。


「エミリアが呼んでいるとパラチ様に、お伝えください。そうすれば、無下むげにはしないでしょう」

「分かりました。エミリア様、お気遣い感謝します」


 イザベラは、エミリア姫に一礼すると研究所に向かって行った。

三話の話が短いので、少し時間を空けて投稿します。

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