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俺は寄生体(エリクシール)である  作者: おひるねずみ
第一章 国名宣言編
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第十五話 空を漂う宝箱 後編

今回初めてランクが登場しますが、相手のステータスは、まだ不明のままです。(キャラも含む)

25話辺りでステータスが分かるようになります。

30話辺りで、今まで出て来た魔物のステータスをまとめて掲載しようと思ってますので、それまではステの事は想像にお任せします。

追記で、PVが2倍ほどに増えていて少しビックリしてます。

読んで下さっている方、ありがとうございます。

この調子で執筆する予定なので、夏バテせず頑張っていけたらいいな~。

皆さんも夏バテにご注意を(~o~)←脳みそとろけ中

 フィブロス山脈に入り、一時間程時間が経過し、山脈を越えるのが後わずかになった時に、出て来ては行けない奴が出てきてしまった。


「ムゥ。エリクよ、余に刃向かう奴が、上空から急接近してくる! すまん、先に謝って置く」

「それって、戦闘になるってk!?」


 言葉を交わした瞬間、俺達が入った宝箱が空中に投げ出され「クルクル」回転する。

 パラチ視点で見てみると、デカい鳥が俺達の入った目立つ宝箱に目掛けて、急降下してるのが見えた。

 ちょっ、でか! 待て、待て、待て! 何だ、あの巨体は! 体長十五メートル以上ありそうな体をしていて、孔雀くじゃくみたいな光る羽を持ち、顔がペリカン見たいな奴が口を開けて向かって来る。まさか、俺達を呑み込む気ですか!?

 

「クワァァァァ――――――――――!!」

「うるさい鳥風情がぁー! 消し炭になってしまえ!!」


 孔雀もどきのペリカンが叫ぶと、あらゆる物を揺さぶり壊しそうな衝撃破と、不快な音波がパラチと宝箱に向け放たれた。

 それと同時にパラチが火炎嵐ファイアストームを片手で引き起こし、衝撃波、諸共巻き込み、風の力を得た凄まじい熱風がパラチの前方を包み込む。

 火炎嵐をまともに浴びた孔雀もどきは、こんがり焼きあがり地面落下していく。


「「「○×△☆♯♭●□▲★※!!」」」


 すぐに俺達が入った宝箱はパラチに救出されたが、目を回してすっかり酔ってしまっていた。


「緊急だったので宝箱を放してしまった、本当にすまぬ」


 パラチは気まずそうな雰囲気を、声から出して謝っているが、俺の頭に入って来ない。

 宝箱の中を回されたお陰で、いつの間にかナーヤの胸が俺の顔に押し付けられており、上から抱き着かれる形になっていた。ナーヤの上にはエミリア姫がいて、ちょっと重い。

 それにしても、何というラッキースケベ! まさか、俺のラックはカンストしているのか! パラチ君、今日の行いは全て水に流そう!

 取りあえず、まだ二人共意識を失っているので液体を少量、周囲に散布した。


「ナーヤ、気が付いてたらだけど、退いてくれないかな?」

「ん、んん、あれぇ? 確か……!? キャァァ――――!!」


 はい、ナーヤから起き上がりのビンタを貰いました。ほっぺがジンジンするけど後悔は無い! キリッ! エミリア姫も気が付き意識が回復した様だ。

 ナーヤの顔には少量の怒りの感情と羞恥しゅうちの感情が現れている。

 その様子を見たエミリア姫は俺に突っかかって来た。


「エリク様? この狭い箱の中でどさくさに紛れて、何をしたのかしら?」

「何もできませんよ? 俺は一番下で下敷きになってたんですよ。お……おっと」

「お? 続きの言葉は、お・も・いですか? エリク様?」


 ぐっ、女性に「重い」って言ったら失礼だから自重じちょうしたが、うっかり滑ってしまった。

 何でこういう時に限って女性は鋭いんだ! 追撃してくるエミリア姫が怖い。


「違いますよ、エミリア姫を上から落としたら柔肌がりむけるかもと考えまして、動けなかったのですよ」

「ふ~ん、まあいいでしょう。そういう事にしておきましょうか」


 ふぅー、箱の中で逃げられないから、返答次第では血祭りになってたな。

 宝箱が更に赤く鮮血に染まるとこだった。


「ところで、さっきの巨大な鳥は何だったんだろう? ナーヤ知ってる?」

「巨大な鳥と言えば、フィブロス山脈に住みつく魔物の主、冥王鳥ヘルバーダと呼ばれるSクラスの巨鳥がいますね」

「ん? Sクラス? 強さのランクみたいな物なのかな?」


 ナーヤの説明によると、この世界には強さをランク付けにした格付けがあり、それが強さを判断する基準になっているとの事。

 最低ランクがGランクで、そこからFEDCBASと八ランクあり、Sを頂点としたピラミッド型の格付けになっている。

 Gランクは、一般人でも武器さえあればソロ討伐可能な強さなのだそうだ。

 人にも格付けされたランクがあり、トップのSクラスは世界に数人しかいない。

 その中でも、ランク付け出来ない例外が五大魔王であり、実質、食物連鎖の頂点に位置する。

 つまり、先程パラチが美味しく焼き鳥にしてしまった鳥は、魔王を除けばピラミッドの最上位に位置する化け物であり、超危険な魔物だったのだ。


「ナーヤ、Sクラスの魔物を倒すには実際、どの位の戦力が必要なの?」

「そうですね~、国の近衛兵が四人の小隊を組んだのがBランク相当と言われています。王直属の近衛兵四八人の大隊でAランクとなっています。

Sランクからは国の総力を挙げての攻防になり、魔王は国々が協力し合ってようやく一泡吹かせる位と聞き及んでおります」


 国を挙げての総力戦をしないと撃退できない魔物を、うちのパラチは一撃で撃破するのか……圧倒的だな。

 今後も、よろしくお願いします。

 

「疑問なんですがエリクは、いかなる方法でヘルバーダの姿を見たんですか? この宝箱に空いてる穴は横穴で小さいですし、上に浮かんでいたヘルバーダは見えないはずです」


 俺はナーヤの質問に答えてしまった。

 答えてはいけない質問を喋ってしまった。


「パラチの視点から見てたんだ、それでヘルバーダがどうやって倒されたかも確認してる」


「「エッ!?」」


 二人共、心から驚いてる。期待通りの表情をしてくれて、してやったり感があるな。

 およ? 何だか様子おかしい、二人の眼に殺気が宿ってる!? 背中からやけに悪寒がするし、断じて気の所為せいじゃない。 


「エリク様。ひとつ尋ねますが、私達からの視点からもエリク様は見れると?」

「多分、一度寄生すれば視認できるんじゃないかな」


 まずい、この流れは……俺の生死に関係する問題だ! 俺の脳よ、活性せよ! 繰り返す、全ての力を脳に集結させよ!

 俺がエミリア姫のいに答え終ると、次はナーヤが設問せつもんをする。


「つまり、昨日エリクは、私の視点で色々覗き見したのですか? お答えください」

「の、覗き見なんてしてないよ。俺がそんな最低な事する訳ないじゃないか!」

「エリク。私の眼を逸らさず、今の言葉を言えますか?」


 クッ、駄目だ、ナーヤの瞳を見ながら嘘を付きたくない。

 それに俺は嘘付くのは下手だからな、このまま行けば確実にバレてしまう。

 もういっそのこと、真実を喋った方がいいのかも知れない。


(と言う事でパラチ! 共に地獄に落ちようか! もう残された案はコレしかないんだ! 察してくれ)

(浴場の誓いここに敗れり……か、いいだろう。約束だ、余の命、エリクに捧げよう!)


 俺とパラチは悲観そうなつらをして、迅速に決定を下した! これ以上、傷を大きくしない為にも正直に話すことにしたのだが。


「そうですわね、エリク様がそんな最低な事をするはずが無いですよね。疑ってしまって本当に申し訳ありません。私がどうかしていました」

「別にエリクになら……私は覗かれても気にしないけど……」


 うわぁー、やめて、お願いだから、そんなにかしこまって謝らないでくれ。

 ナーヤ視点で見た時、すぐに覗きを止めれば、こんなにも苦しまずに済んだのに。

 もう俺、お風呂場を覗き見してた事に対して、罪悪感マックスだわ。メーターが振り切れてるわ。

 それでいて、ナーヤは覗きを許容してしまうし、どんだけ包容力高い人なの!? 


(パラチ、もう覗きは止めような……俺達は酷い行いをしたのに許された! だから、この天使達を守っていくぞ! 異論はないな!)

(まったく持って異論は無いぞ! 余は、覗きがバレて、エミリア姫に処刑されると思っていたのだが、この血も涙も無い非道な覗きを許してくれるのなら、報いなければなるまい! 男として!)


 パラチと魂の契りを交わしている最中に、エルキア上空に辿り着いた様だ。


「俺は気にしてないから二人共、顔を上げて。それにお城が見えて来たよ」


 少しずつ近づいてくる街並み、俺達を乗せた宝箱は、上空から緩やかにエルキア城に向けて降下していった。




 パラチの手によって破壊された、エルキア城の屋根の上。

 専属の城の修繕師達が、破損している箇所かしょを石材で修復していく。

 今の城内は落ち着きを取り戻しつつあったが、誰によって壊されたか国の重鎮達は隠していたので住民達は、事の顛末てんまつを知らない。無論、王が石化され姫が連れ去られたなど知る由もない。

 

「親方、魔王パラチがこの城を襲ったって本当ッスかね?」


 下っ端の見習いがどこからか嗅ぎ付けてきたのか、冗談みたいな事を棟梁兼とうりょうけん、親方であるビザディンに言い出した。

 

「はぁー!? 寝ぼけるのもいい加減にしろ! 魔王パラチ? そんな物騒な魔王がこんな場所来るわけないだろ! 寄りにもよって、五大魔王筆頭のパラチが現にエルキア城を襲ったのなら、城が残っているはずが無い。いや、エルキア王国は滅亡しているはずだ!」

「けど、城の兵士の話を盗み聞きして聞いたから多分、事実ッスよ!」


 コイツ、今まで何処で油売ってたかと思えば、そんな事をしていやがったか! だが、それが真実なら何しに来たんだパラチは? 玉座の間の天井を壊して、そのまま帰っていった訳じゃあるまいし、不気味だな。

 それに、国のお偉いさんには会ったが、今まで王様の姿を見かけないのもおかしい。

 修繕する初日には必ず、王様が挨拶を行うのが恒例になっているのだが、今回はそれが無かった。

 パラチが襲撃して来た事実を隠ぺいするのに奔走していて、忙しいのかも知れない。

 そう思考を回していると、下っ端が何か騒ぎ始めた。


「親方ー、あれ、なんッスかね? 何かが落ちて来てるんですが?」


 すると、ビザディンの頭上に影が現れる。


「お、おやかたぁぁ――! 空から真っ赤な宝箱が――――!」

「な!?」


 マジだ! 何で宝箱が空から落ちて来て……ん? なんだ? 宝箱に鎖が巻きついている。

 その繋がった鎖を誰かが持ってる? 誰だ! そんなバカげたことをする奴は!? そもそも空を飛んでいると言う事は、ヤバイ奴に違いない。

 その時、城の見張り塔にいる兵士が非常事態宣言の鐘を「カン、カン、カン、カン」と鳴らした。


「親方! この鐘の音ヤバイッスよ。緊急事態を知らせる鐘ですよ!」

「わぁーってるわ! そんくらい! てか、あの宝箱運んでる奴、玉座の間に目指してないか! こっちに向かって来るぞ!?」


 遠くから、黄色で身を統一させた近衛兵がこちらに向かい、徐々に集まり始めているのが見える。

 一刻も速く、この場から離れないとどうなるか分かった物ではない。


「おい、とっととこの場から一時退散するぞ! やな予感がする! おい、聞いてるのか!」


 下っ端の様子がどうもおかしい、体をガタガタ震わせながら、その場から動かない。

 なにしてやが!? コイツ! 漏らしてやがる!! いい年して何やってんだコイツは!


「お、親方……終わりッス……宝箱を持っているの……パラチッスよ……やっぱり兵士が言ってた事は本当だったんだ!! 終わりだぁぁ――――!! もうどこに逃げても助からないッス――――!!!」


 はあぁぁぁ!? コイツ今、パラチって言ったか!? 俺の聞き違いじゃないのか! 恐る恐る、宝箱に繋がる鎖を持っている人物を眺める。

 そこには、この世の畏怖を体現せし者が今まさに、穴が開いた天井から玉座の間に侵入を果たすパラチの姿が、鮮明に瞳に映し出されていた。


「パラチ……だ……!?」

「おやかたぁー!」


 急に視界が反転する。

 余りの出来事に動揺した親方ビザディンは、驚いた弾みで足を滑らせ、十メートル下に転落していった。

昨日は、都合上1000文字しか執筆できませんでした。

これは、後々響きそうです。

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