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俺は寄生体(エリクシール)である  作者: おひるねずみ
第一章 国名宣言編
12/42

第十二話 浴場の誓い

タイトル通りです。

皆様のおかげでPV1000に到達しました(7月11日12時)

皆さんの貴重な時間を使って読んでいただき、非常に恐縮している所であります。

ブックマークも少し増えて来て、モチベが上がって来ましたがシリアス場面の執筆難航中! ぐぬぬ、今書いてる所さえ抜ければスラスラ進むはず。


 こうして、俺達は風呂に向かうがルルスは用事があるらしく、後で入ると断りを入れて、俺達と別れた。

 脱衣所の手前で男女に別れ、別々に脱衣所に入っていく。

 俺は服を脱ぎ、浴場に足を踏み入れた。


 デカすぎる! 数人で入るにはこの広さはいらないだろう。

 まるで、大型の銭湯を貸し切りで入るような物だ。

 この無駄に広い浴場に、パラチとルルスは入ってた訳か……寂れた銭湯みたいで寂しいな……

 体を洗おうとしたが、俺はここで重大な事に気付く! 水が出る蛇口が、どこを探しても無い。

 そうか! ここは別世界だから、そんな贅沢な物は無いのか! フォークやスプーンも存在していたから、勝手に有る物だと判断していた。

 じゃあ、ここにある湯船のお湯は、魔法なのか。

 パラチは俺の横で、水を少し出しながら体を洗っている。


「パラチ、それも魔法なのか?」

「ん? そうだぞ、生活をする上での基本魔法だからな。元が液体であるエリクなら簡単に出来るはずだ。水が手から出る様にイメージして見ればいい」


 俺はパラチに言われた通りに指先に水が出る様にイメージしてみた。

 突如、消防車のホースから出る様な勢いで水が放出され、音を立てながら壁に当たり、水を周囲にまき散らしている。


「エリク! 強すぎだ! 弱めろ! それに、ひんやりと寒くて冷える!」

「言われなくても、やってる!」


 少しずつ蛇口を閉める様に、勢いが衰えていき、最後には蛇口から出る位の勢いに治まった。


「これでどうだ?」

「エリク、それでは冷たすぎだ。それに、少し熱を加える様に温度を調整するのだ」

「お、おう」


 パラチの助言に素直に従い、肌の体感温度辺りに温度を調節して、俺は体中の匂いや汚れを洗い流し湯船に浸かった。


「ふっひぃ~、生き返る~」


 ア~、ごくらく、ごくらく。今日は、非日常な的な出来事がてんこ盛りだったから、もの凄い疲労感がある。

 まだ、問題山積みなのに一日でコレだからな~、鬱になりそうだが、この駄々っぴろい湯船が貸し切り状態だから、伸び伸びとくつろいで英気を養おう。


「行くぞ! エリクよ! 覚悟するがいい!!」

「ファッ!?」


 パラチが浴場の入り口から、猛スピードで湯船に突撃してくるのが見える。俺は湯船に浸かり、余りの気持ち良さにとろけていたので、気が付いた時には手遅れだった。

 「ドォボォォ――――――ン」お湯の水しぶき、もとい波が俺に覆いかぶさった。本日二回目の波に呑まれたお陰で、水が滴るイイ男になったよ。

 ああ、これ修学旅行の時にもあったな……だけどな、やりすぎだろ……湯船に深々とあったお湯が、半分ほど減ってる。

 まさか、この事を事前に察してルルスは一緒に入るのを拒んだのか!?


「フハハハハハハ、ちょっと張り切り過ぎたな。お湯が少し失われてしまった」

「パラチさん、貴方にとってお湯が半分無くなる事は少しなんですか?」


 パラチは全く悪びれず、悪い悪いちょっとした茶目っ気だ! 許せと、言わんばかりの顔をしている。

 俺はストレスで眉毛をピクピクしながら、少し声音を低くしてパラチに迫ると、「フン! お湯など際限なく出せるわ!」と言わんばかりの表情をして、湯船のお湯を瞬く間に元通りにしてしまった。

 もはや、この男には何でもアリなのか! 俺も出来そうだけど、パラチには言わず、今回は花を持たせることにする。


「で、だ。どうするつもりだ?」

「移動手段の事?」

「そうだ、お前が空を飛べないとなると、徒歩になるな」

「いやいやいやいや、徒歩だと物凄い時間掛かるだろ。だからさ、お前に空を移動して連れて行って貰おうと思うんだ」

「どう運搬するのだ? 一人を背中に乗せ、二人を両脇に抱えるのか?」


 その場面を想像して見る。

 背中にエミリア姫、両脇に俺とナーヤ。

 空を移動中に何者かに襲われたらやばいし、エミリア姫の双丘がパラチの背中に当たって、パラチが暴走するかも知れない。


「その案は無しで! けど俺は面白い事が好きだからさ、それに似た案になると思うよ?」

「ふむ、余も楽しい事は大歓迎だ。今まで退屈で仕方なかったからな」


 俺とパラチは、エルキア城に到着してからの打ち合わせを確認しあい、国造りに向けての作戦を練る。

 成功の鍵になるのは、王様を説得させられるかにある。

 この辺りは、エミリア姫が上手くやってくれるだろうと言うのが、俺達二人の見解だ。

 なので要するに問題は、エミリア姫が現在要求している傷の治療だけだ。

 出来るだけ早く治療して上げれば、俺達の株も上がり、今後の展開が楽になる。

 だが、もし治療が手遅れになったりしたら、俺達の国造りに大きな影響が出る。


「パラチ君、現在俺ら二人だけだから聞くけどさ、城の人達にどんな酷いことしたの? 洗いざらい吐いちゃって」

「う、うむ。では、言うぞエリク。心して聞くが良い! 余の武勇伝を!」

「勿体ぶらずに、とっとと教えろ!」


 パラチは「コホン」と咳ばらいをし、自分がやらかした事を白状した。


「エルキア王国の国王と兵士四人を石化させ、近衛兵団長リガルドを瀕死の重傷にした」


 おふぅ! 石化!? 石化って何だ! 石像みたくなってる状態の事だよね? 俺に治せるのか!? それよりもリガルドって奴が瀕死の状態!? おいおい、エルキア城に到着していたら亡くなっていましたとか、勘弁してくれよ。

 けど、ルルスを生き返えらせるのに成功したし、気楽に行こう。平常心、心を無にすれば、何も怖くない。

 

「まあ、大丈夫だろ? 石化も多分治せるだろうし、問題ないはずだ」

「そ、そうか? なら余は、安心していいんだな? 全てエリクに任せるぞ?」

「ああ、大船に乗ったつもりで入ればいい……ドロブネデナケレバイイガナ」

 

 話が纏まり、俺は再び湯船でダラダラを再開する。

 フゥー、この安らぎの空間良いな、今頃向こう側は、キャッキャッウフフ見たいな感じで盛り上がってるんだろうなぁ~? そう思い、口まで湯船に浸かった時だった。


 ぶっ!! 「ゲホッゲホッゲホッ」何だ!? 何だこれは!? いや~、待て~、早まるな、動揺するな、臆するな、しんの臓よ、落ち着け。

 こんな時は深呼吸するに限る「スーハースーハー」湯煙が美味しく感じる! よし、いくぞぉォ!  


「急にどうしたのだエリク? 様子がおかしいぞ?」

「そ、そんな事は、あ~りませんよぉ? パラチ殿」

「いや、どこからどう見ても怪しいぞ、それに殿?」


 パラチに、めっちゃ怪しまれてる!? マ、マズイ、バレないようにしないと! けど、無理だぁ~、こんなにお湯があって水面が揺らついてるのに、パラチの奴、感づいたのか俺のある部分を凝視してやがる! やっぱりお前はホモなのか!! そうなのか!?


「おい、エリク……お前、まさか……見えるのか?」


 クッ、パラチの奴、正確に俺の状況を把握してやがる! ならば死なば諸共だ!

 

「ああ……どうやら、ナーヤの視点で見れる様だ……決して、決してワザとじゃないぞ! 神に誓っていい! ナーヤさん達、どうしてるかな~って意識したら目の前に、桃源郷がな……」

「なぁんだぁとぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――――!!!」


 パラチは突然立ち上がり、天井を見て雄たけびを上げた。城全体に声が響いて、揺れているんだが!


「パラチ、落ち着け! 取りあえず、落ち着いてくれ! 向こうが感づいたら、俺は生きていけない!! 俺は裸を見られて、半死の状態で生かされているんだ。

 もし、これが彼女達にバレれば、俺は魂ごと消滅させられてしまうだろう。俺が死んだら、魔力制御出来なくなるぞ! それでもお前は良いのか!?」


 俺の必死の説得により、パラチは獣の様な気配を発していたが、徐々に落ち着いて行く。


「フゥー、フゥー、ムフゥー。すまんな、余とした事が取り乱した。彼女達には絶対、口を割らないと、この浴場で誓おう。ただし条件がある」


 じょ、条件だとぅ~、まあバレる位なら、いくらでも条件を呑もう。


「な、なんだ!? 言ってみろ? 今の俺は仏の心境だからな? 何でも聞き入れる覚悟がある」

「ならば余に、お仕置きする件を今回の事で無かった事にしてくれないか?」

「いいだろう、お安い御用だ」


 何だ、思ったより欲は無かったな。


「後、もう一つ!」

「ま、まだあるのか!」

「余にも桃源郷をみせてくれぇぇぇ――――――――――――――――!」

「そっちが本命かぁ!!!」


 やっぱりこうなったか! 仕方ない。俺の命には変えられない。

 パラチと一連のやり取りをしながらナーヤさん視点で桃源郷を見ていたが、ナーヤさんが体を洗ってる最中、丁度いい大きさの美しい完熟ミカンがルン、ルンしてたな! 実にイイ物だった。脳に焼き付けておこう。 


「提案を呑もう。同志パラチよ! その代わり、この事は他言無用だからな! 絶対、誰にも喋るなよ? 約束だからな!」

「当然だ、墓まで持って行く事を魔王の名に掛けて約束しよう!」 

「それにしてもパラチ殿。お主も相当の悪よのう?」

「いえいえ、エリク殿ほどでは……」


 俺達は、これから悪事を働くような顔つきになり、怪しい笑みが今にも、口からこぼれそうだ。


「じゃあ、ナーヤさん視点の映像をリンクさせるぞ? ショック死するかもしれないが、覚悟はいいか!?」

「うむ、よろしく頼むエリク殿」

「パラチ、殿付けは止めろ……」

「いや、同調しないといけないと思ってな……」


 俺はパラチに映像をリンクさせてやった。

 見る見るうちにパラチに異変が!


「うぉぉぉぉぉぉ――――!!!」

「うっさいわ、ボケェ~!」


 興奮したパラチが、向こう側に聞こえるかもしれない音量で叫んだので、すかさず手首のスナップを利かせ、頭に思いっきりツッコミを入れ大人しくさせた。

 強く叩きすぎたのか、パラチがプルプル震えて泣いている。

 やべぇ、強く殴りすぎたか? いや、そんな事は無い。全然が手ごたえがなかったし。


「エリク、この事は一生忘れない……ありがとう……ありがとう」

「ああ……」


 泣いて喜んでるよ、この人。貴方、一応魔王だよね? 誰もが恐れ、ひれ伏す魔王だよね? 今の姿に威厳なんて、皆無なのですが。


「ふむ、これは中々いい眺めだなエリクよ」

「俺、ちょっと罪悪感が出て来たから映像切っていいかパラチ?」

「凄い揺れてるな」


 おぉーい、パラチさん。

 無視しないで帰って来てくれ。


「イザベラも結構いいな……!? エ、エミリア姫! ぶはぁぁぁ――――――――!!!」


 うぉぉおいぃぃぃぃ! 鼻血を勢い良く俺に向けて、噴射するなよ! きたねぇ! って、浴槽に仰向けになりながら、倒れ込むんじゃねぇ~、この糞魔王が! 後始末する身にもなってみろ! やっぱ、コイツには仕置きが必要「ガラガラガラ」


「「!?」」


 誰だ!? 湯気で判別できない! ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤァバァイさんですよ! この状況をどう説明したらいい!? パラチが幸せそうな顔をして、鼻血を垂れ流しにしている! くそ、気絶しているパラチが羨ましい。


「エリク様~、パラチ様~、様子を見……って、何ですか、この状況は!? それにエリク様! 顔に大量の血が!」

「その声、ルルスか!? 助かった、ちょっと助けてくれ」

「ヒィィィー! エリク様、取りあえず血を洗い落として下さい! 血を大量につけて、平然としてる表情が不気味すぎます」


 ルルスが血まみれの俺を恐れているので、浴槽から出て血を洗い流した。


「ルルス、もしかして血が苦手なのか?」

「そんな事は、ありません。お風呂に入ってゆっくりくつろごうとしたら、顔中、血まみれの人が平然と浴槽に入っていて、こちらの方を向いて視線が交差したら、エリク様はどう思いますか?」

「めっちゃくちゃ怖いな……俺なら猛ダッシュで、その場から逃げる自身がある」

「でしょう? それと同じ事でございます」


 俺はルルスに、ナーヤさん視点で風呂を覗いていた事を伏せ、パラチと呼吸をどれ位の間、止めていられるか勝負していたら、突然鼻血が出て気絶したと答えた。

 ありがちな答えだな、絶対気付かれそう。

  

「本当ですか? エリク様? パラチ様の表情を見ると……おおよそ見当が付きますが……その……覗いたのですか?」


 クッ、ここの城の住人は化け物か! 察しが良すぎるぞ! 何でもかんでも、推理して当てないでくれよ。たまには、俺の意見を尊重して納得してくれよー、この通り、お願いだからさー。


「ルルス君、君の様な感の鋭い子は、僕は嫌いだよ?」


 俺が「嫌いだよ」と言ったらルルスは、目を大きく見開き、「エッ!? まさか、殺されるの!? 秘密を知ってしまったから!? 本日、二回目の死が訪れるの!?」と言った表情をし、その場に膝まづき、こうべれた。


「エリク様、この事は誰にも言わず、穏便に済ませるので、どうかご容赦を」

「うん、分かってくれればいいんだ。これには、俺とパラチの命が掛かっている! バレたらパラチが発狂して、もしかしぃたぁ~らぁ、世界を滅ぼしてしまうかもしれない。

そうこれは、聖戦ジハードと言う名の防衛線なのだ! 大天才ルルス博士なら、勿論理解できるよね?」


 俺はルルスを見つめ声高らかに両手を広げ宣誓し、いかに! この戦いが重要なのかを説いた。

 ルルスは呆れた表情で、ため息を付きながら「バレない様に、お二人で頑張って下さい」と言いたげだったので、聖戦に誘ったのだが、「嬉しいお誘いですが、辞退します」と、やんわり断られてしまった。

 バレたら俺達二人のみ、死んでされてしまうが、ルルスが約束してくれた事だし大丈夫だろう。大丈夫と思いたい!


 今日ここに、国が建国できたら作るであろう法令の『第ゼロ条、浴場の誓い』が秘密裏ひみつりに立てられた。

 この事を知る人物は、余りにも少ない。

7月7日までに18話まで書き終えて、予約投稿してありますが、18話投稿するまでに何文字書き貯め出来るか、実験したいと思います。

想像以上に貯める事が出来たら、このまま1日1話投稿を続行して行きたいと考えています。

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