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初めての食事

 宿屋にて、ドアを一定の間隔で叩く音に俺は起こされた。窓を見てみると太陽はすでにこの宿屋よりも低い位置にいた。けっこう寝たんだなと思っていると、ドアを叩く音がさらに強くなってきた。ハイハイ、今起きますよ。


「はいはい、誰だ?」

「ん?その声は・・・光さんですか?随分と低い声ですね?ここにいると聞いたのですが、あれ?」


 あ、やべ。まだ男のままだったか。


「TS」


 すぐ様に女性に変わり、ドアを開けて、ドアの向こうにいる人に声をかけた。


「あ、すみません。寝てたもので」

「いえいえ、こちらこそ突然の訪問済みません。あと他に誰かいるんでしょうか?」


 ドアの向うにいたのはシスターのフェリス・ミルンだった。フェリス・ミルンは背伸びをして、部屋の向う側へと視線を移していた。視線を遮るようにしながら誤魔化した。


「ええっと、さっきの声はお、俺なんだ。突然と起きたから変な声を出たんだ。それより用事は?」

「そうですか。用事はですね、まだ食事を召し上がってないとお聞きしましたので、一緒にどうですか?」


 フェリス・ミルンは納得できていないような顔をしながら、本題に入った。飯食ってないことに今気づいていたのかお腹から催促の音がなった。それを聞いたのかフェリス・ミルンは笑って


「ふふ、光のお腹が待ってくれないみたいですね。行きましょう」


 フェリス・ミルンはお腹の音が返事の答えと言いたげに俺の手を引っ張り、食堂へと連れてった。こんな時にお腹なんて鳴るなよと俺の腹に言い聞かせたい。おかげで女性に聞かれてしまったな。

 フェリス・ミルンは俺を宿屋の向かい側へと連れてった。向かい側の家は外まで何やら人々の声が包まれていたが、美味そう食事の匂いもまた外まで包まれており、食欲を誘う匂いでまたさらに俺の腹が音を鳴らした。


「ふふ、大丈夫ですよ。食事は逃げませんから。この店は女将さんの夫が経営されてて、とても美味なんですよ。お腹の音もなるのも当然ですね」

「顔真っ赤ですよ」


 フェリス・ミルンは最後に耳元で小声で俺の顔が真っ赤になっていることを知らせた。吐息が耳元にかかり、くずぐったいという体の反応とフェリス・ミルンの綺麗な顔が俺の顔に迫った出来事でさらに顔が真っ赤になったのを感じた。フェリス・ミルンは最後まで俺の反応を見た後、さらに微笑んでその食堂の扉を開いた。食堂はテーブルとイスが1体4くらいになっていて、無造作にセットされており、移動が大変そうだなというイメージを一目で感じた。


「旦那さん。お邪魔させて頂きます。いつもの2つでお願いします」

「おお、フェリスか。そいつが噂の美人さんか。綺麗だな。今日はいつもよりテーブルが空いてるぜ。あとでもっていくぜ」


 宿屋の旦那は両手にビールを持って、入ってきたフェリス・ミルンと俺に声をかけてきた。フェリスは旦那にお辞儀すると俺の手を引っ張りテーブルへと移動した。テーブルへあと移動する中、顔を真っ赤にし、3,4人で和気藹々としている人や、ビールを片手に何やら、相談しているかのように小声で話をしている人達、料理のみを楽しんでいる人達がいた。中には俺とフェリス・ミルンを見て、何やら耳元で話をしている人やこちらを観て3人で何やら騒いでいる人もいた。そんな奴らを無視するかのようにさっさとテーブルへとフェリス・ミルンと俺は行った。

 テーブルに座ると旦那はすぐ様に料理を持ってきてくれた。旦那は俺の方を見ると、お辞儀をして、こう言った。


「あんたがこの町の冒険者を救ったくれたらしいな。感謝する。おかげで金ヅルが減らなくて済んだ」

「いえいえ」


 原因を作ったのは俺だから、感謝されても。

 俺は旦那に頭を上げてくれと頼んでいると旦那の台詞に不満があったのか後ろから旦那に対して文句を言ってきた。


「金ヅルっとかひでぇ!女将さんにいつも尻に敷かれてるくせに」

「うるせぇ!関係ねぇだろ!」


 旦那は文句を言っていた人に何やら言葉を吐きながら、行ってしまった。フェリス・ミルンはそんな旦那を見ながら


「あれはあれで心配してるんですよ。料理も冷めてしまいますし、召し上がりましょう」

「だな」


 シスターは手を合わせてお祈りを瞑目し言った。俺も同様に手を合わせて瞑目していた。


「主よ。恵みを感謝します」

「・・・感謝します」


 料理はスープとパン、サラダだった。スープは赤色の物、人参みたいな野菜。ジャガイモみたいな芋等が入っており、シチューみたいだった。スプーンで掬うとドロドロしておらず、飲みやすかった。パンは意外にも柔らかく、簡単に千切れた。サラダは中心に赤色のトマトらしき野菜がおいてありそれを囲うように葉がひいてあった。


「うまい」


 自然と言葉が出てしまった。それを聞いていたフェリス・ミルンはよかったと呟いた。今は女性だったかのか、この料理だけで腹いっぱいとなってしまった。


「満足されて何よりです。それより、言い方と食事も随分と男らしい仕草するんですね。」

「え・・そ、そうだね。ええっと、なにせ、男の兄弟がいてね、女はお、れ。じゃなくて、わたしだけだったんだ」

「ふふ、そうですか」


 歯切れ悪く答えてしまい、その言い方にフェリス・ミルンは微笑んでいた。フェリス・ミルンは旦那に手をふった。


「では、旦那さん、失礼します。今日は有難うございました」

「おう、代金は2人とも、アイツから取るからいいぞ。また来いよ」


 フェリス・ミルンと俺は食堂から出ていった。出た後、食堂から一段と声が騒ぎだして、さらには旦那の怒鳴り声が聞こえてきた。俺はそれに対して首を傾げていたが、声が混ざっていて、聞き取れなかった。フェリス・ミルンはいつもの事だという風に反応せず、俺にお辞儀をした。


「光さんも今日はお疲れでしょう。また明日も食事どうですか?」

「用事とかないし構わないが、明日はこの町を見て回りたいな」

「なら、食事の後、案内させて頂きます。では今日はこの辺で失礼します」


 フェリス・ミルンは閃いたかのように手を叩き、明日、案内役を申し出て、去っていった。

 この町は初めてだし有り難い。そして、食事の誘い、そして町へのお出かけ。これはデートだと手を丸めて、喜んだ。高揚していて気づかなかったが、寝る前に女性で回るという事に気づき、高揚していた気分が嘘のようにかと落ち込み、なかなか寝れなかった。

次話はフェリス・ミルン、ギルドマスター、食堂の旦那視点で書こうかなと思います

それから、デート?を書こうかなと思います。

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